恋愛の優先順位がいつも低い自分に気づいたとき

恋愛の優先順位がいつも低い自分に気づいたとき

気づけば恋愛がずっと後回しだった

日々の業務に追われるうちに、恋愛という言葉が自分の生活から抜け落ちていたことに、ふと気づいたんです。若い頃は「そのうち誰かと出会うだろう」と気楽に構えていました。でも、司法書士として独立してからは、仕事に集中しないと食っていけないという焦りばかりが先に立ち、恋愛どころではなくなってしまった。気がつけば、周りの同年代は家庭を築いていたり、パートナーと支え合いながら生きているのに、自分は誰とも手を取り合ってこなかった。何が悪いというわけではないけれど、少しばかり取り残されたような気分になるのも事実です。

仕事を理由にしてきたけど本当は怖かった

「仕事が忙しいから」「今はそれどころじゃない」──これは、自分が恋愛から逃げるときの決まり文句でした。でも正直に言えば、相手に嫌われるのが怖かったし、自分の生活に誰かを入れる勇気がなかったんです。恋愛は、時間やお金だけでなく、心も使います。それを受け止める余裕がなかったのかもしれません。独立してからの毎日は責任の連続で、誰かと一緒に過ごす想像さえできなくなっていました。

「今は忙しいから」と言い訳する自分

クライアントからの電話は深夜にかかってくることもあるし、登記や手続きは締切に追われる日々。だから「恋愛してる場合じゃない」という言葉には、少しの正当性もあるように思えていました。でもそれは本当の理由ではなく、自分の弱さを隠すための盾だったような気もします。昔の同級生が「忙しくても彼女はできるよ」と笑っていたのを思い出すたび、何も言い返せずに苦笑するしかありませんでした。

心のどこかで失敗が怖かったのかもしれない

振り返ってみると、恋愛をして「うまくいかなかったらどうしよう」という不安が根底にありました。仕事であれば努力すればある程度結果が出るし、経験が自信になる。でも恋愛はそうもいかない。相手があってのことだから、自分がどれだけ頑張っても報われないこともある。そんな不確実さに向き合うのが怖かった。結局、自分は人間関係の不器用さを仕事でごまかしてきただけだったのかもしれません。

「恋愛してる場合じゃない」が口癖になった

気づけば、その言葉は口癖のように日常に溶け込んでいました。誰かに恋愛の話を振られても、「いやいや、そんな余裕ないよ」と笑って流していた。でも、それは本当の気持ちではなかった。心のどこかでは、誰かに寄りかかりたい、支えてほしいという思いもあったんです。ただ、それを言葉にする勇気がなくて、いつも“忙しさ”に逃げていたんでしょう。

業務量とプレッシャーに押しつぶされて

地方の小さな司法書士事務所とはいえ、責任は重い。自分で開業したからには、失敗すれば全部自分の責任。登記ミスひとつでクレームになり、信用を失うこともある。そのプレッシャーの中で、「今誰かと付き合っても、うまくやれる気がしない」と感じていました。恋愛には気遣いや思いやりが必要。でも、自分はもうそういう“余白”がなくなっていたように思います。

休日すら予定で埋まる日々

「休日くらいゆっくりしたい」と思っても、結局は未処理の書類や顧客対応に追われてしまう。家でゆっくりコーヒーを飲みながら本を読むなんて時間は、いつからなくなったんだろう。そんな中で誰かと会う時間を作る余裕なんて、正直なかった。でも、その結果として「誰かとつながる」機会すら放棄してしまっていたことには、やはり寂しさが残ります。

優しさはあるけど、魅力にはならなかった

人にはよく「優しいですね」と言われます。でも、残念ながらそれが恋愛対象としての魅力には直結しないことも痛感しています。自分の優しさは、どこか“他人事”のようで、踏み込まない安心感みたいなものだったのかもしれません。誰かを本当に思いやるには、心から向き合う覚悟が必要。でも自分はそれを避けてきた。それが“恋愛の優先順位”の低さにつながっていたんだと思います。

モテない理由を考えてみた

見た目や年収の問題もあるかもしれません。でも、それ以上に大きいのは「近寄りがたい」と言われることが多かった点です。堅苦しい雰囲気、話しかけづらい空気、笑顔の少なさ──すべてが自分の防御だった気がします。恋愛は心を開かなければ始まらない。でも自分は、仕事の鎧を脱がずに人と接していたのかもしれません。

人に好かれる努力をしてこなかった現実

業務スキルの向上には努力してきたのに、人間的な魅力を磨く努力はしてこなかった。服装も髪型も気にせず、体型も気づけば中年太り。昔は野球部で運動していたのに、今では運動不足もいいところです。恋愛の優先順位が低いというより、自分を放置してきたツケが回ってきたといえるかもしれません。

自分に自信が持てないままの40代

誰かに好かれるには、まず自分を好きになる必要がある──そんな言葉を読んだことがあります。でも、今の自分は胸を張って「自分が好き」とは言えません。仕事で評価されることはあっても、それは“司法書士としての自分”。一人の人間としての魅力には、自信が持てていない。それが恋愛を遠ざけている最大の理由かもしれません。

事務員さんの何気ない一言に刺さった日

ある日、事務員さんと雑談をしていたときのこと。「先生って恋愛とか興味ないんですか?」と、何気なく聞かれたその一言に、思わず返事に詰まりました。自分ではそんなつもりはなかったけれど、他人からは“恋愛とは無縁の人”に見えていたのかと思うと、妙に胸がザワついたんです。否定しようとしても、事実がそれを許さない。自分の中の空白に気づかされた瞬間でした。

「先生って恋愛とか興味ないんですか?」

その言葉は、軽い冗談のようにも聞こえました。でも、自分の中ではズシリと重く響いたんです。「いや、そんなことないよ」と言いかけたけれど、すぐに言葉が続きませんでした。誰かに恋愛の話題を振られたのなんて、何年ぶりだろう。自分が恋愛について何も語れない人間になっていたことに、その瞬間ようやく気づいたんです。

笑い飛ばしたけど内心はグサッときた

「はは、まあ忙しいからね」と笑って流したけれど、本当は内心で焦っていました。自分がどれだけこの分野から目を背けていたのか、他人の言葉で突きつけられると、結構こたえます。そんなふうに思われていたのか、と軽くショックも受けました。恋愛の優先順位を下げすぎた結果、自分が“興味ない人”になってしまっていたんですね。

どうしてここまで放っておいたのか

その日、帰りの車の中でずっと考えていました。どうして自分は、ここまで恋愛を放っておいたのか。怖かったから?余裕がなかったから?でも、本当は“必要ない”と決めつけていたのかもしれない。でもそれって、すごくもったいないことだった気がします。今さら焦っても仕方ないけど、少しでも何かを変えたい──そう思えるきっかけにはなりました。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓