終わったのに終わらない感覚に襲われる
仕事は終わった。登記も完了したし、依頼者にも報告を済ませた。事務員も「おつかれさまでした」と笑っていた。なのに、自分の中では何かが終わっていない。そんなこと、ありませんか?特にミスがあったわけでもない。にもかかわらず、あの書類で本当によかったのか、どこか抜けていないか——。そんな疑念が脳内でループし続け、心の中で終業のベルが鳴らない。終わらせたいのに終われない。仕事が片付いた後のこの感覚、地味にしんどいです。
依頼が片付いた瞬間の空虚さ
一つの案件が終わるたび、「よし、次!」と気持ちを切り替えられる人がうらやましい。私は逆で、むしろ終わった直後こそ心が空になる。書類をファイルに閉じた瞬間、達成感よりも「これで本当によかったのか?」という不安が押し寄せるのです。たとえば、相続登記で親族関係が複雑だった案件。完了通知を出してからも、「あの戸籍、もう一度見直せば良かったかも」と夜中に考えてしまうことが何度もありました。仕事が完了した“はず”なのに、心はまだ現場に置き去りにされたままなのです。
頭の中に残り続ける“もしも”
「もし、あのとき別の選択肢を提案していたら…」そう思い出すと止まりません。たいてい、相手にとっても最善の策を選んでいるはずなのに、「100点だったか?」と自問自答を繰り返してしまうのです。たとえば会社設立の登記で、合同会社と株式会社どちらがよいか迷っていた依頼者に株式会社をすすめた件。形式的には正解。でも、心のどこかで「合同会社でも良かったんじゃないか」と残り続けています。こういった“もしも”は、夜になると余計に膨らんで、なかなか眠らせてくれません。
不備はなかったかという不安
どんなに見直しても、「本当にこれで大丈夫か?」という気持ちは消えないものです。司法書士という仕事柄、ミスは許されません。でも完璧を目指せば目指すほど、完了したはずの仕事にも「何か抜けがあったのでは」と思ってしまうんです。とくに、法務局からの補正通知がトラウマになっている案件があると、それが影のように心に残る。私は昔、印鑑証明の有効期限を見落として補正が入ったことがありました。それ以来、何度も有効期限を見直す癖がつきましたが、それでも「見逃してないか?」と疑ってしまいます。
完了報告後の“あれでよかったのか”反芻ループ
お客さんに「ありがとうございました」と言われた瞬間、やっと肩の荷が下りた…はずなのに、夜になってふと「あの説明、もっと分かりやすくできたかもしれない」と反省会が始まる。相手は満足していたはずなのに、なぜか自分の中では未解決。これが積み重なると、自己肯定感もすり減っていきます。私は反芻癖があるので、寝る直前にその日交わしたやりとりが脳内再生されてしまいます。しかも、ミスした会話のところだけ鮮明に。もうこれは職業病かもしれませんね。
心が休まらない司法書士の夜
書類を提出して、報告も終えて、やっと落ち着けるはずの夜。なのに、心は休まらない。仕事が終わっているのに、頭の中はまだ戦場のまま。特に一人で事務所をやっていると、誰かと反省会をして気を晴らすこともできず、全てが自己処理。思考の中でくすぶるものが、布団の中までついてくる。静かな夜が、逆に不安を呼び起こす時間になることもあるのです。
クライアントの顔が夢に出てくる
これは本当にある話で、仕事が立て込んでいるときほど、夢にまでクライアントが出てきます。しかも、笑顔じゃなくて困り顔だったり、「先生、あの件ですが…」と深刻な表情で現れるんです。私の無意識が、たぶん納得していないんでしょうね。自分が抱えている不安をそのまま投影してる。夢の中でも仕事をしているって、冗談みたいですが、結構あるあるなんじゃないでしょうか?せめて夢くらいは自由になりたいものです。
家に帰っても思考はオフィスのまま
仕事を持ち帰っていないつもりでも、頭の中はずっとオフィスにいます。夕食を食べていても、「明日の登記は…」「あの書類、訂正したっけ?」と考えてしまう。テレビのニュースで“相続”という単語を聞いた瞬間に、依頼者の顔が浮かぶ始末。オンとオフの切り替えが難しいのは、ひとり経営の小規模事務所ならではかもしれません。私は元々切り替えが苦手なタイプですが、この仕事をしてからますますその傾向が強くなった気がします。
仕事用携帯を寝室に持ち込んでしまう癖
いつ連絡があるか分からないという不安から、仕事用の携帯をつい寝室に持ち込んでしまう。そして、ふと画面を見ると“未読メール”。それを見た瞬間に「明日でいいか」と思えず、その場で返信してしまう。結果、また寝つけなくなる。完全に悪循環です。本当は分かってるんです。「夜は休むべき」って。でも、一人事務所だと結局、自分しか対応できない。その責任感が、逆に自分を苦しめているのかもしれません。
テレビを見ながらも書類の段取りを考えてる
テレビを見て笑っているつもりでも、頭の片隅では「明日、戸籍取り寄せ行くの忘れないようにしなきゃ」とか考えている。もはや“ながら脳”です。これは元野球部だった頃とは真逆。あの頃は、「試合に集中しろ」と言われていたのに、今や常に仕事のことばかりが頭にある。気づけば家の中にいても“自分の業務リスト”が脳内に表示されているような感覚。完全にリラックスできる時間なんて、いつからなかっただろう…とふと我に返ります。