なんでこんなに忙しいんだろうねという日々の正体

なんでこんなに忙しいんだろうねという日々の正体

気づいたら夜になっている日が増えた

最近は、朝から晩まで何をしていたのか思い出せないまま日が暮れている。昔はもう少し余裕があった気がするのに、いつの間にか“気づいたら夜”が当たり前になってしまった。仕事が増えたわけじゃない、効率が悪くなったわけでもない。でもなぜか時間が足りない。まるで、時の流れだけが自分を置いて加速しているような感覚になる。カレンダーを見ると、「あれ、この案件まだ処理できてない…」という積み残しが増える一方。気持ちだけが焦って、行動が追いつかない。そんな毎日が、続いている。

午前中は電話と来客で消える

一日の始まりは「今日はあれをやって、これを片づけよう」と計画しているのに、気づくと午前中は電話と来客の応対で終わってしまう。電話も来客も仕事のうちではあるけれど、それによって肝心の書類仕事や調査が後ろ倒しになってしまうのが現実だ。特に相続関連の案件では、相談内容が曖昧で、長話になりがちだ。「ちょっとだけ聞きたいんですが」と言われると断れない性格も災いして、結果的に30分以上話してしまうことも多い。

電話は一回で終わらない

司法書士の仕事で一番厄介なのは、電話一本で終わらないことが多いという点だ。「登記の相談なのですが…」から始まり、「では資料を送ってください」と言って終わるかと思いきや、翌日にまた「すみません、追加で聞きたいことが…」と連絡が入る。さらにそれが連鎖的に続く。結局、1件の案件で3回以上の電話があるのが普通になっている。まるで一回で終わると思っていたパズルが、毎回バラバラになるような感覚だ。

「ちょっとだけ」が積み重なる

「少しだけ」「今だけ」「ついでに」…この“ちょっと”たちが、私の一日をどんどん圧迫していく。人の良さを発揮してつい受けてしまうのが原因だとわかっていても、断る勇気がない。実際、昔一度だけ「今ちょっと手が離せないんです」と言ったら、それ以来連絡が来なくなった依頼者もいた。それがトラウマになってしまい、“ちょっとだけ”を断れずに受け続けて、結果的に自分の首を締めている。

午後も集中できるタイミングがない

「午後になったら集中して書類に取りかかろう」と思っていても、実際にはまったく集中できない。午後になると、午前中のズレを取り戻そうとして焦りが出るし、新たな連絡もどんどん入ってくる。裁判所からの書類が届いたり、銀行から確認の電話が入ったり、想定外のタスクが容赦なく差し込まれる。集中したいときに限って、どうしてこんなにも外乱が多いのだろうかと頭を抱えることも多い。

事務員には頼れない仕事が多すぎる

事務員が一人いてくれることはありがたい。けれども、司法書士としての責任が伴う仕事はどうしても私自身がやらねばならない。登記の判断、依頼者への説明、関係機関とのやり取りなど、責任の重い部分ほど他人に任せられない。事務員にお願いできる作業は限られていて、しかもその指示も私が出さねば進まない。二人三脚ではあるけれど、私の足が止まると全体が止まってしまうのがこの職場の現実だ。

書類を作る前に書類が届く

せっかく書類作成に着手しようと思っても、郵便受けに新たな依頼書類が届いていて、そちらの対応を優先せざるを得ない。特に「至急」と赤字で書かれた封筒を見ると、どうしても無視できない。「これだけ片付けたら落ち着ける」と思っていても、その“これだけ”が次から次へと増えていく。例えるなら、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けているような気分になる。

スケジュール通りに動けた日なんてない

スケジュール帳には毎日予定がぎっしり。でも、実際にその通り進んだ日は数えるほどしかない。突発的な依頼や確認の電話が入ると、あっという間に予定は崩れ、リカバリーに追われる。予定通り進めたいという気持ちは常にあるのに、実情は“予定通り崩れる”ことが常態化している。この感覚に慣れてしまっている自分もまた、悲しい。

急ぎの案件はいつも突然に

「急ぎでお願いしたいんですが…」という電話は、決まって時間のないときにかかってくる。そしてその“急ぎ”は、ほぼこちらの事情などお構いなしだ。中には「今日中にできませんか」と言ってくる依頼もある。いや、それ昨日言ってくれたら…と思うが、相手には相手の事情がある。わかってはいる。でも、どうしてこうもギリギリに連絡が来るのかと、思わず天を仰ぐことも少なくない。

「今日中にできませんか」に抗えない

「今日中に」と言われると、どうしても断れない。相手が困っているのが伝わると、なんとかしてあげたくなる。でもそれが積み重なって、自分の時間をどんどん削っていく。以前、夜の9時に「どうしても今日中にお願いしたい」と言われ、事務所で1時間かけて書類を整えたことがある。結局、相手は翌日に取りに来た。そのとき、「ああ、なんで自分ばかり頑張ってるんだろう」と情けなくなった。

断ると次がなくなる不安

本当は「今日は無理です」と言いたい。でも一度でも断ると、次から依頼が来なくなるんじゃないかという不安がある。地方で一人でやっていると、口コミや信頼関係がすべてだから、印象を悪くしたくない。そう思って無理をしてしまう。「頼めばやってくれる人」になってしまっているのは、自分のせいでもあるのだけれど、そのやさしさが今では自分の首を絞めているのかもしれない。

予定を後回しにしているうちに山になる

後回しにしたタスクがどんどん積もって、気づけば山のようになっている。優先順位をつける間もなく、「とりあえず目の前の急ぎから」という繰り返しで、本来じっくり取り組むべき仕事がずっと後ろに押しやられている。手帳の“本日の予定”は、毎日コピーして翌日に転記されていく。まるで宿題を明日に回していた学生時代の自分を見ているようで、少し情けない。

登記の期限管理が頭の片隅を支配する

どんなに忙しくても、登記の期限だけは絶対に守らなければならない。それが頭の片隅に常にあるから、気持ちに余裕が持てない。「この案件は何日までに申請しないと…」というプレッシャーが常にあることで、休日にも気が抜けなくなる。家でくつろいでいるときに「あ、あの件どうなったっけ」と頭をよぎり、慌てて事務所に確認に行ったこともある。それくらい、期限という呪縛は重い。

気がつけば“要対応”の付箋だらけ

パソコンのモニター、デスクの書類、手帳のページ、あらゆるところに貼られた“要対応”の付箋たち。最初は便利だと思って貼り始めたのに、今ではその数が増えすぎて、何が優先なのかわからなくなるほどだ。ふと見ると、1週間前の日付のままになっているものもある。片づける前に、次の付箋が増えていく。もはや自分が付箋に管理されているような錯覚すら覚える。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。