面談は何ともないのに合コンで手が震えるのはなぜか
司法書士という仕事柄、面談や打ち合わせには慣れている。初対面の依頼者とも冷静に会話できるし、相続や登記の話をしているときは、まるで型にはまったピッチングのように自分のペースで話ができる。それなのに、なぜか合コンという場になると全身が固まる。相手の表情を読もうとするあまり、普段ならスムーズに出る言葉が出てこない。まるでマウンドに立ったはずなのに、バッターが女性だとボールが暴投する感覚だ。自分の性格や職業柄の固さが、合コンの自由な空気に合わないのかもしれないと感じることが多い。
司法書士としての面談は日常の延長線
司法書士の面談は、ある意味で毎日の仕事の延長だ。依頼者が抱える不安や疑問に答えるのは、決まったルールや知識に基づいて行えるからこそ安心感がある。例えば不動産登記の説明をするときも、流れや必要書類を事務的に説明することで相手は納得してくれる。面談という場は、こちらがプロとして「答え」を持っている世界。言い換えれば、試合前に何度も練習した投球フォームで勝負できる安心感がある。これは野球部時代の「練習は裏切らない」という感覚にも似ている。
相続でも不動産でも初対面は慣れている
相続の相談や不動産の登記手続きなど、初めて顔を合わせる依頼者に対応するのは日常茶飯事だ。最初は緊張したが、今では一通りの説明をし、必要な質問をして相手の求める方向に導くことができる。これは経験値の積み重ねであり、場数を踏めば自然とできるようになった。いわば、打者ごとに投げ分けるピッチャーのようなものだ。相手が何を求めているかを見極め、適切な球種を投げる。それが司法書士の面談スタイルでもある。
むしろ質問される方が得意になっている
面談の場では、こちらが答える立場にいることが多い。相手から質問され、それに対して明確に答えることが得意になってきた。聞かれたことに対し、正確な答えを返すのは自分の専門分野であり、苦手意識はない。逆に、自分から話題を広げる必要がある場面、特に合コンのように「自由に話して盛り上げる」場では一気に不器用さが露呈する。まるでバッターからボールを要求されていないのに投げ込んでしまうような場違いな感覚に陥るのだ。
合コンになると一気に素人感が出る
合コンでは、司法書士という肩書も通用しない。場の空気やノリを読んで話を広げるスキルは、仕事の面談とはまるで別物だ。特に女性の前では、相手にどう見られているかを気にして言葉が出てこなくなる。仕事のように台本がないので、即興で相手に合わせる必要があるが、これが難しい。自分の笑いのツボや趣味が相手に通じるか不安になり、結果的に無難なことしか話せなくなる。野球で例えるなら、練習通りに投げられない「試合の魔物」がいる感じだ。
仕事の顔が役に立たない世界
司法書士としては多少の自信もある。しかし合コンという場では、職業の堅さが逆に「真面目すぎる」と見られ、会話が硬くなってしまう。仕事中の自分は説明役として主導権を握れるが、合コンではそうはいかない。むしろ軽快なトークや自然体の雰囲気が求められる。職業や肩書きは単なる話題の一部でしかなく、自分の価値を別の軸で測られていると痛感する瞬間だ。
見た目より中身と言われても中身をどう出せばいいか分からない
「見た目より中身が大事」と言われても、そもそもその「中身」をどうやって短い時間で伝えるのかが難しい。面談では、専門知識や実績で評価されるが、合コンでは面白いエピソードや親しみやすい性格が求められる。自分でも笑える話を準備しているつもりでも、場の雰囲気次第でスベることもある。これが面談よりも合コンが緊張する大きな理由だ。