元気ですかって言葉が心にしみて泣いた夜

元気ですかって言葉が心にしみて泣いた夜

仕事帰りのスマホに届いた一通のメッセージ

金曜日の夜、事務所を出て、車のドアを閉めた瞬間にスマホが震えた。「元気ですか?」たったそれだけのLINEだった。高校時代の同級生。普段はほとんど連絡なんて取らない相手だ。なのに、その一言が心にじんわり沁みてきて、運転席に座ったまましばらく動けなかった。今週は登記の申請もトラブル続き、依頼人からの急な電話、事務員も風邪で休みがちで、孤軍奮闘していた。気を張っていた糸が、その短いメッセージでぷつりと切れた気がした。

ただの定型文のような一言が刺さる日がある

「元気ですか?」なんて、よくある挨拶だ。営業の冒頭にも使われるし、正直、深い意味がない場合がほとんど。でも、その日、そのタイミング、その自分には、とてつもなく響いた。きっと誰にも自分の状態を伝えていなかったからだろう。愚痴も言えず、笑ってやり過ごすしかなかった一週間。まるで自分の中で「誰か気づいてくれ」と叫んでいた心が、「見つけてくれてありがとう」と反応してしまった。言葉の重みは、受け取る側の状態次第なのだと、改めて思った。

誰にも頼れなかった今週のしんどさ

司法書士という仕事は、基本的に自分で決めて、自分で動く。事務員も手伝ってくれるけれど、最終的な責任は全部自分に降りかかる。今週は、登記内容に不備があると役所に指摘されて、一から見直し。期限も迫っていて、精神的にも追い込まれていた。昔なら部活の仲間に愚痴って飲みにでも行ってたけど、今はそんな相手もいない。たまに行く飲み屋でも、表面の会話ばかりだ。心の奥底を話せる人間が、どれだけ貴重か、身にしみた。

気づけばあのLINEを何度も読み返していた

「元気ですか?」の五文字。それだけなのに、気づけば何度も画面を開いていた。返事は「元気ではないけど、なんとかやってるよ」と打ちかけてやめた。強がってる自分が情けなかったのかもしれない。言葉を返せば、自分の中の何かが崩れそうで、怖かった。普段、登記や法務で論理的に動いているからこそ、自分の感情に向き合うのが下手になっているのかもしれない。そんなとき、ただの一言が、ふと心を動かしてしまう。

忙しさにまぎれて忘れていた人とのつながり

ここ数年、事務所の運営や書類の山に追われ、プライベートは後回しになっていた。連絡先はあるけど、もう何年も話していない人。昔は野球部の仲間とバカな話をしてたのに、今は年賀状すら出していない。そんな中で、不意に届くメッセージは、忘れていた大事な何かを思い出させてくれる。自分がどんな人間だったか、どんなことに笑っていたか。司法書士としての肩書きではなく、一人の人間としての自分に戻れる瞬間だった。

顔を合わせて話すことの少なさ

リモート、メール、LINE、チャットワーク。便利にはなったが、顔を見て話すことが激減した。仕事のやり取りはできても、ちょっとした雑談や気づきが生まれにくい。昔は、相手の表情や声色から、「あ、疲れてるな」とか「調子悪そうだな」なんて気づけたものだ。それが今は文字だけのやり取り。気づいてもらえないのが当たり前になりすぎて、自分の体調や気持ちさえ、自分でも無視するようになっていた。

事務員さんとのやり取りにも気づきがあった

唯一のスタッフである事務員さん。最近、少し無口になっていたのは気づいていた。でも、自分も手一杯で、声をかける余裕すらなかった。先日、ふとした瞬間に「大丈夫?」と聞いてみたら、ポロッと「実は家のことがちょっと…」と話してくれた。人間関係って、本当に一言から変わる。仕事の効率とか業務の正確さも大事だけど、何よりも「気にかけてもらえる」という感覚は、人を救う力がある。

本当はもっと人と話したい自分

人付き合いが苦手とか、一人が楽だとか、よく言われる。でも、自分の内側を探っていくと、やっぱり誰かと話したい気持ちはある。仕事の話じゃなくて、くだらない話や昔話。あのLINEが届いた日、自分の本音が見えた気がした。「誰かに元気って聞かれたかったんだな」って。年齢や立場が上になるほど、弱さを見せる場が減る。でも本当は、誰だって寄りかかれる場所がほしい。

なぜか涙が出てしまう瞬間ってある

大人になると、泣くことが減る。というか、泣いてはいけないような気さえしてくる。でも、不意に涙が出る瞬間がある。それは決まって、気を張り続けていた糸が緩んだとき。LINEの通知音一つで、そんな瞬間が訪れるとは思わなかった。自分の中で「気づいてほしい」「話を聞いてほしい」と思っていたのかもしれない。誰にも言えない思いを、たった一言が代弁してくれることもある。

感情の蓋をして働く毎日

司法書士という職業柄、感情に振り回されていては仕事にならない。正確さ、冷静さ、そして迅速な対応。それが求められる。だからこそ、自然と感情には蓋をする習慣が身についてしまっていた。でも、それが積もり積もると、心は鈍くなっていく。今回のように、たった一言に心が反応したのは、その蓋が限界を迎えていた証拠かもしれない。

モテないとか独り身とかの孤独とは違う話

「モテないね」と笑われるのは慣れてるし、自虐ネタにもしてきた。でも、今回感じた寂しさは、そんな表面的な孤独とは違った。人とのつながりの希薄さ、自分をわかってくれる誰かがいないという現実。その孤独は深く、重い。異性に好かれるかどうかの話じゃなく、「自分を気にしてくれる人がいるかどうか」が、こんなにも大きな影響を持つとは。

一言が心の支えになることもある

「元気ですか?」のたった一言が、今の自分には支えになった。たとえその後の会話が続かなくても、それだけで十分だった。人との関係って、濃さよりも「想い」が伝わるかどうかなんだと思う。これからは、自分も誰かに「元気?」って送ってみようと思った。相手のスマホに、同じような小さな奇跡が起きたらいいなと願いながら。

同じように頑張っている人に届けたい気持ち

司法書士に限らず、日々頑張っている人たちへ。「元気ですか?」の一言が、あなたの心を軽くするかもしれません。そして、自分も誰かにそれを届けられる存在でありたい。人は意外と、言葉一つで変わる。だからこそ、ほんの少しの気遣いを、大切にしていきたい。弱さも涙も、全部あっていい。そんな思いを、忘れないようにしたいです。

誰かを思い出したらLINEしてみてほしい

顔を見て話せなくてもいい。長文じゃなくてもいい。「元気?」だけでいい。誰かをふと思い出したら、その気持ちを閉じ込めずに伝えてみてほしい。あなたの一言が、誰かの心に灯をともすかもしれない。自分もそうだったように。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓