忙しいフリ? いやいや、本当に忙しいんです

忙しいフリ? いやいや、本当に忙しいんです

忙しいフリ? いやいや、本当に忙しいんです〜誰にもわかってもらえない日々のこと〜

誰にも伝わらない「本当に忙しい」の重み

「あの人、忙しいフリしてるよね」って、誰かが陰で言われてるのを聞いたとき、自分のことを言われたわけじゃなくても、なんだかグサッとくる。自分がそう思われてたらどうしよう。そんな不安が頭をよぎる。というのも、実際こっちは本当に忙しい。なのに、パッと見はそう見えないのかもしれない。電話を取ったら声は明るくするし、疲れてても「大丈夫です」って言ってしまう。でもその裏で、ひとりきりの事務所に山のような案件が積まれている。書類も、登記も、相談も、全部自分。毎日が綱渡り。フリをしているどころか、時間がいくらあっても足りない。

暇そうに見えると言われてモヤる

「なんか暇そうじゃない?」と、親戚に言われたことがある。悪気はないのかもしれない。でも、それはこっちの神経をずたずたにする言葉だ。忙しさって、目に見えない。動いてる姿だけでは計れない。朝一番で届く登記依頼、午後には飛び込みの相談、そして急ぎの電話。とにかく対応に追われる毎日。でも、外からはその姿が見えない。パソコンの前で淡々と処理しているだけに見えるのかもしれない。だけど、静かにパニックになってる自分がここにいる。

「いつでも電話つながるね」が地味に刺さる

「電話すると、いつも出るよね。暇なの?」って、笑いながら言われたことがある。その一言が、地味に心に突き刺さった。もちろん出るよ。だって、仕事だもん。でもその電話に出るまで、何本も処理して、頭の中はスケジュールと締切でぐるぐるしてる。ちょっとトイレに行こうとしてたら鳴って、急いで戻ってくることだってある。電話に出るのが“暇”の証拠なら、もういっそ全部無視してやろうか、と思うこともある。でもできない。性分なんだ。つながる安心感を相手に与えたくて、無理をしてでも出てしまう。

目に見えない“地味な案件”の地獄ループ

派手な案件だけが仕事じゃない。むしろ、日々の仕事の9割は、誰にも知られず終わる地味な案件ばかりだ。相続登記一つとっても、資料集めから確認、そして関係者との連絡まで、地味に時間を食う。しかも、その案件が5件、10件と重なるとどうなるか。気づけば、夜になってもひとつも終わっていない。こういう案件は誰かに話しても「へえ、大変だね」で終わる。理解なんてされない。だけど、それをこなしてこそ司法書士。でも心のどこかで「こんなに地味に疲弊してるの、報われないな…」とつぶやいてしまう。

忙しいフリの人と本当に忙しい人のちがい

世の中には確かに“忙しいフリ”をしている人もいる。常にスマホ片手にバタバタして、予定がぎっしり詰まっているアピール。でも、こちらはそんな演技してる暇も気力もない。ただ静かに、ひたすら黙々と作業をこなしている。本当に忙しい人は、自分の忙しさをアピールする余裕なんてない。むしろ「今話しかけないでくれ…」という気配を無言で放ちながら、今日中の納品に必死になっている。

「予定が埋まってる=充実してる」とは限らない

予定がびっしり詰まっていると、「充実してるね」と言われることがある。けど、実際はその逆だ。スケジュール帳を見て「うわ…」と吐きそうになる日もある。午前はお客様との相談、午後は法務局、夜は書類作成の山。移動中にご飯をかきこむように食べて、帰っても仕事が頭から離れない。それのどこが充実なんだろうか。ただこなしているだけ。気持ちが追いついていない。しかも、全部自分で段取りしないと回らない。だから、充実なんて言葉を使われると、ちょっとした皮肉にも聞こえてしまう。

優先順位のない依頼が雪崩のように来る

「ちょっとだけ聞きたいんですけど…」という電話が一番怖い。ちょっとだけ、じゃないことがほとんどだからだ。そんな依頼が1日に何件もくる。しかも、どれも「すぐやってほしい」と言われる。急ぎって、みんな言う。誰にとっても自分の案件が最優先。でもこっちは、順番に処理してる。それでも「まだですか?」と催促がくる。怒られるのは慣れたけど、心がじわじわ削れていくのを感じる。

自分で詰め込んでる自覚があるからこそ言いづらい

「そんなに抱えなくていいのに」と言われることもある。確かにそうだ。断ればいい。頼めばいい。でも、頼れる人がいない。うちの事務所は、ほぼ一人で回しているようなもの。事務員さんにお願いできる範囲にも限界があるし、そもそも時間をかけて教える余裕もない。結局、自分でやる方が早い。そして、自分でどんどん詰め込んでしまう。「自業自得」なんだとわかっているから、ますます人に「忙しい」と言えなくなる。

「忙しい」と言えない空気との戦い

世の中には、「忙しい」と言った時点で負けみたいな空気がある気がする。「みんな忙しいよ」「大変なのはあなただけじゃない」って言われるのが怖いから、つい言えない。でも、誰かと比べたいわけじゃない。自分にとって“きつい”と思ってる今の状況を、少しだけでも理解してほしいだけなんだ。忙しいフリなんかしてない。むしろ、言わないで潰れていくタイプなんだと思う。

「こっちも忙しいんだよ」と言われる怖さ

忙しいと打ち明けた時、「こっちも忙しいんだよ」と返された経験がある。あれは結構こたえる。別に張り合いたいわけじゃない。愚痴をこぼしたいだけだった。でも、それすら許されない空気って、あるんだよな。「自分も辛いけど、言うのはやめとこう」って、何度も自分に言い聞かせてきた。でも本音は、誰かに「大変だね」って一言、言ってほしいだけだったりする。

つい「大丈夫です」って言っちゃう性分

昔から「大丈夫です」とか「任せてください」ってつい言っちゃうタイプだった。でもそれって、あとから自分の首を絞めることが多い。目の前の人を安心させたくて、つい自分を後回しにしてしまう。そして気づけば、スケジュールはパンパン。夜になってようやく座って、「なんで全部引き受けたんだろう」と後悔する。でも、それを次の日にはまた忘れて、「大丈夫です」って言ってる。

人に頼めない自分が悪い…と思いたくない日

「もっと人を頼っていいんだよ」って言われたことがある。でも、誰に頼る? 事務員さんもいるけど、お願いできる内容は限られてるし、外注する予算もない。結局、頼れるのは自分しかいない。だから、人に頼めないことを「自分の性格の問題」にされると、ちょっとしんどい。「悪いのは自分か?」と思ってしまう。いや、たぶんそれもあるけど、そう思いたくない日もある。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。