人生相談じゃないけどつい話しちゃうこと

人生相談じゃないけどつい話しちゃうこと

人生相談じゃないけどつい話しちゃうこと

司法書士をやっていると、誰かに相談するというよりも、ふと「つい話しちゃう」ことが多くなる。大ごとじゃないけど、積もり積もった疲れとか、言葉にできないモヤモヤがある。友達に話すほどでもないし、専門的な相談でもない。ただ、「聞いてもらえたら少し軽くなるのに」って思うことが、毎日のようにある。そんな時、誰かの「わかるよ」って言葉がどれだけ沁みるかを、最近やっと知った。

ひとり事務所の孤独は想像以上に堪える

地方の小さな事務所で司法書士をやっている。スタッフは事務員さん一人。お互いに仕事は真面目にこなすけど、忙しい日はほとんど会話もない。静まり返った部屋に自分のキーボードの音だけが響くと、「ああ、今日も誰ともしゃべってないな」とふと思う。電話が鳴ってくれればまだましだが、それもない日は、なんだか社会から取り残されたような気持ちになる。

会話がない時間が長すぎて脳が止まりそうになる

人と話さない時間が続くと、脳が鈍くなる気がする。集中力も落ちて、手続きミスをしそうで怖い。学生の頃は、誰かしらとバカみたいなことを言い合っていたし、元野球部だったこともあって、常に声を出していた。今は、ひとり静かに書類を眺め、印鑑を押す日々。黙々とやるのが仕事と言えばそうだが、こんなに人と話さない職業だとは思っていなかった。

気づけば独り言とため息が増えていく日々

無意識に「はあ…」とため息をつく回数が増えた。独り言も増えた。「これはこっちか…違うな…」とか、「なんでこうなるんだよ…」とか。誰も聞いていないから気楽だけど、ふと我に返って「俺、大丈夫か?」と心配になる。誰かに話すことで、頭も気持ちも整理されるのに、それがない。毎日がループするような感じで、抜け出せなくなりそうだ。

相談じゃなくて愚痴なんですけどっていう前置き

お客さんとの会話の中で、「相談じゃないんですけど…」と前置きしながら話す人がいるけど、あれ、すごくわかる。自分も誰かに話したいけど、「こんなこと話しても意味ないか」と思ってしまう。でも、「意味のない話」ほど、大事な気がしてきた。雑談、愚痴、独り言。そういうのがないと、人は潰れるんじゃないかと思う。

聞いてほしいだけって誰かに言いたい瞬間

この前、近所のパン屋のおばちゃんと立ち話をしていたら、「大変そうだね。無理しないでよ」と言われて泣きそうになった。こっちは何も言ってないのに、なんか見透かされた気がして。正直、その日も登記がうまくいかなくて気持ちが沈んでいたけど、それをわざわざ話す元気もなかった。ただ、「聞いてくれる人がいる」って思うだけで、心がふっと軽くなった気がした。

解決よりも「それは大変ですね」の一言が沁みる

「こうしたらいいよ」よりも、「それは大変だったね」の方が沁みるときがある。答えを求めていない。ただ気持ちに寄り添ってほしい。それだけで、だいぶ違う。司法書士として、依頼者に対して自分もそんな存在でありたいけど、まずは自分自身が誰かにそうしてもらいたいと感じる。聞いてもらえるだけで、前に進めることってある。

司法書士の仕事は理屈だけじゃ回らない

登記や相続って、法律の話だから理屈で割り切れると思われがちだけど、実際は人間関係の塊だ。兄弟げんか、親戚の確執、元夫婦との争い。冷静なフリをしながら、依頼者の心のドロドロに付き合う日々は、想像以上に消耗する。法的に正しい対応が、感情面で火に油を注ぐこともある。

手続きが終わっても人間関係は片付かない

登記が完了したあと、依頼者から「でも、これで兄とは一生会わなくて済む」と言われたことがある。あれはなんとも言えない気持ちだった。法律上の区切りはつけられても、人のわだかまりには期限がない。それに、たまに「この仕事、誰かの不幸に立ち会ってるだけなんじゃ…」と感じることすらある。それでもやるしかないんだけどね。

クレーム対応はメンタル消耗戦

こっちは誠意を尽くしてるつもりでも、「なんでこんなに時間がかかるんですか?」と言われたり、「もう信用できません」と怒鳴られたりすることもある。たいていの場合、相手のストレスのはけ口になってるのは分かるけど、それでも傷つく。慣れたと思っても、心の奥で何かが削られていく感じがする。

今日も人生相談じゃないけど話したくなる

結局のところ、仕事の悩みも人生の悩みも、誰かに「わかるよ」と言ってもらいたいだけなのかもしれない。司法書士という仕事は、黙って淡々と進めるように見えて、実は人との関係に心を使い切る仕事でもある。だからこそ、ふとしたときに誰かと交わす、たわいもない会話が救いになる。今日も誰かに話せること、それだけで前に進める気がする。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓