士業って何だと思いながら過ごす日々

士業って何だと思いながら過ごす日々

朝のコーヒーと共に浮かぶ問い

朝、いつものコンビニのカフェラテを片手に、事務所のシャッターを開けるとき、ふと頭に浮かぶんです。「俺、なんで士業なんかやってるんだろうな」って。答えなんてすぐに出ません。出勤前にそんなこと考える時点で、すでに心はちょっと疲れてるんでしょうね。眠気とだるさに混じって、自分の人生をぼんやり振り返る、そんなルーティンの始まりです。

なんでこの道を選んだんだっけ

若い頃は「手に職を」と思ってました。安定してそうなイメージで選んだ司法書士という道。でも、実際には安定どころか不安定の連続で、報酬も不透明、競争も激しい。資格を取ったときは親も喜んでくれたし、将来の不安も減ると思ってましたが、甘かった。今はその頃の自分に「もっとよく考えろよ」と言いたいです。

資格取得までの無我夢中の時間

受験勉強は、それこそ人生をかけた勝負でした。社会人になってから一念発起して勉強を始め、夜中まで参考書とにらめっこ。元野球部の意地で、体力勝負みたいに詰め込みました。試験に受かった瞬間は、「これで俺も士業の仲間入りだ」と誇らしかった。でも、その後に待っていたのは、孤独と戦う毎日でした。

「手に職」の幻想と現実

「手に職さえあれば食っていける」。その言葉を信じてやってきたけど、実際には営業力やコミュ力がないと全然ダメ。地元の付き合い、役所とのやりとり、電話応対…。黙々と書類だけ作っていればいいなんて幻想でした。結局、自営業である以上、動かないと依頼は来ないし、孤独との付き合いも避けられない。

もう一人の自分がささやく疑念

朝の自分は、「まあ今日も頑張るか」と一応気合を入れるけど、どこかで「これって本当に俺の望んだ仕事だったっけ?」というもう一人の声が聞こえるんです。昔、もっと自由な仕事に就きたかった気もするし、家族を持つ夢もあったけど、いまはひとりの事務所にひとりの事務員、ちょっと寂しすぎやしませんか。

あのとき別の人生を選んでいたら

もし大学を出てそのまま就職してたら?もし別の資格を取っていたら?そんな「もしも」の人生が頭をよぎることがあります。今の自分を否定するわけじゃない。でも、たまにあの選択は正しかったのかと振り返る。きっと誰にでもそんな瞬間はあると思います。でも、後悔しても時間は戻らないんですよね。

比較してしまう同級生たちの今

同窓会なんて出る気しません。大手企業に勤めている友人、結婚して子どもがいる友人、みんな立派に見えて仕方ない。自分だけが何かに取り残されたような感覚。でも、彼らだって何かを抱えてるんでしょう。ただ、自営業の不安定さと孤独は、時に自分を過剰にネガティブにさせます。それをわかっていても、つらいものはつらい。

日々の業務の重さに押し潰されそうになる

この仕事、淡々としてるようで地味に心を削ってくるんです。登記ミスは命取りだし、電話一本の気配りが命運を分ける。事務員も頼れるとはいえ、やっぱり責任は全部自分。そう思うと、朝から胃が痛くなる日もあるんです。士業って、もっと知的でスマートな仕事だと思ってましたけど、泥臭くて孤独な職人みたいなもんです。

誰かがやってくれるわけじゃない

小さい事務所では、全部自分でやらないと回りません。登記の下調べから、書類作成、提出、電話応対、場合によってはお茶出しまで。正直、「俺、何屋なんだろう」って思うことも多いです。人を雇えば雇ったで、今度はその人の生活も背負うことになる。責任だけが増えて、気軽に休める空気もなくなっていく。

小さな事務所ゆえの責任の連続

仕事を断るのも勇気がいります。「それくらいやってくれるでしょ」と思われてることも多く、断れば悪評につながる。でも無理な案件を引き受ければ、あとで自分の首を絞める羽目に。大きな組織と違って、セーフティネットがないんです。そんな中でも、ミスは絶対に許されない。そりゃ、神経もすり減りますよ。

事務員の支えに救われる瞬間

そんな中で、唯一ほっとするのが事務員の存在です。たった一人だけど、いなければ回らない。昼食の買い出しのついでに缶コーヒーを買ってきてくれた時なんか、ちょっと泣きそうになります。あの気遣いひとつで、「もうちょっと頑張るか」と思えるんです。感謝してもしきれない。ただ、それに気づいてもらえる機会は少ないけど。

減らない書類山と止まらない電話

どれだけ片付けても減らない案件。書類の山が低くなることはほとんどありません。電話もメールも止まらない。「ちょっとだけ聞きたいんですけど…」の相談が積もり積もって、1日が終わります。士業って「専門性」が売りだと思ってたけど、実際は「何でも屋」に近い感覚。それでも、誰かの役に立っていると思えば…と思いたい。

仕事の波に飲まれていく毎日

波が来れば来るほど、ありがたいはずなのに、処理が追いつかない焦りの方が大きくなる。こなしてもこなしても終わらない感じ、まるで永遠に続くノック練習みたいです。元野球部としては、体力には自信がある方だったんですけど、最近は肩より心が先に悲鳴をあげてる気がします。限界って、精神的なものから来るんですね。

業務効率化の壁と現場の現実

効率化しようとツールを導入してみたものの、設定に時間がかかって、結局使いこなせず放置…なんてことも。ITが苦手な士業の現場はまだまだアナログで、デジタル化にも壁があります。便利になればなるほど、覚えることも増えて疲れてしまう。自分が時代に取り残されていくような、そんな焦りも感じます。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。