また「急ぎで」って言われた朝──疲弊する日常のはじまり
司法書士という仕事をしていると、「急ぎでお願いします!」という言葉に一日に何度も出会います。特に朝イチ、出勤してすぐにそんな連絡が入ると、もうその日一日のテンポが狂ってしまいます。まだデスクの椅子にも座っていないのに、電話口で急ぎ案件の指示。こちらとしては予定通りに処理したい業務があるのに、毎回毎回「急ぎ」が割り込んできて、心も身体も削られていくのです。
朝イチの電話がすでにプレッシャー
目覚まし時計と格闘しながら布団を抜け出し、ようやく事務所に到着して「今日もなんとかやるか…」と気合を入れた瞬間に鳴る電話。たいていは「おはようございます」の挨拶もそこそこに、「急ぎで処理お願いしたいんですけど…」という言葉が飛び込んできます。え?ちょっと待ってくれ、まだパソコンすら立ち上げてない。手帳を開く前に予定が上書きされる感じ、あれは本当にしんどい。
「至急でお願いできますか?」の破壊力
「至急でお願いできますか?」の一言には、ものすごい重みがあります。相手は何気なく言っているのでしょうが、こちらは「どの仕事を後回しにすればいい?」と瞬時に優先順位を再編成しなければなりません。しかも「急ぎ」と言っても、実は提出期限は数日先だった…なんてこともあるんです。そんなとき、怒りよりも、虚しさと疲れが込み上げてきます。
朝のコーヒーすら飲めない現実
本当はゆっくりコーヒーを淹れて、新聞の見出しでも読みながらその日の段取りを考えたい。でも現実は、そんな余裕を許してくれません。電話一本でその日の雰囲気が決まってしまう。たった5分のゆとりも奪われて、気がつけば午前中が終わっていたりする。そんな日が続くと、朝が来るのが怖くなるんです。
急ぎ案件の9割は「本当に急ぎじゃない」説
経験的に言って、急ぎだと言われた案件の大半は、実際にはそこまで急ぎじゃないことが多いです。もちろん本当に切羽詰まった依頼もあります。でも、「急ぎで!」という依頼の中には、「なんとなく早くやってほしい」くらいの軽い気持ちで言っているケースがある。そういうのに限って、こちらが迅速に対応した後、何日も返事が返ってこなかったりするのです。
なぜかこちらの都合は一切考慮されない
「急ぎでお願いします」と言われると、まるでこっちが暇で待っていたかのような感覚になります。でも実際は、手帳にびっしり書かれた予定があるんです。それを説明しても「なんとかお願いできませんか?」と粘られる。こちらの事情をまったく考慮しないスタンスに、悲しさと怒りが混ざった複雑な気持ちになります。
優先順位が日々ぐちゃぐちゃになる苦しみ
本来であれば、効率よく動けるように一日のスケジュールを組んでいます。でも急ぎ案件が飛び込んでくると、すべてがぐちゃぐちゃになる。後回しにした案件がどんどん溜まり、結局残業になる悪循環。タスク管理アプリを使っても、その都度上書きされていくような感覚に、消耗しか感じません。
「急ぎ」対応に追われる日々と心の摩耗
繰り返される「急ぎ」の対応。朝に限らず、昼休みや夕方にも、そんな連絡が来ます。誰かの期待に応えたい気持ちはある。でも、それが続きすぎると、自分の中に余白がなくなっていくのを感じます。仕事が好きで始めたはずなのに、心がすり減っていくばかり。笑顔も減り、言葉も荒くなってしまう日があります。
急がせる人ほど連絡が遅いのはなぜ
「急ぎでお願い」と言ってきた相手に、こちらがすぐに対応して書類を送ったとしましょう。すると不思議なことに、そこから2〜3日何の返事もない。急いでるんじゃなかったのか?という疑問と、振り回された自分への怒りがこみ上げてきます。正直、「自分の急ぎ」は「他人の暇」だと思っているのではないかと疑ってしまいます。
「あ、まだ決まってなくて」の衝撃
中には、「先に手続きだけ進めてください」と言われて動いたのに、後日「実はまだ家族と話してなくて」と言われたこともありました。こちらは時間をかけて書類を整え、確認して、役所にも動いていたのに…。あの瞬間、あまりの脱力感に椅子から崩れ落ちそうになりました。「急ぎで」と言う人が、必ずしも段取りができているわけではないという事実に、改めて絶望します。
事務員さんにも飛び火するストレス
一人で事務所を回していると、事務員さんにもかなり無理をさせてしまいます。「急ぎ」が入れば、当然そちらを優先しなければならず、他の業務にしわ寄せがいく。そうなると、事務員さんの手も止まり、空気がどんよりする。申し訳なさと、自分の無力感が交錯します。
小さなミスが起こるたびに自己嫌悪
バタバタした中で処理すると、どうしてもミスが出てきます。普段なら見逃さないような数字の誤りや、書類のチェック漏れ。そんな些細なミスでも、依頼者にとっては重大なもの。後から気づいて冷や汗をかき、落ち込んでしまう。自分のキャパを超えていることに気づいていても、断れない自分がまた情けないんです。
それでも頑張る自分を、たまには認めてあげたい
「急ぎ」に追われてばかりの日々。それでも、誰かの役に立っているという実感があるから続けられるのかもしれません。どれだけ疲れていても、「ありがとう、助かりました」と言われると、やっぱり嬉しい。その一言に支えられて、また明日もなんとかやっていこうと思える。情けないけど、それが現実です。
仕事は嫌いじゃない。ただ疲れてるだけ
この仕事を選んだことを後悔しているわけではありません。むしろ、誇りを持ってやっている自負もある。ただ、今は少し疲れているだけ。そう思えるようになったのは、最近ようやくです。若い頃のような勢いはなくなったけれど、そのぶん人の気持ちには敏感になった。そんな自分を、少しだけ褒めてやってもいいのかもしれません。
「誰かの役に立てた」はやっぱりうれしい
「急ぎでお願いできますか?」の連続にうんざりしても、その裏には、こちらを頼ってくれている人がいるという事実があります。少しでも相手の不安を減らせたなら、それは価値のある仕事だったと思いたい。完璧にはできなくても、誠実に向き合ってきたつもりです。
同じように頑張ってる人に届いてほしい、この気持ち
これは、同じように誰かのために必死で働いているあなたに伝えたい気持ちです。誰にも気づかれなくても、ちゃんとあなたの努力は意味がある。私も、なんとか踏ん張っています。一緒に愚痴をこぼしながら、それでも明日も仕事場に向かう。そんな日々を、少しでも軽くしていけたらと思います。