週末なんて、どこにいったんでしょうね
昔は、土曜日って言えば「半ドン」だったじゃないですか。昼には仕事が終わって、午後からは喫茶店でコーヒーでも飲んで、文庫本なんかを読みながらのんびりする……そんな時間が確かにあったはずなんです。でも今は？ 45歳の今、地方の司法書士事務所を一人で切り盛りして、事務員さんと二人三脚。週末だからこそ依頼が来るし、平日に対応できないお客さんが来る。結果、土曜日も普通に出勤。気づいたら、週末は幻想になっていました。
「土日休み」の社会とズレる孤独感
世の中が「金曜の夜に乾杯」してる頃、こっちは事務所で「明日の段取り」を考えてる。LINEで「今夜どう？」と聞かれても、「明日仕事で」と断るのが常。何度も断ってると、もう誘われなくなる。誰が悪いわけじゃないんです。でも、世界が自分からどんどん遠ざかっていくような気がして、心にぽっかり穴が空く。たまの土曜休みでも、今さらどこに行けばいいのか、誰と会えばいいのか、わからなくなってる自分がいます。
友人との会話が成立しない寂しさ
久しぶりに昔の友人と電話してみたんです。向こうは会社勤めで、当然のように「週末の予定」の話題になる。でもこっちは、土曜日が仕事なのが前提の生活。キャンプだのマルシェだの言われても、正直まったく話が噛み合わない。話題を合わせようとしても、だんだんと「ズレ」が生まれて会話が続かなくなる。こんな時、ふと「俺ってもう“普通の人”じゃないんだな」と思い知らされるんですよね。
飲み会もランチも、タイミングが合わない
昔の同級生がたまに飲み会を開いてくれる。でも開催は決まって金曜の夜か土曜日。19時集合とか言われても、こちらは18時まで依頼者対応。そのあと片付けして、書類整理してたらもう21時。中途半端に顔出して「もう帰るの？」なんて言われるのが嫌で、最初から行かなくなる。日曜？ その日は平日の疲れを癒す唯一の日で、出かける元気なんて残ってない。結局、距離は縮まらないまま。
土曜日にしかできない仕事があるという皮肉
平日が忙しい依頼者の都合に合わせると、自然と土曜日が埋まっていきます。「土曜しか空いてなくて…」と言われたら、「じゃあ土曜にどうぞ」と笑顔で返すけど、内心ではちょっと泣いてる。予定を優先して断ろうものなら、「なんだ、柔軟じゃないんですね」と言われかねない。サービス業としての矜持なのか、ただの自己犠牲なのか、もうわからなくなってきます。
依頼者の「その日しか空いてないんです」攻撃
土曜の朝9時。電話が鳴る。「あの…今から行ってもいいですか？」と。前もって予約してくれればよかったのに…と思っても、断れない。だって「その日しか来れない」って言われたら、こちらの予定なんて後回し。この業界、依頼者優先が当たり前。わかってるんです。でも、せめてこっちの都合も聞いてほしい。それを言えない自分が一番ダメなのかもしれないけど。
予定を入れた自分が悪い…という自己責任ループ
たまにはと思って美容院の予約を土曜に入れてたら、当日の朝に急ぎの相談が入る。悩んだ末、予約をキャンセル。「また今度にします」と言って電話を切る。この“また今度”が、もう半年以上先送りになってる。結局、自分のことを後回しにして、仕事を優先している自分がいる。でも誰も責めない。責められない。でも責めたい。このどうしようもない感情、どこにぶつけたらいいんでしょう。
missing value、それは自分自身かもしれない
司法書士の仕事は、人の人生に関わる仕事です。登記、相続、遺言、会社設立…。責任も大きくてやりがいもある。でも、ふと鏡を見たとき、「俺は何を失ってきたんだろう」と思う瞬間があります。missing value――見落とされがちだけど、本当は一番大切な“自分自身”が、すっぽり抜け落ちてるんじゃないか。そんな気がしてならないんです。
空白になっていく「自分のための時間」
カレンダーにびっしり書き込まれた予定。すべて「誰かのため」の時間です。「自分のため」の予定を書き込もうとしたら、なぜか手が止まる。誰かに申し訳ない気がして。で、結局入れない。休みの日に何をしていいかわからない。趣味？ そんなもの、いつの間にか消えました。どんどん、自分の人生から「自分」がいなくなっていく。それが一番怖い。
誰にも使われない休暇届、机の奥で眠る
市役所の申請書みたいに印刷した「休暇届」、試しに作ってみたんです。でも、提出先はどこにもないし、承認印も押されない。机の奥にそっとしまって、そのまま。たまに見るけど、結局またしまう。「今じゃない」「今は無理」って言い訳しながら。本当は誰かに「休んでもいいよ」って言ってほしい。でも、そんな人いないんです。だから今日も机に向かう。
有給？ それって都市伝説ですか？
テレビで「有給取得率が〜」なんて話題を見ると、「へぇ、そんな世界あるんだ」と遠い目になります。個人事業主に有給なんてあるわけないし、病気でも休めない。体調崩した日、フラフラしながらお客さん対応したこともある。でもそれを“頑張ってる”って言ってくれる人は誰もいない。むしろ“当然”と思われてる。それがこの仕事。わかってたけど、やっぱりつらい。
恋愛、趣味、交流――消えていく価値の連鎖
昔は好きだった音楽、映画、ドライブ。今はすべて「時間の無駄」と感じてしまう自分がいる。でも、それって本当に無駄なんだろうか。価値がなくなったんじゃなくて、「感じる余裕」がなくなっただけなのかもしれない。missing valueって、データだけじゃなくて、心の中にもあるんだなと思う。
「今さら始めてもなぁ」の呪い
何かを始めようとすると、必ず浮かぶのがこの言葉。「今さら始めてもなぁ」。語学でもジムでもマッチングアプリでも、最初の一歩が重すぎて動けない。若い頃なら勢いで動けた。でも今は“失敗したくない”気持ちが先に出る。失うものが多すぎる気がして。でも、今動かないと何も得られない。それも、わかってるんだけど。
「やりがい」と「疲弊感」の境目で揺れる
人から「やりがいのある仕事ですね」と言われるたび、少しだけ苦笑いする。「ええ、まあ…」と濁すのが精いっぱい。確かに、感謝されることもあるし、誰かの役に立てる実感もある。でもその裏で、自分の感情や時間をどれだけ切り売りしているか。やりがいだけじゃ続けられない現実を、誰かにわかってほしい。
感謝の言葉で頑張れる…のは最初だけ
「助かりました」「ありがとうございました」。最初はその言葉だけで十分でした。でも10年、20年と続けていくうちに、感謝だけでは埋められない疲労が蓄積されていく。報酬、時間、心のゆとり…。感謝だけで補えない“足りないもの”が、どんどん増えていく。でも口に出すと、ただの愚痴になるから言えない。だから、この記事でこっそり吐き出させてください。
褒められたいわけじゃない、理解されたいだけ
別に「すごいですね」なんて言ってほしいわけじゃない。ただ、「大変なんですね」「無理しないでくださいね」と、少しでも寄り添う言葉をかけてもらえたら救われる。理解されることで、もう少し頑張ろうと思える。人は、理解されることで前に進めるんじゃないかと思うんです。だから、自分も誰かを理解できる存在でいたい。せめてそれだけは。
それでも土曜日に出勤する理由
じゃあ、なぜそこまでして土曜日も仕事するのか。答えはたぶん、怖いからです。止まってしまうのが。動かなくなったら、戻れない気がするから。誰かの役に立てる限り、自分の存在価値を感じられる。だから、今日も出勤する。missing valueを埋めるように。
仕事があることへの感謝と矛盾
矛盾してますよね。しんどい、つらい、やめたいと思いながら、「でも仕事があるだけありがたい」と思う自分もいる。地方で司法書士として生きていくためには、選べる道なんて多くない。それでも、こうして記事を書くことで、少しでも誰かと気持ちを共有できたら、きっと報われる気がします。あなたも今日、頑張ってますよね。お互い、土曜日もお疲れさまです。
