忙しいフリじゃなくて本当に忙しい

忙しいフリじゃなくて本当に忙しい

「忙しいフリ」と思われる理不尽さ

「忙しい」と言うと、どこかで「また大げさに言ってるんじゃないの?」と疑われるような空気があります。でも現実は、朝から晩までひたすら書類とパソコンと電話と向き合っているんです。相談予約は詰まり、役所や裁判所に走り、夜には明日の準備。そんな日常を送りながら、「ちょっと空いてるでしょ?」と軽く言われると、心の奥で静かに怒りが芽生えます。フリなんかしてる暇があれば、せめて昼飯くらい座って食べたい。それが本音です。

本当に手が回らない現実

例えば先週の話。朝から家裁へ提出、昼には依頼者との面談、午後は登記の補正対応で法務局へ電話。帰ってきたら事務員が「パソコン動かない」と言ってきて、設定から再起動から全部自分で。そんなこんなで、自分の作業に取りかかれたのは夜の20時過ぎ。こういう日が週に何度もあるのが現実で、それでも「忙しいフリ」と思われるのは、正直なところ悔しいというか、虚しさすら感じます。

次から次へと押し寄せる案件の波

一つの案件が終わったかと思えば、すぐに次の案件が来る。それも、相続、後見、商業登記と内容がバラバラ。頭の切り替えが追いつかないまま、書類を読み、法律を確認し、期限を守って処理していく。何が大変って、全部が「待ったなし」なことです。優先順位をつける暇もなく、すべてが「至急」と書かれてやってくる。フリどころか、こっちは全力疾走してるんです。

手帳のスケジュールは真っ黒、だけど誰にも伝わらない

スケジュール帳を開けば、平日はほぼ埋まっています。時間単位で予定が詰まっていて、ひとつずれれば全体が崩れる綱渡り。でも、他人から見れば「机に座ってるだけ」にしか見えない。説明しても「へぇ〜」で終わってしまう。そんな反応をされるたびに、「ああ、やっぱりわかってもらえないんだな」と感じます。可視化できない忙しさほど、理解されにくいものはありません。

一人事務所の限界点

私の事務所は地方にある小さな司法書士事務所。事務員が一人いてくれるとはいえ、実質は二人三脚、いや、荷物は私が9割担いでいる感覚です。大手のように分業できるわけでもなく、すべてが自分の肩にのしかかってきます。そんな中で「なんとかなるでしょ」と軽く言われても、心のどこかがポキっと折れそうになるのです。

頼れるのは自分と事務員一人だけ

事務員はよくやってくれています。でも、最終的な判断や専門的な対応は全部私の仕事です。たとえば相談中に急ぎの電話が鳴っても、折り返すのは私。郵送トラブルや補正の判断も私。結局、「最後は自分でやるしかない」というのが常態化していて、気づけば常に何かに追われている。それが、司法書士一人事務所のリアルです。

「分業」という言葉が遠い世界

周りの経営者仲間に話すと、「アウトソーシングすれば?」なんてアドバイスをもらうことがあります。でも、法律実務ってそんなに単純じゃないんです。人に任せられない判断が山ほどあって、それを一つひとつ処理しているうちに時間が消えていく。結局、「自分がやったほうが早い」に落ち着いてしまうんです。だから今日もまた、ひとり残業してしまう。

業務量に対して、あまりにも少ない人手

一日でこなせる業務量には限界があります。でも依頼は待ってくれません。特に相続や登記は「今すぐやってほしい」と言われがちで、その都度「じゃあ調整しますね」とスケジュールに無理やりねじ込む。結果、夜中に作業することも少なくありません。これが何日も続くと、さすがに心身ともに疲弊します。誰かに「忙しいフリ」と言われたら、全力で「違う」と叫びたくなる瞬間です。

「ちょっと時間あるでしょ?」の一言にぐったり

このセリフ、ほんとに刺さります。「ちょっとでいいから」「5分だけ」「今話してもいい?」。どれも相手に悪気はないのはわかってる。でも、その“ちょっと”が積もると、結局1時間、2時間と奪われていく。そしてその分、また帰りが遅くなる。フリじゃなくて、ガチで忙しいんですってば…。

なぜか暇そうに見える職業の誤解

司法書士という職業は、表面的には「落ち着いていて、静かな仕事」に見えるらしく、「忙しいって言うほどでもないでしょ」と言われることがあります。でもそれは大きな誤解。実際は、案件ごとに神経すり減らして、期限と責任の重圧にさらされながら働いているのが現実です。見た目が静かなだけで、中身は常にフル回転なんですよ。

デスクワーク=余裕、という誤解

パソコンに向かっている時間が長い=ヒマという勘違いをされることがあります。でも、実際はその一分一秒が「登記原因証明情報の記載チェック」だったり、「成年後見の報告書作成」だったりして、全然ヒマじゃありません。タイピングしながら同時に次の予定のことを考えたり、電話対応の準備をしたりしてる。脳みそはずっとフル回転しています。

相手の都合ばかり優先されてしまう日常

依頼者から「今日中に何とかして」と言われれば、こちらは予定を詰め直して対応します。でも、自分が少しでも遅れると「司法書士さんって対応遅いんですね」と言われる。こちらの都合なんて関係ない。相手の急ぎには応え、こちらの忙しさは飲み込むしかない。それが日常になっていることが、たまに虚しく感じるんです。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。