気力だけで走り続ける日々に、ちょっとだけ立ち止まりたくなる時

気力だけで走り続ける日々に、ちょっとだけ立ち止まりたくなる時

気力でなんとかしている毎日、それがいつしか当たり前に

司法書士として働く中で、「今日は体調が悪いから休もう」と思える日はほとんどありません。地方の個人事務所を一人で切り盛りしていると、案件の進捗管理、顧客対応、登記手続き、果ては掃除や書類の補充まで、全部自分でこなさないと回りません。事務員さんは一人いますが、当然、全てを任せられるわけでもなく、「最終的には自分がやる」という意識が染みついてしまっているのです。気づけば、気力だけが毎日を支える最後の砦。いつからこうなったんだろう、と思う暇もないまま、また今日も机に向かっています。

本音を言えば、もう疲れてます

「司法書士って楽そうだよね」と言われるたび、なんとも言えない気持ちになります。確かに一見、落ち着いた職業に見えるかもしれません。でも実際には、ミスが許されないプレッシャーと、無限に湧いてくる雑務に、心も体もすり減らしている日々です。本音を言えば、正直しんどい。けれど、しんどいと言ったところで、誰が代わってくれるわけでもないのが現実。疲れていても、「大丈夫そうな顔」をして依頼者の前に立つ。そういう自分が嫌になる日も、実は多いのです。

「やるしかない」が口ぐせになった

最近では、何かと「まあ、やるしかないですよね」が口ぐせになっています。昔はもう少し希望のある言葉を使っていた気がしますが、気力で無理やり乗り越えているうちに、前向きな言葉はどこかに消えてしまいました。「好きなことを仕事にしてるから大変でも楽しいでしょ?」なんて言われた時は、笑いながらうなずいたけれど、心の中では「楽しいなんていつの話だよ」と突っ込んでました。今はただ、目の前のタスクを一つずつ片付けることに精一杯。それだけです。

周りから見れば真面目。でも内心は悲鳴

たぶん周囲から見れば、「真面目な先生」で通っていると思います。遅刻はしないし、約束は守るし、期限もちゃんと守る。でもその裏で、夜中に登記書類の確認をしたり、コンビニで弁当買ってデスクで食べたり、そんな日常の繰り返し。声に出さないだけで、心の中では「もう無理」と何度も叫んでいます。頑張ってるように見せるのも、疲れます。けれど、「自分がやらないと」っていう責任感が、最後の一線を踏みとどまらせてる。そういう人、きっと他にもいるんじゃないでしょうか。

事務所をひとりで背負うということ

司法書士事務所を地方で一人で運営するというのは、都会のように案件が次々舞い込むわけでもなく、自分から動かなければ何も始まらない環境です。案件が多すぎる日もあれば、逆に全く来ない日もある。そのバランスの悪さに精神を削られます。加えて、事務所経営に関わることはすべて自分が最終判断をしなければならず、精神的な負荷は想像以上です。

事務員さんがいても、結局は自分が責任者

ありがたいことに、事務員さんが一人いてくれます。日々の業務を手伝ってくれて、本当に感謝しています。でもやっぱり、彼女に任せきれない部分や、判断を委ねられない仕事が多く、結局「最後は自分がやらないと」という場面が頻繁にやってきます。責任を背負う覚悟を持って開業したとはいえ、それが毎日、何年も続くと心がすり減っていくのを感じます。これは誰かとシェアできる種類の負担ではないのかもしれません。

誰にも相談できない「経営者」の孤独

この業界には「弱音を吐いたら終わり」みたいな空気があります。同業者との飲み会があっても、結局は情報交換が中心で、本音の話ができる雰囲気ではないことが多いです。事務所経営者として、「弱さ」や「不安」を見せることができないプレッシャーの中で、「自分だけがこの状況なんじゃないか」と孤独に感じてしまう夜があります。独身だと、家に帰っても誰かが待っているわけでもなく、ただ静かな部屋と沈黙だけがある。気力だけでは埋めきれない空虚感があります。

気力が切れた日は、どうしてますか?

人間、いつまでも気力だけで走り続けることはできません。ときどきガス欠になる日もあるし、朝から机に向かう気すら起きないこともある。そんな日は、自分なりの「休息の取り方」を試すようにしています。無理にポジティブにならなくてもいい、自分を責めなくてもいい、そんな風に、ちょっとだけ自分に優しくする日も必要なんです。

無理に元気ぶらない。そんな自分を許す練習

気力で踏ん張る毎日の中で、「元気そうに見せること」が無意識のうちに習慣になっていました。でも、ふと鏡を見たときに「この顔、誰?」って思ったことがあります。無理に笑っても、心が伴ってなければ疲れるだけ。だから最近では、「今日はもう無理」と思ったら、予定を詰め込まずに、あえてスケジュールを空ける勇気を持つようにしています。それが難しい日もあるけれど、少しずつ、「休む」ことを覚えていきたいと思っています。

「今日は頑張らない日」を作る勇気

どうしても毎日頑張り続けなきゃと思ってしまうのは、たぶん責任感が強すぎるせいだと思います。でも、それで倒れてしまったら元も子もありません。意識して「頑張らない日」を作ることも、大切な経営戦略のひとつだと考えるようにしています。コンビニで好きなスイーツを買って帰るだけでもいい。Netflixでドラマを1話だけ観るのもいい。小さな「自分への休暇」を取り入れるようにしています。

立ち止まることで、見えるものもある

意外と、立ち止まって周りを見渡すと、今まで気づかなかったことが見えてくることもあります。「ああ、意外と自分、よくやってるな」とか、「この仕事、やっぱり好きかもしれない」とか。立ち止まらないと見えない景色ってあるんですよね。気力だけで走り続けると、それに気づく余裕すらなくなる。だから、立ち止まる勇気、もっと大切にしていこうと思っています。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。