ふと立ち止まってしまう日がある
朝からずっと仕事に追われて、気がつけばもう夕方。書類の山を前にしたまま、手が止まってしまう瞬間がある。外はまだ明るいけれど、頭の中はもやがかかったように重たい。まるで、自分だけ時間が止まってしまったような感覚だ。「あれ、俺、今何してるんだっけ？」そんなふうに思ったのは久しぶりだった。忙しさに慣れてしまった日々の中で、突然空白が訪れる。そんな日が、年々増えてきている気がする。
忙しさに流される日常の中で
電話は鳴るし、メールも来るし、書類も常に期限ギリギリ。誰かの人生を支える責任は分かっている。でもそれに振り回されてばかりいると、自分の感情がどこかへ行ってしまう。こなすことで精一杯で、振り返る余裕なんてない。そんな毎日を繰り返していると、「やってる意味ってなんだろう？」と考えることすら億劫になる。まるで流れ作業の歯車になったような、自分が自分でないような感覚に陥る。
目の前の書類に意味が見えない
登記簿の住所間違いをチェックしながら、ふと考えた。「これ、俺じゃなくてもできるんじゃないか？」と。専門性はある。だけど、それを感じる余裕すらなくなると、ただの紙と判子の世界になる。誰のためにやっているのか、なぜこれをやる必要があるのか、そういった「意味」が見えにくくなる。意味が見えない仕事は、体力を奪う。精神も削られていく。
「これ、誰のためにやってるんだろう？」という問い
昔はもっと、依頼者の顔を思い浮かべながら仕事をしていた気がする。「この人の人生に関わる仕事なんだ」と胸を張っていた。それが今は、「ただの処理作業」になっていないか。効率を求めて、自分の心を置き去りにしてきたかもしれない。そう気づいたとき、自分が何を見失ってきたのかが分かった気がした。
「好き」で始めたはずの仕事だったのに
司法書士になろうと決めたときの自分を、時々思い出そうとする。誰かの力になりたい。手続きの裏にある不安やトラブルを少しでも軽くしてあげたい。そんな気持ちが確かにあった。でも、今の自分はどうだろう。好きだったはずの仕事が、義務と負担に変わってしまっていないか。情熱が埃をかぶって、机の隅に追いやられているような気がして、ふと寂しさを感じる。
開業当初のワクワク感はどこへ
事務所を開いたばかりの頃は、すべてが新鮮だった。電話が鳴るだけで嬉しかったし、相談を受けるだけで「自分にもできるんだ」と自信になった。けれど、気づけばその感動も薄れていった。新鮮だった日々が、今では「ルーチン」と呼ばれる日常になり、次第に感情を乗せる余裕も失っていく。毎日がコピーのように同じで、刺激のない日々は、人の気力をじわじわと奪っていく。
理想と現実のギャップ
理想としていた「地域に根ざした、相談しやすい司法書士」としての姿と、今の自分とのあいだには、かなりの距離がある。理想では、もっと人の役に立てて、感謝されて、やりがいに満ちていたはずだ。現実は、役所とのやり取り、登記システムとの格闘、期限に追われて昼ごはんも抜くことすらある。誰かの役に立てていることもある。でも、疲れのほうが上回る日が多い。
報われる実感が持てない日々
「ありがとう」と言ってもらえることはある。それでも、心に染み込んでくるほどの達成感や、報われたという感覚はなかなか感じられない。自分がどれだけやっても、また次の案件が来て、また新しいトラブルがやってくる。報われる前に、次へと追い立てられるような、そんな感覚が続いていくと、「この仕事、いつになったら楽になるんだろう」と思わずにはいられない。
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ふと立ち止まってしまう日がある
朝からずっと仕事に追われて、気がつけばもう夕方。書類の山を前にしたまま、手が止まってしまう瞬間がある。外はまだ明るいけれど、頭の中はもやがかかったように重たい。まるで、自分だけ時間が止まってしまったような感覚だ。「あれ、俺、今何してるんだっけ？」そんなふうに思ったのは久しぶりだった。忙しさに慣れてしまった日々の中で、突然空白が訪れる。そんな日が、年々増えてきている気がする。
忙しさに流される日常の中で
電話は鳴るし、メールも来るし、書類も常に期限ギリギリ。誰かの人生を支える責任は分かっている。でもそれに振り回されてばかりいると、自分の感情がどこかへ行ってしまう。こなすことで精一杯で、振り返る余裕なんてない。そんな毎日を繰り返していると、「やってる意味ってなんだろう？」と考えることすら億劫になる。まるで流れ作業の歯車になったような、自分が自分でないような感覚に陥る。
目の前の書類に意味が見えない
登記簿の住所間違いをチェックしながら、ふと考えた。「これ、俺じゃなくてもできるんじゃないか？」と。専門性はある。だけど、それを感じる余裕すらなくなると、ただの紙と判子の世界になる。誰のためにやっているのか、なぜこれをやる必要があるのか、そういった「意味」が見えにくくなる。意味が見えない仕事は、体力を奪う。精神も削られていく。
「これ、誰のためにやってるんだろう？」という問い
昔はもっと、依頼者の顔を思い浮かべながら仕事をしていた気がする。「この人の人生に関わる仕事なんだ」と胸を張っていた。それが今は、「ただの処理作業」になっていないか。効率を求めて、自分の心を置き去りにしてきたかもしれない。そう気づいたとき、自分が何を見失ってきたのかが分かった気がした。
「好き」で始めたはずの仕事だったのに
司法書士になろうと決めたときの自分を、時々思い出そうとする。誰かの力になりたい。手続きの裏にある不安やトラブルを少しでも軽くしてあげたい。そんな気持ちが確かにあった。でも、今の自分はどうだろう。好きだったはずの仕事が、義務と負担に変わってしまっていないか。情熱が埃をかぶって、机の隅に追いやられているような気がして、ふと寂しさを感じる。
開業当初のワクワク感はどこへ
事務所を開いたばかりの頃は、すべてが新鮮だった。電話が鳴るだけで嬉しかったし、相談を受けるだけで「自分にもできるんだ」と自信になった。けれど、気づけばその感動も薄れていった。新鮮だった日々が、今では「ルーチン」と呼ばれる日常になり、次第に感情を乗せる余裕も失っていく。毎日がコピーのように同じで、刺激のない日々は、人の気力をじわじわと奪っていく。
理想と現実のギャップ
理想としていた「地域に根ざした、相談しやすい司法書士」としての姿と、今の自分とのあいだには、かなりの距離がある。理想では、もっと人の役に立てて、感謝されて、やりがいに満ちていたはずだ。現実は、役所とのやり取り、登記システムとの格闘、期限に追われて昼ごはんも抜くことすらある。誰かの役に立てていることもある。でも、疲れのほうが上回る日が多い。
報われる実感が持てない日々
「ありがとう」と言ってもらえることはある。それでも、心に染み込んでくるほどの達成感や、報われたという感覚はなかなか感じられない。自分がどれだけやっても、また次の案件が来て、また新しいトラブルがやってくる。報われる前に、次へと追い立てられるような、そんな感覚が続いていくと、「この仕事、いつになったら楽になるんだろう」と思わずにはいられない。
小さな「ありがとう」が支えになっている
それでもやっぱり、辞めようとは思えないのは、たまに訪れる「ありがとう」の言葉があるからかもしれない。特別な案件じゃなくても、ちょっとした相談で「安心しました」と言われるだけで、肩の力が抜けるような気がする。大げさに感謝されるわけじゃなくても、誰かの不安を少しでも軽くできたという感覚が、自分の存在意義をつなぎとめてくれている。
依頼人の言葉に救われた日
数年前、認知症のお母さんの財産管理で悩んでいた娘さんから、「先生がいてくれて本当によかったです」と言われたことがある。その言葉がずっと残っている。あのとき、自分は専門家として何かをしたというより、ただそばで話を聞いて、できることを一緒に整理しただけだった。でも、そういう「寄り添い方」こそが、仕事の本質なのかもしれないと、今でも思っている。
仕事の本質は「手続き」じゃなく「安心」かもしれない
書類の作成や登記の完了ももちろん大事だが、それよりも「この人に任せて大丈夫」と思ってもらえることのほうが、大きな価値を持っているように思う。技術や知識だけでは伝えられない安心感。それを届けられる人でありたいと、初心に戻るような気持ちで考えることがある。そう思えるとき、仕事は少しだけ意味を取り戻す。
書類の向こうにいる「誰か」を思い出す
目の前にある書類は、単なる事務作業ではなく、その人の人生の一部だということ。自分が関わることで、少しでも前に進めるなら、この仕事には意味がある。書類の奥にいる「顔」を思い浮かべながら作業をするだけで、気持ちは少し変わる。忘れていたのは、目の前の書類に込められた「誰かの不安」だったのかもしれない。
