今週の楽しみがコンビニスイーツだけ

今週の楽しみがコンビニスイーツだけ

スイーツ棚の前で立ち止まる理由

月曜日の朝、予定表を開いた瞬間に心が重くなる。火曜は役所回り、水曜は立会い二件、木曜は午後からお客さん対応。金曜は例の変更登記が待っている。今週もまた、誰にも褒められず、誰にも気づかれないまま、黙々とタスクをこなすだけの一週間が始まる。そんな中で、ふと頭に浮かぶのが「今週の新作スイーツは何だろう?」というささやかな希望だ。

月曜の朝から先が見える憂鬱

司法書士という仕事は、スケジュールの過密さが当たり前だ。書類の締切、依頼人の都合、法務局の受付時間、どれ一つとしてこちらの都合では動かない。そんな中で、月曜の朝に一週間分の予定を見ると、思わずため息が出る。「何か楽しみはないのか」と自分に問いかけても、何も浮かばない。ただ、ローソンのあのプリンの発売日だけはしっかり覚えている。これが今の自分の現実だ。

週の予定を見てため息が出る

昔は週末に友人と飲みに行ったり、草野球の試合に参加したりすることで、平日のストレスを発散していた。だけど今は、そんな誘いも減り、体力的にも気力的にも難しい。土曜日の夜、録画したバラエティ番組を見ながら一人で甘いものを食べる。それがいまの「ご褒美」になっている。これが寂しいと言われれば、確かにそうかもしれない。でも、やっとのことで辿り着いた「甘い時間」なのだ。

登記と電話と来客と

日中はずっと、細かい確認作業の連続。登記の申請内容を二重三重にチェックし、電話では相続人の話を聞き、来客には笑顔で対応。どれもこれもミスが許されない。そんな張り詰めた空気の中、唯一緊張を緩められるのが、夜のコンビニスイーツだ。甘さに癒されるというより、「人間らしさ」を取り戻すような感覚に近い。

「これを越えれば週末」がない

「金曜まで頑張れば」と自分を励ましていた時期もあった。でも最近は、金曜の夜に何が待っているわけでもない。予定もなければ、誰かと会うこともない。独身で、友達も減って、週末はただただ「誰にも邪魔されずに寝る日」になってしまった。そんな週末に、一人で食べるスイーツが、どこか小さなイベントのように感じられるのだ。

金曜の夜に何かがあるわけじゃない

たとえば世間の人が「花金」と呼ぶ金曜日。こちらにとってはただの「明日も事務処理を片付けたい日」でしかない。けれど、コンビニの冷蔵棚で目にする新作の文字に、どこか救われる気がする。「今日はこれがあるから、もう少し頑張ってみよう」と思えるだけで、少しだけ足取りが軽くなる。

コンビニスイーツというささやかな希望

人生の中でこんなにも「甘いもの」に救われる日が来るとは思っていなかった。若い頃はどちらかというと塩派だった。だけど今は、スイーツ棚の前で「どれにしようか」と悩む時間が何よりも楽しい。新作が出るたびに、「これが今週のハイライトか」と思える。悲しい話かもしれないが、それでも何もないよりはマシだと思いたい。

新作チェックが唯一の楽しみ

某コンビニのスイーツアカウントをフォローしている。通知が来たらすぐに確認して、発売日をカレンダーにメモしている自分がいる。司法書士のスケジュール帳に、唯一書かれるプライベートな予定が「バスチー発売日」。誰にも言えないけれど、これが生きる糧になっているのは確かだ。

限定の文字に弱い性格

「期間限定」「数量限定」そんな言葉に弱い。もしかしたら仕事柄、限定性に敏感なのかもしれない。登記も期限が命だし、書類にも「有効期間」がある。この職業に長く携わっていると、「今しかない」という感覚に敏感になる。だからスイーツも「今しか食べられない」と思うと、自然と手が伸びてしまう。

売り切れてたときのダメージ

意気揚々とコンビニに行って、目当てのスイーツが売り切れていると、妙に心に刺さる。たかがスイーツ、されどスイーツ。「これしか楽しみがなかったのに…」という虚しさが、ズシンとくる。代わりに別の商品を手にしても、どこか「妥協した自分」が恥ずかしい。

一人で食べるスイーツの寂しさと温かさ

冷蔵庫を開けると、入っているのは飲みかけの麦茶と、買い置きのスイーツだけ。そんな自分の暮らしが、ふと寂しくなる夜もある。でも、スイーツを口に運んだ瞬間だけは、少しだけ「頑張ったな」と思える。誰にも評価されない日々の中で、自分で自分をいたわる方法が、今のところはこれしかない。

誰かと分け合えたらと思う夜

「これおいしいよ」と誰かに差し出す相手がいたらいいのに、と思うこともある。でも、現実はそううまくいかない。この年齢になると、出会いも少ないし、何より人付き合い自体が億劫になる。だからこそ、一人で食べるスイーツの甘さに、どこか安心感を覚えるのかもしれない。

だけど今はこの一口がありがたい

甘さが心に染みるのは、きっとその裏にある疲れや孤独を包んでくれるからだ。誰にも言えない愚痴や、理不尽なクレームの処理、重い責任の数々を抱えた一日を終えた夜に、そっと口にするスイーツ。それは「生きててよかった」なんて大げさなものではないけれど、「今日もなんとか終わった」と思わせてくれる。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。