見た目だけで判断される違和感
「司法書士って、もっと怖そうな人かと思ってました」──初対面の人にこう言われた経験、何度あるかわかりません。たしかにスーツを着て真顔で応対していれば、堅いイメージを持たれるのも無理はありません。でも、こっちは朝から猫動画で癒されて、仕事中はコンビニのアイスのことで頭がいっぱいだったりします。肩書きと中身のギャップ、その誤解にいちいち説明するのも面倒くさくて、もう「そう見えるならそう思ってもらって結構です」って投げやりになることも。でも本音を言えば、ちょっとだけ寂しいんですよね。
スーツを着ているだけで真面目認定
毎日スーツを着ていると、周囲から「きちんとしている人」と思われることが多いです。実際、仕事においては信頼が大事なので、見た目で損をしたくないという気持ちはあります。でもね、私服の私は本当に地味なんです。ユニクロのTシャツに野球帽、それで近所のスーパーに行くと、誰にも気づかれないどころか、同じ町内会の人にすら「あれ、誰でしたっけ?」と言われる始末。スーツが制服化すると、逆にそれ以外の自分を忘れられてしまうような、そんな切なさがあるんです。
中身は意外とお喋り好きです
私は実はかなり話し好きです。事務員さんには毎日ちょっとしたことを話しかけて、「はいはい、先生もうおしゃべりはそのへんで」と軽くいなされることもしばしば。でも外に出ると、司法書士=黙って書類に向かっている人、というイメージが根強くて、自分から話しかけても妙な壁を感じることがあります。話してみれば、笑いのツボも浅いし、むしろ人懐っこい方だと自負しているんですけど、なかなかそれが伝わらないのはもどかしいですね。
冗談を言うと「そんなキャラなんですか」と驚かれる
あるとき、依頼者との雑談中に「いや〜、最近のプリンターって機嫌が悪いと印刷しないんですよ」と冗談を言ったら、相手が一瞬真顔になってから「司法書士さんでもそんなこと言うんですね」と笑いました。それはそれで嬉しかったけど、同時に「そんなこと言わなさそうな職業」ってどんな立ち位置なんだろうと少し複雑でした。もう少し最初から、ゆるめに構えてもらえたらなと、つくづく思います。
職業名が先に来ると逃げられる
「お仕事は何をされてるんですか?」という質問が、正直ちょっと苦手です。「司法書士です」と答えた瞬間、相手の目がふっと曇ることがあるんです。妙な距離ができるというか、「じゃあちょっと身を引こうかな」みたいな空気になってしまう。こっちはただの、元野球部の気のいいおじさんなんですが、肩書きが先に立ってしまって、それ以外の自分が消えてしまうような、そんな感覚になるんです。
「司法書士です」って言った瞬間の空気の変化
一度、居酒屋で隣になった人とたまたま話す機会があったんですが、会話が盛り上がって「お仕事何されてるんですか?」と聞かれて、うっかり「司法書士です」と答えたら、途端に「へぇ…すごいですね…」と急に敬語モードに。あの瞬間のシラけた空気、いまだに忘れられません。別に偉くもなんともないのに、「すごい人」と思われてしまうのは、ちょっと疲れることもあるんです。
合コンでモテない理由が分かった気がする
若いころ、何度か合コンに行ったことがあります。でも「司法書士」と言った瞬間、相手のテンションが下がるのが目に見えて分かることが多かった。かといって「事務仕事」とぼやかしても「なんの?」と追及されるし、正直、恋愛の場面ではこの職業名があまり味方になった試しがありません。たぶん、なんか堅そう、めんどくさそう、という印象を持たれてしまうんでしょうね。
お金の相談ばかりされるのも地味につらい
「司法書士ってことは、相続とか得意なんですか?」という質問、よくされます。もちろん業務の一環ではあるけれど、こっちが聞いてもいないのに「兄弟で遺産の分け方でもめてて…」と延々と話されることも。飲みの席で気軽にしゃべりたいだけなのに、いつのまにか無料相談会状態。そういうとき、「職業名を出さなければよかったな」と後悔すること、正直よくあります。
これからの司法書士はもっと人間らしく
時代が変わってきて、少しずつ「堅い士業」のイメージにも揺らぎが出てきたように感じます。昔はとにかく真面目で寡黙でなければ、信用を得られなかったかもしれませんが、今はむしろ、親しみやすさや柔らかさが求められている気がします。司法書士も、もっと自分を出していい。自分の言葉で話し、冗談を言って、泣いたり笑ったりしてもいい。そんな姿を見て「相談してよかった」と思ってもらえるなら、それが一番幸せなんじゃないかと思うのです。