依頼人からの連絡が来ないと思ったら迷惑フォルダで眠っていた件

依頼人からの連絡が来ないと思ったら迷惑フォルダで眠っていた件

メールが届いていないと思い込んでいた朝

朝、いつものように事務所に入り、PCの前でコーヒーを飲みながらメールチェックをしていた。ある依頼人からの返信を数日待っていたのだが、何度見ても届いていない。あの人、ちょっと反応が遅いタイプだったか…いや、今回は少しおかしいぞ。内容的には急ぎだったはずなのに。どこか不安が頭をよぎる。私はせっかちでも神経質でもないが、「音沙汰がない」ことに妙なプレッシャーを感じることがある。信頼関係というのは、些細なことで揺らぐものだ。

依頼人の沈黙に違和感を覚えた瞬間

それにしてもおかしい。あの依頼人、いつもは即レスとまではいかなくても、翌日には何らかの返信をくれるタイプだった。電話を入れるのは少し気が引けるが、このままでは書類の進行に支障が出る。ふと、「もしかして」という直感がよぎり、迷惑メールフォルダを開いてみる。…あった。件名も本文もすべて既読になっていない。「お世話になっております。書類確認いたしました」と、しれっとそこに眠っていた。思わずため息が出た。

返信が遅れているのはこっちなのかあっちなのか

状況としては、完全にこちらの見落とし。依頼人にしてみれば、「ちゃんと送ったのに、なんで無視されてるんだろう?」と不信感を持たれても仕方がない。でも、こちらとしても通知すらされていないメールにどう反応しろというのか。まるで野球でストライクゾーンの外を狙ったつもりが、審判に「あれ入ってたよ」と言われるようなもの。見えてないものには、どうしたって対応できない。

待ってる側と気づかない側の温度差

依頼人は返信を送った安心感がある。でもこちらは、届いてないという前提で時間を費やしている。この温度差が積もると、信頼関係にヒビが入るのが怖い。実際、私も逆の立場なら「この人ほんとに大丈夫か?」と思うだろう。今まで築いた関係が一通のメールで崩れるなんて、なんとも虚しい。それでも現実は、そういう理不尽さに満ちている。何度も「気づいていれば」と後悔してしまった。

迷惑フォルダという落とし穴

誰が得をするんだ、この仕組みは…と愚痴りたくなる。迷惑フォルダの中には、実はまともなメールがけっこう入っている。ウイルスまがいのスパムだけじゃない。依頼人からの真面目なメールだって、プロバイダの気まぐれで突っ込まれてしまうことがある。これじゃ、誤審どころか試合が成立しない。しかも通知されないことも多いから、本当にたちが悪い。

気づくまでの数日間のモヤモヤ

まるで幽霊屋敷でドアが開かない理由を考えていたら、実は後ろから鍵がかかっていたような感覚だ。何が原因かも分からず、連絡が途絶えたと思って悩んでいた自分がバカらしい。でも、バカらしいと思う一方で、依頼人に迷惑をかけてしまったという罪悪感も強く残る。結果としては、「確認しなかった自分の落ち度」と言われれば、その通りである。

メール文化と信頼のズレ

メールという便利な道具は、信頼の上に成り立っている。しかしその信頼が、技術的な落とし穴ひとつで崩れることもある。特に法律や登記のような正確性が命の仕事では、小さなミスが命取りになる。私たちは「届いているはず」と思っているが、それは思い込みかもしれない。迷惑フォルダに振り分けられるたびに、その信頼は揺らいでしまう。

こちらの落ち度なのに言い訳がましくなる

結局、依頼人には「迷惑フォルダに入っていたようです」とメールで返信をした。言い訳ではなく、事実なのだが、それでも「返信が遅れてしまい」と頭を下げる文面になった。相手がどんな反応をするか分からないからこそ、こちらは丁寧に、そして慎重に。だがその丁寧さが、かえって保身に見えることもあるから難しい。

見てなかったとは言いにくいけど言うしかない

「見落としていました」と正直に伝えるしかない。でも、それが本当に届いていなかっただけだとしても、信じてもらえるかどうかはまた別の話。とくに書類のやり取りがシビアな案件では、少しの遅れが命取りになることもある。「忙しかったんです」とは言えないし、「そっちのメールが変だったのでは」とも言えない。ただ謝る。…情けない話だが、それが現場のリアルだ。

素直な謝罪と気まずさの境界線

「本当にでした」と書いて送信ボタンを押す手が、妙に重い。相手がどう思っているかを想像しすぎて、自分の中で勝手に悪者になっているような気さえする。けれど、ここで誠実に謝らなければ、関係はもっと拗れてしまう。だからこそ、「どんなに気まずくても素直に謝る」ことを選んだ。言葉だけじゃ伝わらないから、気持ちを込めたつもりだ。

言い訳に聞こえない説明って難しい

何を言っても、結局は言い訳に聞こえるのがこの手のトラブルだ。特に、メールなんて今や誰でも使ってるし、「迷惑フォルダに入ってたんですよ」なんて言えば、聞こえようによっては「そんなの確認しとけよ」と思われるのがオチ。ちゃんと説明して、ちゃんと謝って、それでも相手の中にモヤモヤが残るのは仕方ない。でも、やるべきことはやった、そう思うしかなかった。

そもそもなぜ迷惑フォルダに入ったのか

技術的なことは正直よく分からない。ドメイン認証だのSPFレコードだの、専門家に聞かないと理解不能だ。たしかに、私の事務所のメールは独自ドメインを使っている。でも、なぜそれが迷惑メール扱いされるのかまでは分からない。パソコンって、こちらが思っている以上に勝手な判断をしてくる。

迷惑判定のロジックなんて知ったこっちゃない

迷惑メールの基準って一体なんなんだ。本文に「契約書」「登記」「報酬」なんて単語が入っていたから?HTML形式でちょっと装飾しただけでスパム判定されるとか、意味がわからない。そんなこと言い出したら、まともな業務連絡なんて全部ダメになってしまう。プロバイダの気分で信頼関係が壊れると思うと、なんともやるせない。

GmailとOutlookの気まぐれ

同じ内容のメールでも、Gmailでは迷惑扱いされるのに、Outlookでは普通に届いたりする。もうこれは、完全に運としか言いようがない。通知もなければアラートも出ない。ただ静かに、迷惑フォルダで眠っている。それに気づくまでに数日かかるというのも、事務所運営としては致命的だ。なのに、システム側は一切責任を取らない。理不尽だ。

ドメイン設定とか本当に苦手

事務員の子にも聞いたが、彼女も「それは詳しい人に頼んだ方がいいですね」と苦笑い。結局、私はネット検索で設定方法を調べて、SPFとDKIMを必死に設定した。こういうのがあるから、PC関係のことは本当に嫌になる。でも、やらないとまた同じことが起きる。だから、やる。嫌々でもやる。それが一人事務所の現実だ。

メールだけに頼ってはいけないのかもしれない

今回の件で痛感したのは、メールは便利だけど万能じゃないということだ。これからは電話確認やLINEでの補足連絡も視野に入れていくべきかもしれない。効率よりも確実性を優先すべき場面は、想像以上に多い。小さなミスが、大きな信頼を失うことにつながる。その重みを忘れないようにしたい。

電話確認のひと手間を惜しまないという決意

昔は電話確認が当たり前だった。それが今では「電話は面倒」と言われる時代。でも、迷惑フォルダに埋もれた一通のメールで信頼を失うくらいなら、ひと手間かける価値はある。実際、今回も電話していれば一発で解決していた。効率化の名のもとに、重要なことを見失ってはいけない。そう、身に染みて感じた。

結局アナログが一番確実という皮肉

デジタル化、ペーパーレス、クラウド時代…便利になったけど、トラブルも増えた気がする。紙で確認していた時代の方が、むしろ安心だった部分もある。人の手で確認し、人の目で見る。そのアナログさが、信頼の土台になっていたのかもしれない。これからは便利さと信頼性のバランスを、もっと考えていきたい。

でも時間も人手も足りない現実

理想はわかっている。全部確認して、全部連絡して、全部記録して。でも、一人で回してると、理想と現実のギャップに潰されそうになる。事務員だって万能じゃない。だからこそ、ミスを減らす仕組みを作らないと、自分が壊れる。技術に頼りすぎず、でも技術も活かす。そのバランスが、これからの課題だ。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。