休んでいても心は事務所にいる
休みの日にカフェでコーヒーを飲んでいても、ふと「補正の確認したっけ?」と脳内でタスクリストが再生される。そんな状態がずっと続いている。目の前の景色がどれだけ穏やかでも、頭の中は登記簿や申請書の文字でぎっしり。もうこれは“病”かもしれないとさえ思う。心がどこか常に「仕事モード」なのだ。
休日のカフェでも頭の中は登記簿
昔は、コーヒー片手に本でも読んでゆっくりできた。でも、独立してからというもの、「あの案件の地番、確認したっけな」とか、「補正の電話、月曜の朝イチでしといた方がいいかな」なんて、そんな思考が勝手に湧いてくる。カフェにいても、スマホで登記情報サービスを開いてしまう自分が情けないやら、可笑しいやら。
「ちょっと見てくるだけ」が結局半日潰れる
「ちょっと事務所寄ってくるわ」が口癖になってしまった。休日なのに、何か不安で…その不安を潰すために鍵を開け、書類を確認して、郵便を見て、ついでにメールをチェックして…。結局気づけば3時間くらい経っている。相手は呆れ顔。こっちは罪悪感。そしてまた自己嫌悪。そんなことの繰り返し。
気がつけば事務員へのLINEを打っている自分
ふと気づくと、事務員へのLINEを打っている。「あの書類、見直しておいてくれる?」「月曜の段取り、変えたいかも」。返信は当然ない。休みなんだから。でも、送らずにはいられない自分がいる。相手のことを思っているようで、結局は自分の不安を処理したいだけなのかもしれない。そんな未熟さにも気づいているのに。
相手の気持ちに気づかないふり
「仕事のことばかり考えてるね」と言われても、反論できない。してはいけないとわかっている。わかってはいるけど、止められない。心のどこかで“理解してほしい”という甘えがあるのかもしれない。相手の顔を見ても、心のどこかで次の案件の締切がちらつく。誰といても、どこにいても、自分の中で仕事が優先されてしまう。
「聞いてる?」と言われて初めて現実に戻る
会話の途中で、「聞いてる?」と問われる。そこでようやく、今自分が“聞いてなかった”ことに気づく。申し訳ないと思う。でも正直なところ、話の内容すら頭に入ってきていなかったりする。そんな自分がどんどん嫌いになっていく。相手に申し訳ない気持ちと、自分への怒りと、焦燥感とで、心がぎゅっと縮こまってしまう。
夕食中もスケジュールと補正のことばかり
目の前の食事より、明日の申請の流れが気になってしまう。市役所で必要な証明が間に合うか、法務局に出すタイミングはどうか…。会話も手も止まる。せっかくのご飯の味も感じなくなる。ただ咀嚼して飲み込んでいるだけ。誰かと一緒にいても、心は常に“明日のこと”を考えている。それが続くと、相手も離れていってしまう。
元野球部のくせに切り替えが下手すぎる
学生時代、試合の切り替えは早い方だった。打たれてもすぐ忘れて次に集中するタイプ。でも今は違う。失敗や不安が心にこびりついて離れない。寝ても覚めても気になる。何があってもリセットできない。まるで自分が自分の脳を支配できていないような感覚。いつからこんなに不器用になったのだろう。
オンオフの切替を“気合”で乗り切れない歳になった
昔は気合でどうにかできていた。夜遅くまで働いても、翌朝には元気だった。でも今は違う。頭も体も重くて、無理をするとすぐ反動がくる。だからこそ「今のうちにやっておこう」と思ってしまう。でもその結果、常に頭のどこかが“オン”になっていて、気が休まらない。悪循環のループに、ただただ疲弊する。
一球入魂だった昔と違い、ミスは何日も尾を引く
野球部の頃は、1プレーで結果が決まる潔さがあった。良くも悪くも次の回に切り替えられた。でも司法書士の仕事は違う。一度のミスが何日も尾を引くし、関係者にも影響を与える。だから気が抜けない。だからこそ、仕事のことが頭から離れない。それが当然だと思い込もうとしている自分もいる。
孤独な経営者の思考は止まらない
職員がひとり、事務所の全体管理も自分。気づいたら常に“次のトラブル”のことを考えてしまう。何が起こるか、どこでボタンをかけ違えるか…。自分ひとりで背負っているからこそ、脳が勝手に予測モードになる。それは自衛本能のようなものでありながら、同時に心の平穏を奪っていく。
事務員には見せられない焦りと不安
事務員の前では、あまり弱い顔を見せられない。なるべく落ち着いた態度で、どんなトラブルも「大丈夫」と言ってしまう。でも本当は、ギリギリのところで綱渡りをしている。資金繰りや顧客対応、スケジュール管理。そのすべてが常に頭の片隅にある。誰にも見せられない“焦り”が、日常の思考を蝕んでいる。
「いつまで続けられるか」なんてことばかり考えてしまう
ふとした瞬間に思う。「あと何年、この状態を保てるんだろう」と。一人で切り盛りすることの限界。年齢的な体力の低下。周囲との人間関係の距離感。そのすべてが、じわじわとプレッシャーになっている。辞めたいわけじゃない。でも、続ける覚悟にも疲れてきている。それが、脳を休ませない一因なのかもしれない。