京極パイセンと藤田パイセンに挟まれて生きる日々

京極パイセンと藤田パイセンに挟まれて生きる日々

京極パイセンと藤田パイセン その名前を聞くだけで胃が重い

司法書士業界に長くいると、どうしても「パイセン」という存在に悩まされる時期がある。特にウチの事務所周辺にいる京極パイセンと藤田パイセン。この二人に挟まれて生きる日々は、まるで息苦しいコンクリートジャングルのような閉塞感に満ちている。電話で名前を聞くだけで、胃がギュッと締まる。たぶん、同業の誰かがこの文章を読んだら「わかる!」と膝を叩いてくれるんじゃないだろうか。

事務所に響く「それまだ終わってないの?」の声

一度、夕方ギリギリの時間に登記申請の確認をしていたら、ふらっと京極パイセンが事務所に現れた。「それ、まだ終わってないの?」とひと言。こちらとしては丁寧に確認してるつもりなのに、その一言で一気に自信を削がれた。たぶん彼にとってはルーティンなのだろうが、言われた側はしばらく動けなくなる。静かな事務所に響いたその言葉が、今も耳に残っている。

昔ながらの指導と今の感覚のギャップ

京極パイセンは「昔はなあ、夜通しで申請書書いてたもんだ」と、武勇伝のように語る。だが、それは昭和の根性論であって、今の時代にはそぐわない。かといって反論すれば、「最近の若いのは」と返されるのがオチだ。指導というよりも、ただの圧になっていることに、本人は気づいていないのか、気づいていてわざとやっているのか。

言い返せない自分が一番嫌いだったりする

パイセンの言動に違和感を覚えつつも、言い返せず、笑ってやり過ごす自分。帰宅後、シャワーを浴びながらその場面を思い出しては、「なんであのとき言い返せなかったんだろう」と自己嫌悪に陥る。実はパイセンがどうこうより、そういう自分の弱さが一番つらいのかもしれない。

野球部仕込みの根性も 司法書士の現場では通用しない

かつて野球部でキャプテンを務めていた頃は、多少の理不尽も「チームのためだ」と受け入れられた。でも司法書士の現場では、根性や気合いではどうにもならないことが多すぎる。ルールにのっとって、正確に、冷静に進めなければミスに直結する。グラウンドで汗を流していたあの頃とは、あまりにも違う世界だ。

気合いと根性じゃ処理できない登記の山

登記申請書の一字一句、添付書類の正確さ。気合いを入れれば乗り越えられる、なんてものじゃない。むしろ焦れば焦るほどミスが増える。野球部的なメンタリティは、ここでは通用しないのだ。前に「今日は徹夜してでも仕上げます!」と勢いで言ったら、事務員さんに「それって逆に怖いです」と言われてショックだった。

一球入魂より一字一画が命取り

高校時代、「一球入魂」の精神で白球を追っていた。しかし今は「一字入魂」で間違えられない書類を仕上げている。登記識別情報のミスは命取りになる。ボールの見逃し三振より、書類の訂正命令の方が、はるかに心にくる。正直、もう少し肩の力を抜きたいが、それを許さないのがこの仕事の世界でもある。

事務員さんは優秀 でもパイセンたちはもっと声がでかい

うちの事務員さんは本当に優秀だ。提出書類の管理も、郵送ミスもないし、申請前のチェックも的確。でもそんな優秀さも、パイセンたちの声量と自己主張の前ではかき消される。結局、声が大きい人が現場を動かしてしまう。この現実に、なんとも言えない悔しさを感じる。

小さな事務所に広がるパワーバランス

事務所は狭い。だからこそ、誰がどう発言するか、誰が空気を握っているかがダイレクトに反映される。京極パイセンが来れば、空気が一変し、藤田パイセンが電話してくるときは、事務員さんの動きまで硬直する。これは、もう一種の支配なのかもしれない。

事務員さんが帰った後が本当の戦い

17時半。事務員さんが帰宅すると、事務所は一気に無音になる。そこからが自分との戦い。申請期限、取引先への連絡、修正指示。黙々とPCに向かいながら、どこか「俺、何やってんだろう」と思ってしまう夜も多い。そんなときこそ、パイセンの声がリフレインのように蘇ってきて、なぜかさらに疲れる。

なぜかモテない 司法書士って肩書きも活かしきれず

司法書士って、けっこうしっかりした仕事のはずなのに、なぜか女性には響かない。合コンに行って「司法書士やってます」と言っても、「へえ〜すごいですね〜」のあとが続かない。税理士や弁護士に比べて、なんか地味な印象があるらしい。肩書きだけで勝てる時代じゃないのは、よくわかってるんだけど。

婚活アプリでの沈黙と自己紹介の限界

プロフィールには「司法書士」と書いている。だけど、マッチしても会話が続かない。なんなら「それって、なんの仕事?」と聞かれることもしばしば。相手に職業の説明をしているうちに、こっちのテンションが下がってしまう。もしかして、俺が悪いのか…と自問する夜。

結婚願望と法人登記の書類を見比べる夜

ある晩、法人設立の登記申請を仕上げながら、ふと「婚姻届もこんなふうに書類で済めば楽なのにな」と思った。あれこれ書いて、提出して、受理されて、はい完了。現実の恋愛や結婚は、そんなにスムーズにいかない。法人登記のほうがよほどわかりやすいし、間違っても補正で済むんだから、楽なものだ。

愚痴ばかりだけど それでも続けている理由

愚痴は多い。でも、やめようとは思っていない。司法書士としての誇りもあるし、困ってる人を助けたときの喜びは、何にも代えがたい。そして何より、京極パイセンも藤田パイセンも、実は憎めない存在だったりする。ムカつくこともあるけれど、いつのまにか、彼らの存在が自分の「軸」になっているのかもしれない。

京極パイセンも藤田パイセンも実は大事な存在

先日、ある登記でトラブルがあり、どうしても知恵を借りたくて京極パイセンに電話した。意外にも親身になってくれて、的確なアドバイスをもらった。そのとき思った。「ああ、この人たち、面倒だけど経験は本物なんだな」と。嫌いだけど、尊敬してる。そんな感情が同居している。

愚痴を吐ける環境こそが支えかもしれない

このコラムもそうだけど、愚痴を吐ける場所があるというのは、本当にありがたい。司法書士という仕事は孤独になりやすい。けれど、こうして誰かに届くかもしれない言葉を綴ることが、自分の支えになっている。京極パイセン、藤田パイセン、これからもたぶん文句言いながら付き合っていくんだろうな。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓