登記官の一言でぐったりした日会社設立で見落とした小さな落とし穴

登記官の一言でぐったりした日会社設立で見落とした小さな落とし穴

登記官からの一言に心が折れた

会社設立登記の依頼を受けたとき、正直今回はスムーズにいくと思っていました。何度も同じような案件を処理してきたし、書類も一通りチェックした。事務員にも確認してもらい、自信を持って法務局に提出したんです。でも返ってきたのは、見慣れた訂正印入りの書類と、登記官のひとこと。「これ、定款のこの表現、ちょっとおかしいですね」……え? そこ? 思わず声が出そうになりました。まさかそんなところを突かれるとは。完璧だと思っていた分、心のダメージは予想以上に大きかったのです。

完璧だと思った書類が戻ってきた瞬間

法務局から戻ってきた封筒を開いたとき、嫌な予感はしていました。厚さがいつもより微妙に違う。中を見た瞬間、「補正のお願い」が目に入り、やられた……と頭を抱えました。書類をめくると、赤字の訂正が丁寧にされていて、しかも複数箇所。提出時には問題なかったはずの表現が、なぜか今回だけ通らなかった。「おかしいな、前回の登記ではこれでOKだったのに……」と、呟きながら、過去の記録を引っ張り出して比較する羽目になりました。こういう地味な敗北が、実は一番心にくるんですよね。

「ここ直して」の一言に頭が真っ白

補正理由として書かれていたのは「目的の記載が抽象的すぎる可能性があるため、具体化を検討してください」という一文でした。いや、確かに多少ふわっとしていたかもしれない。でも、これまで何度もこの文言で通してきた。今回だけなぜNG? そんな疑問が頭を巡りながら、登記官に電話で確認を取ると、「最近、解釈の運用が少し厳しくなっていまして」と涼しい声。こちらとしては、思考停止するしかありませんでした。まさに「運が悪かった」の一言では片づけたくないけれど、それ以外に言いようがなかった。

予想外すぎて一瞬フリーズした

頭の中で「なんで今さら」「じゃあ前回のは何だったんだ」「他の登記官だったら通ったのか?」とグルグル考えが巡り、しばし呆然。何もしてないのに疲れる、あの瞬間。頭の中では野球部時代の監督の怒鳴り声が蘇ってきました。「お前は気が抜けてんだよ!」って。いや、気は抜いてない。むしろ全力でやった。でも空振り。登記の世界は、たまに理不尽なスライダーが飛んできます。そしてそれを受け止めるキャッチャー(僕)もまた、地味にダメージを受けるのです。

修正依頼の内容がまさかのアレ

今回の指摘は「目的の文言における業種の曖昧さ」でしたが、それ以外にも「事業年度の設定が明確でない」という指摘が。いやいや、雛形そのままですよ?と思いつつも、「それが問題なんですよ」と淡々とした登記官の声に、言葉を飲み込みました。時々思うのです、雛形って誰が作ったんだと。自分でカスタマイズすればするほどリスクがあるし、定型通りでも文句を言われる。どっちに転んでも、文句言われる仕組みになってるんじゃないかってね。

前もやった内容だったのに今回は通らない

過去に同じ文面で通った案件が3件もある。なのに、今回はNG。まるで審判のストライクゾーンが突然変わる試合のようで、対応に困ります。「あの人が担当だったら通ったのに……」なんて愚痴をこぼしても意味がないのはわかってます。でも、やっぱり納得いかない。一人でやってるから、誰にも相談できないこの孤独。事務員に言っても、「へー、そうなんですね」と軽く流されるだけ。はぁ……ため息ばかり増える日でした。

事務員との間に流れる微妙な空気

補正が入ると、どうしても事務所の空気が悪くなる。特に今回のような“納得のいかない”補正だと、イライラも増します。事務員は悪くないし、誰が悪いというわけでもない。けれど、どこかにぶつけたいこのモヤモヤ。すると、何も言っていないのに事務員の口から出たのは「私のせいですか?」という言葉でした。いやいや、そんなつもりじゃ……と思っても、すでに時遅し。言葉が空回りして、空気がさらに悪くなる。こういう時、独り身だと精神的な逃げ場がないんですよね。

「私のせいですか?」と言われてさらに落ち込む

その一言で、逆に自分が責められているような気持ちになりました。責任を問いたいわけでもない、ただ共有したかっただけ。でも、伝え方が悪かったのか、疲れていたのか、意図せず相手に不安を与えてしまった。その瞬間、「あー、なんか全部自分が悪い気がしてきたな」と思いました。最近は怒る気力すらなく、ただただ自分の無力さにうなだれるばかり。こうして、ますます人との距離感がわからなくなっていく気がします。

誰も悪くない でも心が沈む

こういう時、ふと「なんでこの仕事やってるんだろう」と思ってしまうのが怖いです。好きで始めたはずなのに、いつの間にか“やめたい理由”の方が増えている。でも生活のためにやるしかない。責任があるから。そうやって、自分を納得させてまたPCの前に戻る日々。小さな補正一つで、これだけ気持ちが揺らぐということは、それだけ疲れてるんだろうなと、自覚する瞬間でもありました。

そもそも登記官との温度差がすごい

登記官の対応が悪いとは言いません。でも、こちらとしては「もっと歩み寄ってほしいな」と感じることが多いのも事実です。淡々とした言葉に、こちらの事情や努力はまったく通じない。もちろん公務としての役割があるのは理解していますが、たまには「ここ惜しかったですね」とか、「今回は難しかったと思います」くらい言ってくれてもバチは当たらないと思うんですけどね。ま、言ってくれませんけど。

電話でのやりとりが毎回ピリつく理由

法務局への電話は、胃が痛くなるイベントの一つです。補正理由を聞いても、「そのあたりはご判断で」と返されることも少なくなくて、だったら最初からNG出さないでよ、と思わずにはいられません。まるで試験官と面接してる気分になります。「こちらの言いたいことをうまく説明できなかったら不合格」みたいな緊張感。でも、本当はただの書類の確認のはずなのに。なんで毎回こうなるのか、不思議でなりません。

まるで試されているような空気感

登記官の対応は“試している”わけではないと頭ではわかっているけれど、感覚的にはまさにその通り。受け答え一つで判断される気がして、無駄に丁寧語や専門用語を使ってしまう。でも、それが通じないとまた落ち込むというループ。経験年数が増えるほど、こういう無言のプレッシャーも増える気がします。新米のころの方が、まだ図太く電話していたような気すらするのです。

こちらの意図が伝わらないもどかしさ

一番つらいのは、こちらが「善かれと思ってやったこと」が伝わらないことです。「依頼人にとって良い形になるように」と考えて書いた定款の表現が、「曖昧だからダメ」と一蹴されると、もうどうしたらいいかわからなくなります。この“もどかしさ”が積もり積もって、「あー今日はもう帰りたい」という気持ちになる。実際には帰れないから、心だけ帰ってしまってるような感覚になります。

昔の登記官はもっと違ったような気がする

年のせいかもしれませんが、昔の登記官の方がもう少し柔軟だった気がします。もちろん厳しい人もいましたが、理屈が通じたというか、「話せばわかってくれる」感があった。今はどちらかというと、「規定通りかどうか」しか見ない印象があります。時代なんでしょうかね。融通がきかない時代になってしまったなぁと、ぼやきたくなるのです。

元野球部の僕にはあの堅さがきつい

体育会系で育った僕にとって、理屈より“気合と根性”が大事だった時代がありました。でも今は、そういうものがまったく通じない世界。登記官に「気合い入れて書きました!」なんて言ったら失笑されるだけです。合理性と正確性がすべての世界に、昔の感覚を持ち込んではいけないんだなと、痛感する毎日です。

悔しいけど経験値にはなっている

愚痴ばかり言ってますが、こういう失敗もちゃんと自分の糧にはなっていると思っています。今回の件で、今後はもう少し慎重に定款の表現を見直すようになりました。悔しさや疲れはあるけれど、次に活かせるなら、それも悪くない。そう思えるようになるまでには時間がかかるけれど、それが“司法書士としての成長”なのかもしれません。

次からは絶対に同じミスはしない

こういう経験が積み重なると、「ああ、また同じこと言われるんじゃないか」と先回りできるようになります。成長というより“用心深くなった”だけかもしれませんが、それもまたプロとしての姿勢だと信じたいです。いつか事務員に「先生、すごいですね」って言われる日が来るのを夢見ながら、今日も補正と戦っています。

でもその前に休みが欲しい

経験も大事。でも、正直なところ……休みたい。連休とか贅沢は言わないので、丸一日、電話もメールも来ない日が欲しい。このままだと、心が先に登記されてしまいそうです(意味不明)。でも、それくらい疲れてるということ。僕のように一人で事務所を回してる司法書士には、誰かと愚痴を言い合える時間こそが最高の癒しなのかもしれません。

今日もコンビニ弁当で乗り切るしかない

この日も、夜遅くまで補正の修正作業をして、結局夕飯はコンビニ弁当。事務員は先に帰ってしまい、事務所に一人。食べかけの弁当と、訂正済みの書類が並ぶ机の上で、僕はふと呟きました。「……なんでモテないんだろうな」。答えは書類にも、弁当にもしっかり書いてはありませんでした。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓