誰も悪くないけど疲れてる
毎日誰かに怒られてるわけでもないし、何か重大なトラブルが起きたわけでもない。それでも、ふと気づくと肩が重くて、ため息が多くなっている。こういう疲れって説明しにくい。仕事もちゃんと回してるし、依頼者からも文句を言われたわけじゃない。なのに、ただ静かに「もうちょっとだけ休みたいな」と思ってしまう。誰かのせいにできれば少しはラクなのに、それすらできないから、余計にしんどい。
感情の行き場がないまま積もる日々
例えば、朝イチで届くFAXがずれて印字されていたとか、予定していた登記が急に延期になったとか、そんな些細なことが何度も積み重なると、心がじんわりと冷えていく感じがする。大したことじゃないから誰にも言えないけれど、自分の中では確実に消耗していく。コップに水が溜まっていくように、見えない疲れがゆっくりと満ちていくのが分かる。あふれる頃には、もう何をする気力も残っていない。
気を遣いすぎる性格も原因かもしれない
依頼者が不安そうな顔をしていれば、とりあえず安心させなきゃと無理にでも笑う。書類の説明は「分かってるかな?」と内心ビクビクしながら何度も繰り返す。「丁寧ですね」と言われるけど、それはつまり、必要以上に神経をすり減らしてるってことだ。自分では気づかないうちに、毎日少しずつ気力を使い果たしているのかもしれない。気を遣うことと疲れないことって、両立しないんだなと実感する。
やさしさが自分をすり減らしていく
たとえば、法務局でのやり取りで職員さんがミスしても、自分が少し引けばスムーズに終わると思ってつい我慢する。依頼者が怒っていても、こちらが怒り返さないことで場が収まるなら、やっぱり引いてしまう。結果として誰も傷つけない。でも、そのぶん自分の中に溜まったモヤモヤはどこへも行かない。やさしくなろうとすればするほど、自分の中の何かが静かに削られていくのが分かる。
疲れを説明できないつらさ
「疲れた」と言うと、「どこが?」と聞かれる。「全部」と答えると大げさに聞こえるし、「特に何も」と言うとわがままに聞こえる。だから、結局言えなくなる。周りに迷惑をかけるほどじゃないけど、元気とは言えない。その中間にある感情は、どこにも吐き出す場所がない。ただ黙って机に向かって、いつも通りの書類を打つ。それで1日が終わる。でも、終わっても心は休まらない。
具体的な不満がないから誰にも言えない
職場に不満があるわけじゃない。事務員さんも頑張ってくれているし、特に揉め事もない。むしろ、順調すぎるほどかもしれない。でも、だからこそこの疲れが言いにくい。「贅沢な悩みですね」とか「甘えじゃない?」と言われそうで。結局、誰にも話せず、夜に独り言をつぶやくようになる。ひとりでぶつぶつ文句を言って、少しだけ気が紛れる。それが今の自分の精一杯の対処法だ。
それでも体と心は正直
疲れてないフリをしても、体のほうは誤魔化せない。寝ても取れない肩こり、ふとした瞬間の動悸、そして意味もなくイライラする気持ち。まるで体が「ちゃんと疲れてるよ」と訴えてくるようだ。特に何かあったわけじゃないのに、心が重たい。その理由を説明できないこと自体が、さらに自分を追い込んでいく。言語化できない疲れは、回復もしにくいんだと気づかされる。
小さな不調が教えてくれること
実は、何も起きない日のほうが危ない。動けてるから大丈夫と思ってしまうけど、小さな不調は確実にサインを出している。事務所で座っているだけで腰が重くなるとか、電話の音に心臓が跳ねるとか、些細なことに見えて、実は限界の予兆かもしれない。「まだいける」と思わずに、「そろそろ休もうか」と言ってあげることも必要なんだろうな、と最近ようやく思えるようになってきた。
独り言が増えてきた午後三時
午後三時を過ぎると、ふとした瞬間に「よし…」とか「なんだこれ」とか声に出してしまう自分がいる。誰に向けてでもなく、ただの自分自身への声かけ。事務員さんが外出中だったりすると、事務所は無音。プリンターの音すらしない静寂の中で、自分の独り言だけが響いている。まるで誰かに話しかけてるふりをして、自分を保とうとしているかのように感じることがある。
事務員さんが外出中の沈黙が刺さる
普段は気にしていないはずの「人の気配」が、いざ無くなると想像以上に寂しい。事務員さんがちょっと郵便局に行っているだけなのに、急に時間が止まったような錯覚に陥る。BGMも流してないから、本当に音がない。そんな中で届く1通のメールに、妙に安心したりして、気持ちが揺れる。誰かとつながっている感覚が、こんなに心の支えになるなんて、昔は考えもしなかった。
誰とも話さないまま終わる一日
電話が1本も鳴らず、来所もなく、外出もせずに終わる日がたまにある。そんな日は、仕事がはかどっているはずなのに、逆にものすごく虚しくなる。話すことがないと、考えごとが増えてしまう。些細な失敗や、将来のこと、昔のことまで思い出してしまって、勝手に落ち込む。話し相手がいないことで、思考がどんどんマイナスに傾いていく。これが一人事務所の落とし穴なのかもしれない。
それでも電話はかかってくる
ようやく心が落ち着いて、少しだけ椅子に背を預けたタイミングで電話が鳴る。「はい、◯◯司法書士事務所です」と反射的に声を出すけれど、さっきまでの沈黙との落差で心が追いつかない。相手の話も一瞬で頭に入らず、メモを取る手がもたつく。慣れているはずの業務でも、気持ちが整ってないと負担になる。そんなことすら、今日はつらいなと思う日がある。