地名が違う気がして手が止まる午前十一時
登記の申請書を確認していたら、ふと「ん?」と手が止まる。依頼人が持ってきた古い権利証に記載された住所と、住民票の記載とで微妙に地名が違う。最初は誤字か記入ミスかと思った。でもよくよく見てみると、これは正式な地名の違い。つまり、昔と今で地名が変わっているということらしい。午前十一時、コーヒーもぬるくなった机の上で、その小さな違和感が一気に現実味を帯びた瞬間だった。
書類を見てるとたまに出る謎の違和感
司法書士という仕事をしていると、住所なんてものはただの文字列じゃない。間違えば登記が通らないし、クレームにもなる。だからこそ、地名の一文字が違うだけで心拍数が上がる。今回もまさにそんなケース。しかも、その違いが正当な「地名改正」だったと知るのは、かなり後のことだった。
ここってこんな地名だったっけの感覚
僕の事務所のある地域は、元々は「○○町一丁目」だったのが、いつの間にか「○○一丁目」になっていた。たった一文字、されど一文字。依頼人から「間違ってないですよね?」と聞かれて、内心焦りながら「確認しますね」とだけ返した自分が情けなかった。いや、ほんとにこんな地名だったっけ?って何度もGoogleマップを開いたよ。
ミスかと思ったらちゃんと変わってた衝撃
市役所のホームページを調べたら、平成の終わりごろに住居表示の変更がされていた。「そんなの知らんがな」と思いながらも、正式な記録を目の当たりにして地味にショック。改正は「広報○○」に載ってたらしいけど、読んでない。というか、全部チェックしてたら仕事にならん。気づかず放っておいたら、こっちがミスしたことになっていたかと思うと、ぞっとした。
知ってるつもりの地域がいつの間にか別物に
地元だし、地理にも詳しいつもりだった。でも、地名改正という名の「静かな変化」は、思ってる以上にやっかいだった。なにしろ表記は変わっていても、現地の看板や住人の口頭では昔の呼び名が生き続けていることもある。つまり、書面と実態がズレる。これが登記の世界ではやっかいなのだ。
昔の地番と今の表記のズレが生む混乱
特に高齢の依頼人が持ってくる資料は要注意。地番も町名も今とは異なる。たとえば「○○村字△△」という昔の地名が、今は「○○市△△町」になっていたりする。その変化を知らないまま進めると、登記で突き返される。何度も経験した。地味だけど心にくるタイプのトラブル。
古い資料と現在の地図が一致しない恐怖
法務局の備付地図ですら、時代によって表記が違うことがある。紙の図面と現地の状況が合わないこともあるし、ネットで見る地図も更新が追いついてない。Googleマップより昭和50年のブルーマップの方が正確なときもある。そりゃ疲れるよ、ほんと。
地名改正が業務に及ぼす地味なストレス
司法書士の仕事は正確さが命。でも、その「正確さ」を揺るがすような静かな変化が、この地名改正。書類が合っていても、信頼を失う可能性がある。誰も悪くないのに、ミスしたように見える。これは正直、精神的にきつい。
依頼人よりこちらが混乱してるという現実
「住所が違うように見えるんですが」と依頼人に言われるたびに、こっちが焦る。内心「いや、俺もそれ思ってたよ!」って叫びたくなるけど、顔は冷静を装うしかない。こっちは必死に資料を突き合わせてるのに、なんだか責められてるような気分になる。
住民票の住所と権利証の住所が違うあるある
住民票に記載された住所と、権利証に記載された住所が違う。でもどちらも正しい。そんなこと、登記の世界では日常茶飯事。でも一般の人には理解しづらい。「これ間違ってません?」と何度言われたことか。そのたびに地名改正の説明をして、理解してもらうという地味に骨の折れる作業が待っている。
「間違ってませんか?」と責められるつらさ
プロである以上、信頼が一番。でも、相手から見れば「この人、本当に大丈夫?」と思われてしまう状況はつらい。間違ってない。でも伝わらない。このジレンマ、独身の理由の一つかもしれない。気づけばまた、説明しながらため息ついてる。
登記官からの問い合わせがくる地味な地獄
「この住所の表記、古いですけど大丈夫ですか?」と登記官からの電話。あの瞬間、心臓がぎゅっとなる。いや、こっちも今気づいたとこなんですって。言い訳できない立場のつらさ。黙って調べるしかない。
電話がかかってくるたびに胃が痛くなる
登記が通るまでは安心できない。電話が鳴るたびに「今度はどこだ…」と構えてしまう。胃薬が手放せないのは、たぶん職業病。普通の人が知らないだけで、司法書士は毎日ちょっとした地雷原を歩いている。
「それ地名改正なんで」と言っても伝わらない
役所や登記官に「それは地名改正の影響です」と説明しても、「で、どうしたらいいんですか?」と返ってくる。こっちが知りたいくらいだ。誰か一人でも「なるほど」と言ってくれると救われるけど、そんな日は滅多にない。