返信しなきゃと思いながら時間だけが過ぎていく
朝、スマホに目をやると未読メールの数。パッと見て「あとで返信しよう」と思いながら、そのまま何時間も経ってしまう。気づけば夜になっていて、「あ、まだ返してなかった…」と自己嫌悪が襲ってくる。そんな毎日が続いている。司法書士という職業柄、迅速な対応が信頼にも直結するのはわかっている。でも、わかっていても、体が動かない。やることに追われて、メールは後回し。これが癖になってしまっているのだ。
「後で返そう」が積み重なっていく恐怖
最初は「今は忙しいから、落ち着いてから返そう」というだけの話だった。でもそれが3件、5件、10件と積み重なっていくと、もはやどこから手をつけていいかもわからなくなる。「返さなきゃ」と思う気持ちと、「怒ってるかもしれない」という不安がぶつかり合って、結局画面を閉じる。何度もそういうことがあった。ちょっとしたメールの返信が、いつの間にか自分の中で「解決不能な問題」になってしまう。たった一通が、すべてのやる気を奪っていく。
忙しさという言い訳が効かなくなってきた
事務所の仕事は常に山積み。登記申請の準備に、相続関係の相談、裁判所提出書類の作成。確かに忙しい。でも、それを言い訳にしていたら何も改善しない。返信の遅れが相手に迷惑をかけると同時に、自分自身の信用もすり減らしている。そんなことは、頭ではわかっている。でも体はついてこない。忙しさを盾にしたい気持ちはあるが、そろそろその言い訳も限界にきている。
通知バッジの数字がプレッシャーになる
スマホやPCの画面に表示される赤いバッジの数字。それが「あなたはこれだけやるべきことを放置していますよ」という無言の圧力に感じる。その数字が増えるたびに、胸がギュッと締めつけられるような感覚になる。まるで、さぼってる自分を可視化されているようで逃げたくなる。以前はすぐにバッジを消すタイプだったが、今ではそれすら見ないようにする癖がついてしまった。
「なぜすぐ返さないのか」と自分を責めてしまう
本来、メールなんて数分で返せば済む話だ。それなのに、なぜか後回しにしてしまう。そして夜になって自己嫌悪に陥る。「なんで俺はすぐに返せないんだろう」「こんなんじゃ社会人失格だ」と、自分に対してネガティブな言葉が浮かんでくる。自分を責めることで、余計に行動が鈍くなるという悪循環にハマってしまう。
他人に気を遣うタイプほど陥りやすい
「こう書いたら失礼じゃないか」「もっと丁寧に伝えたほうがいいかな」など、余計なことまで考えてしまって筆が進まない。相手を思いやる気持ちは悪くないが、それが過剰になると、返信すらできなくなる。これは学生時代からの癖だ。野球部では上下関係が厳しくて、先輩へのLINE一通にも30分以上かけていた。あの頃の習性が、今も抜けていないのかもしれない。
たった一行の返信が心のハードルになる不思議
「了解しました」や「ありがとうございます」だけでも返せるのに、それができない。完璧な文章を考えてからでないと送れないという自分ルールがあるのかもしれない。文章を考えるうちに、「いや、もう少し言い回しを…」と悩み、結果、何も送らずに終わってしまう。送りたいのに送れない。その歯がゆさは、想像以上に精神を消耗する。
優しさが裏目に出る瞬間
自分の返信一つで相手を不快にさせたくないという思いが強い。でも、それが返事を遅らせる原因になり、結果としてもっと相手を困らせている。本末転倒だ。「自分が丁寧にしなきゃ」と思う気持ちが、逆に自分の首を絞めてしまっている。優しさって、時に不器用さと紙一重だと感じる。
返信の遅れが仕事への自信を奪っていく
返事が遅れることで、相手に「仕事が遅い人」という印象を与えていないかと不安になる。それが積もって、自分の仕事全体への自信が薄れていく。登記業務も、裁判書類の作成も、なんとなく手応えが感じられない。ミスをしているわけではないのに、どこかで「俺はダメだ」と思ってしまう。この感覚がじわじわと心を蝕んでいく。
相手をがっかりさせたくないのに
一度信頼を失ったら、取り戻すのは大変だ。それは司法書士の世界でも同じだ。だからこそ、がっかりさせたくないという気持ちは強い。返信一つで信頼が揺らぐのではという不安が、手を止めてしまう原因にもなっている。でも、その“がっかりさせたくない”という思いが、結局“がっかりさせる”結果を招いているという矛盾に、また落ち込んでしまう。
「できてない自分」がどんどん増えていく
未返信のメール、放置しているLINE、溜まり続けるToDoリスト。それら一つ一つが、「できてない自分」の証のように見えてしまう。何も進んでいない感覚に、焦りだけが募る。これはまさに“自信の摩耗”という現象だと思う。積み重ねてきた経験やスキルよりも、「今できていないこと」のほうが自分の評価に直結してしまうのだ。
責任感の強さと自己肯定感の低さの悪循環
責任感があるからこそ、「きちんと対応しなきゃ」という気持ちが強くなる。でも、その完璧さを求めすぎるがゆえに、結果として自己肯定感を下げてしまっている。「ちゃんとやれていない」と感じる瞬間が増えれば増えるほど、自信が持てなくなる。責任感と自己嫌悪が手を取り合って悪循環をつくる。そのループから抜け出すのは、簡単なことじゃない。
それでもなんとか立ち直るためにやっていること
完全に治せたわけではないけれど、それでも少しずつ改善しようと意識している。完璧な文章じゃなくても、とりあえず「了解です」と返す。時間がないときはスタンプでもいいから返す。それだけでも、自分の心は少し軽くなる。自分を許す練習をしている感じだ。そうでもしないと、押しつぶされてしまう。
ひとつひとつを「完璧にやらない」練習
元野球部だった頃は、常に全力、常に完璧を求められた。でも社会に出てからは、「まあいいか」と思える力も必要だ。メールの返信も、「ベストな言い回し」でなくていい。ただ返す。それだけで十分な場合が多い。完璧じゃない自分を許すことが、今の課題でもあり、成長だとも思っている。
返信のハードルを下げるための小さな工夫
最近はテンプレートを作っておいて、迷わずに送れるようにしている。「いつもお世話になっております」「ご確認ありがとうございます」など、よく使う文面はGoogleドキュメントに保存しておき、コピペして少しだけ手を加える。手を止める時間が減るだけで、気持ちの負担もかなり軽くなった。
過去の自分を責めすぎない術を身につける
「あのとき返せなかった」「迷惑をかけた」という後悔は尽きない。でも、ずっと責めても過去は変わらない。大事なのは、「じゃあ今日からどうするか」だけだと思うようにしている。もちろん簡単ではない。でも、少しずつでも、今の自分を肯定できるようになれば、また前に進める。少なくとも、そう信じて毎日を生きている。