失敗を夢に見るようになった日々
司法書士として20年以上やってきて、最近になって初めて「夢で失敗する」ようになった。現実でももちろん失敗は許されない世界なのに、睡眠中くらい解放されてもいいじゃないかと思う。でも、気づけば夜中にうなされて目が覚める。「あれ、あの申請出したっけ?間違ってた?」という疑念が胸を締め付ける。この歳になって、心の余裕がなくなってきているのかもしれない。昔はもっと図太かった。夢でまで怒られる自分を見て、どこまで追い詰められているんだろうと、さすがに笑えなくなってきた。
毎日がギリギリの綱渡り
朝起きた時点で、すでに神経は張りつめている。目覚ましよりも早く、脳が勝手に業務モードになっている感じ。今日の書類、間に合うか?法務局の閉まる時間に間に合うか?そんなことばかりが頭をよぎる。事務所を一人で回している以上、誰かに頼るという選択肢はほとんどない。ミスがあれば、その責任は100%、自分に跳ね返ってくる。プレッシャーは年々重くなり、身動きが取れなくなるような感覚すらある。
睡眠中すら解放されない心
夢の中でも仕事をしていることに気づいた時、自分でもぞっとした。しかもその内容が「登記の添付書類が一枚足りない」とか「申請人の住所を間違えた」とか、実にリアル。夢から覚めた後もしばらく放心状態になる。そして、半分寝ぼけたままPCを立ち上げて、昨日の仕事を再確認するという異常な日常。こんなこと、若い頃にはなかった。40代も半ばを過ぎて、体も心も、確実に限界が近づいている気がする。
夜中に目が覚めて時計を二度見した話
ある晩、午前3時過ぎに目が覚めた。汗びっしょりで、心臓がバクバクいっている。夢の中で、登記完了予定日を1日間違えていたらしく、依頼者に怒鳴られるシーンだった。目覚めた後、布団の中でしばらく動けず、「夢だよな?」と何度も確認した。ふと見た時計の針を二度見して、「もう朝まで起きてるか」と諦めたあの夜。こんな生活、いつまで続けられるのか、正直不安になる。
夢にまで出てくる登記の不備
現実の緊張がそのまま夢に出るようになったのは、ここ数年だ。特にミスに関わる場面が多い。自分の手で処理した案件が、夢の中で問題になり、目の前で崩れていく。実際に過去にあった失敗が繰り返し夢に出ることもある。トラウマのように、記憶が刻み込まれているのだろう。こうなると、心の休まる時間がどこにもない。唯一の逃げ場であるはずの睡眠すら、もう戦場になってしまった。
目が覚めた瞬間から現実に戻される恐怖
夢から目覚めて「あぁ、夢だった」と思う間もなく、「それより今日の予定どうだっけ?」とすぐに現実に引き戻される。休日の朝ですら、心が休まらない。以前、珍しく何の予定もない日曜の朝、夢でミスをした衝撃で6時に目が覚めてしまい、その後も布団の中でぐるぐると反省会をしていた。夢の内容が現実を上書きしていくような感覚に、何度も苦しくなる。これではいけないと思っても、止め方がわからない。
法務局の窓口で怒られる夢と実際の出来事
ある夢では、法務局の担当者に「これは基本的なミスですよね?」と冷たく言われて、言葉が出なくなった。妙に現実味があって、起きた後もしばらく放心してしまった。思い返せば、実際に似たようなシーンがあった。提出した書類の記載に不備があって、窓口で小声で注意されたことがあった。それがずっと心に刺さっていたのだろう。小さな出来事でも、精神的なダメージは想像以上に深く残るものだ。
一人で背負うプレッシャーの重み
「ミスが許されない」という重圧は、司法書士の宿命なのかもしれない。でも、実際にその場面に立たされると、思った以上にしんどい。一人で仕事を回していると、誰にも助けてもらえないという現実が常に付きまとう。事務員さんは確かにいてくれるが、責任は自分が持つしかない。書類一枚の不備が、信頼を損ない、次の仕事に響く。そんな日々が積み重なっていく中で、自分がどこまで持ちこたえられるのか、不安になることがある。
事務員さんの前で平気な顔をしている自分
本当は不安でいっぱいなのに、事務員さんの前では「大丈夫、大丈夫」と笑ってしまう。弱みを見せたくない、というより、見せたら崩れてしまいそうで怖いのだ。だから平気なふりをして、自分に「大丈夫」と言い聞かせる。結果的に、それが余計にストレスを増やしているのだろう。人に甘えることができない性格が、ここにきて仇になっている。強がってばかりの自分に、時々嫌気がさす。
結局最後は自分がやらなきゃ終わらない
締切間際の案件が複数重なると、もう何を優先すればいいのかわからなくなる。頭の中が混乱していても、手は止められない。事務員さんも頑張ってくれているけど、やっぱり最終的な判断は自分の肩に乗っている。夜遅くまで残業して、疲れ切って帰る道中、「これがずっと続いたら、いつか倒れるな」と思ったこともある。それでも仕事は待ってくれない。誰も代わってはくれないから、やるしかないのだ。