朝の始まりはすでに遅れている気がする
朝起きた瞬間から、どこか「もう間に合ってない」感覚がまとわりつく。司法書士という仕事柄、今日も何件の案件が待っているかを考えながら、目覚ましのアラームを5回ほど無視するのが日課になっている。天井をぼんやり見上げながら「あと5分」とつぶやいた時点で、5分後にはもう電話が鳴っているのがこの仕事のリアルだ。
目覚ましの音にうんざりしながら始まる一日
元野球部だった頃は、朝のランニングも筋トレもきっちりこなしていたはずなのに、今はベッドから起き上がるだけで気力を使い果たす。目覚ましの音も、昔は「よし行くか!」とスイッチだったはずが、今ではただのノイズに過ぎない。起きた後も、トイレに行く時間すら惜しく感じる日がある。
予定表を睨みながら飲むぬるいコーヒー
机に座って、スケジュールを確認しながらぬるくなったコーヒーを口にする。ひと口飲むたびに、書類の締切やお客さんの約束が頭を駆け巡る。昨日の時点で終わっているはずの書類が、実は今日の朝イチで出す必要があったりする。そんな「昨日と今日が混ざる感覚」がもう何ヶ月も続いている。
時間に追われるというより押しつぶされる
この仕事、時間に追われるというより、「時間そのものに圧し掛かられてる」ような感じがする。電話一本、メール一通のたびに「時間がまた食われた」と思ってしまう。気がつけば書類が溜まり、約束が立て込んでくる。そもそも自分のペースというものが存在しないような日々が続いている。
「急ぎでお願いします」ばかりの依頼
「急ぎでお願いします」…そう言われる案件に限って、本当に時間がない。なぜみんなが同時に「急ぎ」で来るのか、陰謀かと疑いたくなるほどだ。こっちが徹夜して書類を整えても、役所の締切はさらにタイト。たった一枚の書類のために、昼食もトイレも後回しになることもある。
スケジュールに余白がないという恐怖
「この時間にここが終わって、次にこれをやって…」と組んだスケジュールが、一つの電話で全て崩れる。余白がないから、何かが押すと全部がずれる。予定通りに終わる仕事なんてないのに、予定を立てないと不安になる。結局、気を抜ける瞬間が一日を通して一度もない。
急ぎで頼まれても終わらない現実
「今日中にお願いできませんか?」という声に「なんとかします」と言ってしまうのは、たぶん職人魂というか、断る勇気がないだけ。結局終わらないときは終わらないし、それで怒られるのもまた現実。でも、怒られても誰かが亡くなるわけじゃない…そう自分に言い聞かせる日もある。
人を雇っても減らない業務量の不思議
事務員さんを一人雇っているが、正直、自分の作業量が減った実感はあまりない。むしろ、確認作業が増えて負担が増したように感じることさえある。感謝はしている。でも「もう一人いたら…」なんて思いながらも、そんな余裕はどこにもないのが現状だ。
事務員さんの笑顔に救われつつも
こちらが眉間にシワを寄せているとき、事務員さんがぽつんと「お疲れさまです」と言ってくれるだけで、ほんの少しだけ救われた気持ちになる。忙しさの中でそういう一言の重みを感じる。とはいえ、その笑顔の裏に「この人また怒ってる…」と思われていないかと不安にもなる。
「ちょっといいですか?」の積み重ね
「ちょっといいですか?」という声が1日で何回響くのか数えたことがある。結果、20回を超えた日もあった。そのたびに自分の作業は中断され、戻るのにまた時間がかかる。「ちょっと」が10分になり、それが積もっていくと1日分の仕事が簡単に吹き飛ぶ。
教える時間がないのに教えないと回らない
本当はじっくりと教えて一緒に効率よく回したい。でも教えるための時間が取れない。取れないから自分でやってしまう。結果、事務員さんのスキルも上がらず、また自分に仕事が戻ってくる。このループ、どこかで断ち切らなきゃと思いながら、気づけば月末になっている。
自分の仕事だけで精一杯という虚しさ
「先生はこれだけやってもらえれば大丈夫ですから」と言われたことがある。でも、それ「だけ」が終わらない。登記も相続も、ミスが許されない世界だからこそ、確認に確認を重ねる必要がある。結果、自分の机には山のようなファイルが積み重なり、「自分の仕事だけ」で毎日が終わっていく。
「これぐらい簡単でしょ?」が刺さる
外から見ると、司法書士の仕事は「書類に印鑑押すだけ」と思われがちだ。実際にそう言われたこともある。言った人に悪気はないとしても、その一言は刺さる。印鑑ひとつ押す前に、何十の確認と、何重もの責任がある。それを説明する時間も惜しくて、ただ黙って笑ってしまう。
専門職の誤解とプレッシャー
専門職という言葉が「すごそう」に見えるらしい。でも実際は、泥臭く地味で、神経をすり減らす仕事だ。司法書士がドラマになることなんてまずないし、理解されることもない。誤解される中でプレッシャーだけは重く、常に「ミスがないように」と自分を追い詰める毎日が続く。