頭が回らない日も仕事は待ってくれない

頭が回らない日も仕事は待ってくれない

朝から脳が働かないときの絶望感

起きた瞬間から「あ、今日はダメな日だ」とわかる朝があります。頭がぼんやりしていて、目覚ましを止めた記憶すらあやふや。そんな日に限って、相談予約が入っていたり、登記申請の締切があったりするから、なおさらタチが悪いんです。無理して出勤しても、机に座った瞬間、ただ座ってるだけ。頭が動かないまま、電話の音だけが現実を叩きつけてくる。正直、あの瞬間がいちばんつらいかもしれません。

寝不足が原因とは限らない

夜遅くまで書類のチェックをしていた翌朝なら、「そりゃ寝不足だから」と納得もできます。でも、そうじゃない日もある。ちゃんと寝たはずなのに、朝から脳のエンジンがかからない。原因がわからないからこそ不安になるし、そんな自分を責める悪循環に陥るんですよね。事務員に気を使って「大丈夫ですか?」なんて言われると、余計に情けなくなってくるんです。

気力が空っぽなのに電話は鳴る

気力が湧かない日は、電話のコール音すら苦痛です。昔、真夏の部活帰りに炎天下の中で練習試合をして、もう限界…って時に監督に「もう一本走ってこい」と言われた感覚に似てる。出るべきなのはわかってる。でも、頭が働いてない自分が対応して、逆に失礼にならないかと不安にもなるんです。電話一本で午前中の気力が全部持っていかれる、そんなことも珍しくありません。

コーヒーを飲んでも頭は起きない

「とりあえずコーヒー飲めば何とかなる」って思っていた時期が私にもありました。でも、最近はコーヒーを飲んでも、ただ胃が荒れるだけで効果がないこともしばしば。コンビニのラテを握りしめながら「これで何とか目が覚めてくれ」と祈るように飲むんですが、残念ながら奇跡は起きません。むしろ、気休めだとわかっている自分にさらに自己嫌悪が重なります。

休めない責任の重さ

体調が悪くても、心が折れかかっていても、仕事は待ってくれない。それが個人事務所の現実です。特に地方の司法書士だと、急な代替も頼めない。しかも、登記の期限や調停期日など、動かせない日付に追われる毎日。正直「今日は無理です」と言って、全部シャットアウトしたい日もあります。でも、それができないのがこの仕事。誰にも代わってもらえない責任って、想像以上に重たいんです。

登記の締切が心を追い詰める

特に登記の期限は、1日でもずれるとお客さんの信頼を失うし、下手すれば損害賠償の問題にもなりかねない。「そんな大げさな」と言われることもあるけど、やってる本人からすれば毎日が綱渡り。頭が回らないときでも、契約日を間違えずに確認して、登記原因証明情報を作らないといけない。細かいミスが命取りになるからこそ、常に神経をすり減らしているんです。

事務員に丸投げもできない現実

「事務員に任せれば?」とよく言われます。でも、うちは小さな事務所。彼女だって、私と同じくらい忙しいし、専門的な判断が必要な場面では頼れません。たとえば法務局とのやり取りや、微妙な案件の方針決定なんて、こちらが決断しなければ前に進まない。だから、どれだけ頭が働かなくても、自分がやるしかない。それがまた、心をさらに追い詰める要因になっているのかもしれません。

やることは山積みでも思考は停止

目の前にはやるべきことが山のように積まれているのに、思考がまったく追いつかない。まるで、満員の高速道路に自転車で突っ込んでいくような気分。進まないどころか、周囲とのスピード差にパニックになる感覚です。案件の優先順位すらつけられなくて、ただ「やらなきゃ」と思いながら焦るばかり。そういうときは、自分の無力さを突きつけられているようで本当につらいです。

チェックリストがただの紙になる瞬間

日頃は便利なチェックリストも、頭が働かない日はただの印刷物。どこから手を付けるべきか、次に何をやるべきかが見えてこない。たとえば、銀行から預かった書類のチェックひとつにしても、「これ確認したっけ?」と何度も繰り返す羽目になる。結果として、かえって時間がかかる。集中力がないって、ただの「やる気のなさ」ではなく、実際に業務を止めてしまう深刻な問題です。

何を優先すべきかすら分からない

電話、メール、急ぎの案件、期日の迫った仕事…全部「早くやらなきゃ」と思ってるのに、順番を決められない。思考の道筋が断たれてしまっているんでしょうね。そんな日は、目を閉じて深呼吸をしても、結局なにも解決しない。ただ「次にやるべきことは何か?」という問いが、延々と頭の中をぐるぐるしているだけで、手が止まってしまうんです。

同じ書類を何度も確認してしまう

一度見た書類なのに、「本当に確認したっけ?」と不安になって、つい何度も見返してしまう。昔、試験勉強中に同じページを5回読んでも頭に入らなかったあの感覚に似ています。効率が悪いとわかっていても、他の方法が思い浮かばない。頭が働かないときって、自分が壊れているような気がして、なんともいえない虚無感に襲われるんですよね。

集中力がないままハンコを押す恐怖

一番怖いのは、そんな状態で「これで大丈夫だろう」と確認不足のまま押印してしまうこと。自分でも「これはマズい」とわかってる。でも、時間もなくて、気力もなくて、もうチェックする余力がない。そんな中で押すハンコ一つが、後日とんでもないミスに繋がるかもしれないという恐怖が、ずっと心に居座ります。

ミスが許されない業務とのギャップ

司法書士の仕事は「ミスしちゃいました」では済まされない業務ばかりです。たった一文字の違いが、法務局での補正やお客さんからのクレームに繋がる。だからこそ、普段は念入りに確認するんですが、頭が回らないときはその慎重さが維持できない。いつもとのギャップに、自分の怖さすら感じてしまいます。

「まぁ大丈夫だろう」が事故を呼ぶ

「たぶん大丈夫」「前もこうだったから大丈夫」――この「だろう運転」が一番危ないと元野球部の監督にも言われてきましたが、仕事でも同じです。自信のないまま出した書類が戻されると、「あのとき無理せず確認していれば」と何度も後悔するんですよね。余裕がないときこそ、「慎重に」よりも「とにかく終わらせたい」が勝ってしまう。これは本当に怖いです。

それでも前に進むためのささやかな工夫

完全に復活することはできなくても、少しでも仕事を前に進める工夫はあります。自分の限界を受け入れて、無理せず小さな一歩から動き出す。そうしないと、立ち止まったまま時だけが過ぎていってしまうから。自分なりのリズムを取り戻すための習慣が、なんとかこの仕事を続けられている理由のひとつです。

脳が働かない日のマイルール

朝からダメな日は、「最初の30分は書類に触らない」と決めています。その代わり、コーヒー片手にメールをゆっくり読み直すだけ。無理にスピードを上げようとしない。頭が動かない日こそ、無理をしないようにブレーキを意識的に踏む。そうすることで、少しずつエンジンがかかってくる日もあるんです。

朝一で重い仕事はしない

重い案件や判断が必要な仕事は、午後以降に回すようにしています。午前中は単純作業やメール返信、提出書類の印刷だけに集中。これは自分を守るためでもあり、ミスを防ぐためでもあります。以前は「午前中のうちに片付けなきゃ」と焦っていましたが、それで何度も痛い目に遭いました。時間に余裕があるふりをするのも、大事なテクニックです。

「何もしない時間」を5分だけでも作る

忙しい日こそ、5分だけでも「何もしない」時間をつくるようにしています。深呼吸して、目をつぶって、何も考えずに座るだけ。たったそれだけで、少しだけ思考が整理されることがあります。これは元野球部のとき、試合前にベンチで黙って空を見ていた時間に似ています。力を抜くことが、意外と大事なんですよね。

事務員との連携が唯一の救い

最後に頼れるのは、やっぱり一緒に働いてくれている事務員さんの存在です。彼女がいてくれるから、なんとか毎日やっていけている。私が黙っていても、状況を察して声をかけてくれる優しさに、何度も救われてきました。自分一人じゃないと感じられる瞬間が、どれだけありがたいことか。

小さな報連相が頭のスイッチになる

たとえば、「この資料はどこにファイルしますか?」といった何気ない質問でも、頭のスイッチが入るきっかけになることがあります。誰かに答えるためには、最低限考えなきゃいけないからです。自分で勝手に黙り込むより、ちょっとした会話の中で、脳のエンジンが回り始めることもあるんですよね。

信頼関係はミスの防波堤になる

事務員との信頼関係ができていると、「今日はちょっと頭回ってなくて…」と正直に言える。そうすると、彼女も「じゃあ、こっちは私やりますね」とサポートしてくれる。そうやってお互いをカバーし合える関係は、何よりのミス予防になります。一人じゃないって、ほんとに心強いです。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。