忙しさに紛れてスマホを見る余裕もない日々
朝から書類、午後は相談、夕方に法務局。そして気づけば事務員さんも帰り、一人でまだパソコンに向かっている。そんな生活をしていると、LINEの通知が鳴っても見ないことが増えていく。というか、見ないようにしてる気もする。見たら何か返さなきゃ、でもその余裕がないから先送りにする。でも、そうやってるうちに、返信をもらう側でもある自分は「あとでね」に置いてけぼりをくらってしまうこともある。
通知が鳴っても手が止まらない書類仕事
不動産登記の依頼が集中してくるときは、1日に何件も物件調査をこなし、依頼人の質問にも即レスし、書類の確認にも集中しないといけない。そんなとき、ポンとスマホが鳴っても、正直手を止める気力がない。わかってる。誰かが自分に声をかけてくれているのに、それに応じられないのは申し訳ない。でも、登記識別情報の入力ミスの方が今は命取りだから、つい無視してしまう。それが一回、二回と重なると、「あとでね」と返す余裕すらなくなる。
気付けば既読すらつけられず一日が終わる
「あとで返そう」「夜に落ち着いてから」と思っていたのに、気付いたら日付が変わってる。目をこすりながら布団に入って、画面を見て、既読すらつけていなかったLINEにため息が出る。自分でも驚くほど、誰かと話さず一日を終える日が増えた。昔は違った。学生時代や野球部時代は、何かしら人とのやりとりで一日が締まっていたのに、今は違う。仕事が全てで、スマホはただの予定表になりつつある。
スマホを見るのが怖くなる理由
返せていないメッセージが溜まっていくと、スマホを開くのが怖くなる。自分が何かを無視しているようで、誰かを傷つけているようで、情けなくなる。しかも、返信を待っている人が「またか」と思ってるかもしれないと考えると、なおさら手が伸びない。仕事では即レスを求める自分が、プライベートではレスの遅さで信頼を失ってるかもしれないという矛盾。でも、そこに踏み出せない夜があるのも、きっと誰かにわかってほしい。
「あとでね」の言葉が胸に刺さる夜
「あとでね」って便利な言葉だ。断ってないし、逃げてもいない。けれど、実際にはそれが最後のメッセージになってしまうこともある。自分が誰かに使うときは、心から「あとで話そう」と思ってる。でも、返される側になるときは、その「あとで」が来ないまま何日も過ぎて、不安になる。「今は無理」が「もう話す気がない」にすり替わってしまうのを、いつもどこかで恐れている。
優しさのつもりがすれ違う温度差
「今忙しいから、あとでね」と言われると、少し安心する。無視されてはいないから。でも、あとでが来なければ、それは優しさの仮面を被った放置だ。言った本人は忘れてるかもしれないけど、待つ側の心には残る。僕も何度かそうしてしまった。「あとで送るよ」と言って、結局忘れてしまい、そのまま疎遠に。善意がすれ違いを生むのが、いちばん切ない。
返信がないことに慣れてしまった自分
30代の頃は、返信が遅れると不安で仕方なかった。でも40代になり、独りでいることが日常になってくると、返信が来ないことにだんだん慣れてくる。待つことをやめるんじゃなくて、「そんなもんだ」と思うようになった。でも本当は、誰かからのメッセージに少し心が躍る夜もある。返信が欲しいけど、期待しないようにしてるだけだ。
自分だけが待っていたという現実
ある日、ふとLINEを開いたら、ずっと返ってこなかったメッセージが上の方に残っていた。向こうはきっともう忘れてる。でも、こっちはずっと気にしてた。それって、けっこう堪える。会話の終わりがわからないまま、放置される感覚。自分だけが続きの会話を想像していたという事実に、ちょっと恥ずかしさすら感じる。でも、そういうやりとりがあっても、人はまた誰かとLINEを送ってしまうのが不思議だ。
忙しい人間ほど連絡を後回しにしがち
仕事に集中しているとき、誰かからの連絡が「ひとまず置いておこう」になることはよくある。たとえ心から大事に思っている人であっても、タイミングを逃せば返せなくなる。そして、それが繰り返されると、自分の中で「後回しが当たり前」になる。気づかないうちに、人との距離が開いていく。でも、ふとした瞬間に、その空白がやけに寂しく感じるのだ。
頭の中の「やらなきゃリスト」に埋もれる人付き合い
僕のToDoリストには、常に「登記簿チェック」「依頼人へ確認」「オンライン申請」など仕事のタスクばかりが並ぶ。その中に「友人に返信」と書くことはない。だからこそ、忘れる。日常的に数字や期限に追われると、感情のあるやりとりが一番後ろに回されてしまう。たまに昔の友人から「生きてる?」なんてLINEが来て、ハッとすることもある。生きてはいるけど、誰かとの時間をちゃんと生きてないかもしれない。
優先順位が心をすり減らす
誰に返信するか、どの仕事を先に終わらせるか。すべてが優先順位の中で決まっていく。でも、人との関係って、そういう「順位」で考えるものじゃないと分かってはいる。それでも、日々の中で「急ぎ」と「後回し」の判断をしてしまう自分がいる。そして、気づけば「後回し」にされた側でもある。返事を待ちながら、同じように誰かのメッセージを後回しにしている。そんな矛盾の中で、今日も仕事だけが進んでいく。
本当は誰かと話したい気持ち
夜中、ふと仕事が一段落したとき。湯船に浸かりながら、誰かに「疲れたな」と言いたくなる瞬間がある。でも、その相手は画面の向こうにいて、「あとでね」で止まってる。会いたいとも言えず、電話する勇気もない。ただ、LINEを開いて閉じる。その繰り返し。結局、自分のことを話せる場所がない。そんなとき、「ちゃんと話したい」と言える関係を築いてこなかったことを、少しだけ悔やんでしまう。