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登記簿に残された影

登記簿に残された影 朝の書類の中に異変があった その朝、事務所に届いた郵便の束の中に、仮登記の申請書が一通混じっていた。差出人は地元ではあまり聞かない名前だったが、不動産の地番は見覚えのあるエリアだった。コーヒーをすすりながら、その書類に目...

嘘を刻んだ登記簿

嘘を刻んだ登記簿 嘘を刻んだ登記簿 朝から雨がしとしと降り続いていた。外の空気は冷たく、どこか重苦しい。そんな日に限って、妙な依頼がやってくるものだ。依頼人は細身の初老の男で、くたびれたスーツを着ていた。 「この土地の登記を調べてほしいんで...

彼女が隠した最後の一人

彼女が隠した最後の一人 花束と涙の受付嬢 昼前、事務所に一輪の真紅の薔薇が届いた。差出人の名はなく、受け取ったのは近くの不動産屋で受付をしている若い女性だった。彼女はなぜか目を潤ませながら「ありがとうございます」とだけ呟いた。 その場に居合...

名義の檻とひとつ屋根の下

名義の檻とひとつ屋根の下 朝の来訪者は名義変更を望む 八月の朝。じっとりとした湿気が事務所の壁を這っていた。そんな中、玄関のチャイムが鳴った。 現れたのは、50代と思しきスーツの男。やや汗ばんだ額に、不自然な作り笑いが張り付いていた。 「あ...

登記簿の所有者は誰だ

登記簿の所有者は誰だ 目の前の依頼人が語った奇妙な話 その日、事務所のソファに座った依頼人は、どこか落ち着かない様子だった。 「先生、突然、マンションの名義が他人のものになっていたんです」 そう言って差し出したのは、登記簿謄本と見慣れた分譲...

家屋番号が正しいという証言

家屋番号が正しいという証言 開かない門と番号札 登記済のはずの家に入れない依頼人 ある蒸し暑い昼下がり、事務所に現れた初老の男性は、手に登記事項証明書を握りしめていた。 「確かにこの家なんです。なのに、鍵が合わないんですよ」と彼は額の汗を拭...

恋文代理人の正体

恋文代理人の正体 恋文代理人の正体 朝から雨。そんな日に限って事務所の電話はよく鳴る。鳴るたびにサトウさんが眉間にしわを寄せ、俺の方に目線だけを投げてくる。 今日の依頼は「結婚に関する書類」だった。何か淡い話かと思いきや、どうも妙に胸騒ぎが...

タイプされた遺言と手書きの嘘

タイプされた遺言と手書きの嘘 訪ねてきた依頼人 古びた茶封筒と中身の遺言書 午後三時。やっと一息つけるかと思った矢先、ドアが開いて男が入ってきた。中年のその男は、見るからに緊張しているようだったが、手には分厚い封筒を持っていた。「叔父が亡く...

見えざる地番の影

見えざる地番の影 はじまりは一本の電話 朝のコーヒーに口をつけた瞬間、無機質な呼び出し音が事務所に響いた。受話器を取ると、聞き慣れない中年男性の声が響く。「先生、地図にない土地のことで相談したいんです」──いつもなら「法務局にどうぞ」と答え...

登記の裏側に潜む影

登記の裏側に潜む影 登記の裏側に潜む影 法務局から戻ってきた僕のデスクには、分厚い書類の束と、仏頂面のサトウさんが待ち構えていた。今日は一日中、登記済証の確認作業に追われるはずだったのだが、予定はいつも崩れる。それが司法書士という職業の定め...

影だけが署名していた

影だけが署名していた 朝の書類に潜む違和感 事務所の机に置かれていた一通の委任状。表面上は問題なく見えるが、どこか引っかかる。登記識別情報の番号が妙に古い気がした。俺の脳裏に小さな警鐘が鳴る。 「この物件、前回の登記はいつだったっけか……」...

婚姻届の破片

婚姻届の破片 事件の始まり 破られた婚姻届 ある日のこと、シンドウの事務所に一人の男性が訪れた。彼は手に婚姻届を持っており、それが明らかに破れていた。『これをどうにかしてほしい』と頼まれたが、シンドウはその破れた部分がただの事故ではないこと...

押印された遺言の重さ

押印された遺言の重さ 朝の静けさに響く一本の電話 事務所の電話が鳴ったのは、まだ朝の珈琲も半分しか飲み終えていない頃だった。盆も近づき、相続の話がちらほらと増えてくる季節だ。 着信表示に見覚えはないが、声の主は落ち着いた女性だった。「兄の遺...

登記簿にだけ現れる名前

登記簿にだけ現れる名前 依頼人はやってこなかった 昼過ぎから降り出した雨が、事務所のガラス窓をしつこく叩いている。 僕はポットから入れたばかりのぬるくなったコーヒーを啜りながら、薄暗い外をぼんやり眺めていた。 本来ならこの時間、予約をしてい...

境界線の先にいた影

境界線の先にいた影 朝の電話と依頼人の戸惑い 「あの、土地の境界がなくなったんです」。 朝一番の電話は、どこかうわずった男の声だった。 私はコーヒーを飲みかけた口を止め、意味のわからないその言葉に眉をひそめた。 境界線が消えた土地の謎 依頼...