役所の窓口で、今日もまた心が折れた

役所の窓口で、今日もまた心が折れた

役所の窓口で、今日もまた心が折れた

司法書士という仕事柄、どうしても役所の窓口と関わる機会は多くなる。法務局、市役所、区役所……そのたびに「またか」と思いながらも足を運ぶ。でも、どうにも慣れないのが“対応の冷たさ”だ。書類を提出するだけのはずが、なぜかこちらが悪者扱いされているような気分になる。今日はその中でも、特に心が折れた一件について、ちょっと書かせてもらいたい。

「あちらの窓口へどうぞ」の無慈悲さ

手続きを始めようと窓口に声をかけた瞬間、「それは隣の担当です」と言われて別のカウンターを指差された。ここまではよくあることだ。でも、その“あしらい方”がどうにも堪える。「面倒くさいから他行って」とでも言いたげな態度に、こちらのテンションは急降下する。真面目に仕事をしているだけなのに、なぜこんなに粗末に扱われなきゃならないのか。

たらい回しされるたびに、自分の存在価値が減っていく

「担当違いなんで」と言われて別の窓口へ。そこでも「こちらでは受けられません」とのこと。結局、3つの窓口をまわって、元の場所に戻される。このループに入ったとき、「今日はもう帰ろうか」と思ってしまうほどに消耗する。仕事をしているだけなのに、なぜか否定され続けている気がして、自分の存在が薄れていくような感覚になる。

笑顔がない場所に、自信もなくなっていく

笑顔って、こんなにも大事なんだと痛感する。窓口の人がほんの少しでも「お手数おかけしますね」と言ってくれたら、こちらも救われる。でも、実際には機械的な口調と無表情のコンボで、こちらの心はすっかり擦り減っていく。優しくされたいわけじゃない。ただ、否定されているような気持ちにならずに済む対応が、ほしいだけなのに。

話しかけた瞬間に出鼻をくじかれる

こちらが一言目を発した途端、「その書類じゃ無理です」と遮られる。話を聞く前から結論を下されると、説明する気も失せる。実はその書類は法務局で相談済みで、補足資料を添えれば通るケースだったのだが、相手はこちらの意図を聞く前に切って捨ててきた。そんなとき、「もういいです」と言いたくなる。

「それ、違います」の一撃で受ける心理的ダメージ

その一言、「それ、違います」。思っている以上にダメージが大きい。間違いを指摘するのは当然かもしれないが、言い方がある。頭ごなしに否定されると、自分の知識すら疑わしくなってくる。司法書士としてやってきた経験も、いとも簡単にぐらついてしまう。人前でのその一撃が、意外と尾を引くのだ。

「常識ですけど?」の無言の圧がつらい

口には出されなくても、表情や雰囲気で「それくらい分かるでしょ?」と言われているように感じる。とくに混雑しているときなどは、後ろの人の視線も加わってプレッシャーが倍増する。「なんで自分だけこんな目に?」と思ってしまうが、誰も悪くないように見えて、でも誰かが少し優しかったら防げたことだと思ってしまう。

司法書士だって、人間なんです

士業というと「冷静沈着で感情に左右されない」と思われがちかもしれない。でも、実際は違う。私たちも人間で、嫌な対応を受ければ普通に落ち込む。誤解を受ければムッとするし、ぞんざいに扱われれば、やっぱり傷つくのだ。

どれだけ知識があっても窓口で傷つく

専門知識を身につけても、それが窓口での人間関係をスムーズにするとは限らない。むしろ、少しでも自信を持って話すと、逆に「偉そう」と取られてしまうこともある。「こちらの言うことを素直に聞いてくれればいいのに」と感じる窓口の人と、「ちゃんと筋を通して伝えているだけなのに」と思うこちら。いつもどこかですれ違ってしまう。

職業でマウントを取られることへの疲弊

「お仕事は何ですか?」と聞かれ、司法書士と答えると、時折あからさまに態度が変わる人もいる。逆に、あえて無視されたような扱いを受けることもある。職業で判断され、必要以上に距離を取られることへの疲れは、じわじわと心を蝕む。私たちは特別扱いされたくて名乗っているわけじゃない。ただ、真面目に仕事しているだけなのに。

「司法書士のくせに」の空気に耐える日々

こちらが何か聞き返したときに、相手の表情が曇る。その瞬間、「司法書士のくせに分かってないんだ」と思われている気がしてならない。そんな空気を感じるたびに、「もっと完璧じゃなきゃダメなのか?」と自問する。誰でも知らないことや、うっかり見落とすことくらいあるはずなのに、自分にはそれすら許されないような気がしてしまう。

帰り道、コンビニの灯りに癒される

ひと通りのやり取りを終えて、ようやく役所を出たあと。心にのしかかるのは、「また同じことが明日もあるんだろうな」という疲労感。そんなとき、駅前のコンビニの灯りが、やけに優しく見える。レジの店員さんが「ありがとうございました」と言ってくれるだけで、ちょっと泣きそうになる自分がいる。

誰にも話せないから、せめてここで吐き出したい

こういう日常の小さなダメージって、誰にも話せない。事務員さんにも、愚痴ばかり言ってしまうのは申し訳ないし、かといって同業者にも「小さいやつだな」と思われたくない。でも、ここでだけは書かせてほしい。そうじゃないと、自分の中に溜まりすぎて、いつか爆発しそうだから。

「俺って必要とされてるのかな」と夜にふと思う

一人暮らしの部屋に帰って、テレビをつけても無音のように感じる日がある。今日みたいに、何度も何度も自尊心を削られた日は、ふと「自分って必要とされてるのかな」と考えてしまう。依頼してくれる人がいるから働けているのは分かっている。でも、心のどこかで「誰にも必要とされてないんじゃないか」と感じてしまう夜がある。

誰かにとっての“心折れエピソード”が、誰かの救いになりますように

こうして書いてみると、「そんなことで?」と思われるかもしれない。でも、小さなトゲが何本も刺さると、やがて芯から疲れてしまう。この記事を読んで、「ああ、自分だけじゃないんだ」と思ってくれる人がいたら、それだけで書いた甲斐がある。司法書士という職業に限らず、毎日頑張っている誰かの心が、少しでも軽くなればと願っている。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。