今日なにしてたのと聞かれたかっただけの日

今日なにしてたのと聞かれたかっただけの日

返事のいらない問いに救われる夜

今日も誰からも「何してたの?」と聞かれなかった。それだけのことなのに、夜になると急に堪える。別に返事がほしいわけじゃない。ただ、聞かれること自体に意味があるのだ。誰かが自分の一日を気にしてくれるという事実。言葉はなくても、存在を認めてもらえる気がする。そういう日がある。

会話じゃなくても誰かの気配がほしい

人恋しさって、何も恋人が欲しいという話じゃない。たとえばラジオから流れる知らない人の話、電車で聞こえてくる他人の電話越しの笑い声。そんな些細なものでも、今日はやけに心に沁みる。司法書士として淡々とこなす毎日。声を出すのは電話と挨拶と独り言だけ。そんな中、ふとした音や空気に救われる瞬間がある。

コンビニのレジでさえありがたくなる

夜のコンビニで「温めますか?」と聞かれた時、思わず「お願いします」と丁寧に返してしまった。なんだか、あの一言に人として扱ってもらえた気がしたのだ。普段は「はい」か「いらないです」で済ませるやり取りが、今日はやけに温かく感じた。言葉って、気持ちがすさんでいる時ほど沁みるものなのかもしれない。

人の声が心に沁みる瞬間

以前、役所の窓口で「お忙しいところすみません」と言われた時、なぜか涙が出そうになった。向こうはマニュアル通りに言っているだけ。でも、その一言が、自分の存在を肯定してくれたような気がして。結局、人って誰かに見てもらいたいんだろう。自分も司法書士として、お客さんにとってそんな存在になれているのだろうか。

忙しいのに誰とも話していない日

事務所には一人の事務員さんがいるけれど、それぞれの業務に追われていて、まともな会話はほとんどない。今日は登記申請が立て込んでいて、メールとFAXに追われ、気づけばもう夕方。誰かと雑談した記憶がない。こんな日は、「今日、何してたの?」と聞かれたら、どれだけ救われただろうと思う。

登記は進むのに孤独感も積み上がる

申請の数がこなせたからといって、達成感があるわけじゃない。むしろ「誰にも評価されないな」と思ってしまう瞬間がある。報酬が入るまで時間もかかるし、書類がミスなく受理されても誰にも褒められない。数字の積み重ねと孤独感が、同じペースで増えていく日もあるのだ。

書類に囲まれてひとりごとが増えていく

最近、自分でも気づいている。ひとりごとが増えた。「あれ?この書類…」「これ違うやろ」とか、小声で呟いては黙る。誰かに聞いてほしいのか、脳内整理してるだけなのか、自分でもわからない。ただ、書類とパソコンに囲まれて、声に出さないと今日という日が存在しなかったような気がしてしまうのだ。

今日の相手は書類だけだった

朝から晩まで、会話した相手は法務局の受付と宅配便の兄ちゃん、それとパソコンの画面。今日という日は、書類とメールと締め切りに消えていった。誰かに「今日どうだった?」と聞いてもらえたら、それだけで少しは報われた気がしたかもしれない。結局、司法書士って孤独な職業だ。いや、孤独にさせるのは自分自身かもしれない。

聞かれたくて誰かにLINEを送るけれど

返事がないと分かっていても、ふと誰かにメッセージを送りたくなる日がある。「元気?」なんて一言を添えて既読がつくのを待つ夜。誰かに「今日なにしてたの?」って聞かれることを期待している自分がいる。司法書士として忙しくしてるくせに、心のどこかで誰かとの関わりを求めてしまう。

未読のままの画面がつらい

スマホを何度も開いては閉じる。LINEの未読がつかないまま、夜が更けていく。「忙しいだけだよな」と自分に言い聞かせるけど、どこかで「もう興味持たれてないんじゃないか」と思ってしまう。仕事では自信ある方だが、プライベートではどうしようもなく弱気になる。誰かとつながっていたいという気持ちは、きっと誰にでもある。

スタンプひとつのやりとりが嬉しい

既読がついて、ポンと返ってくるスタンプひとつ。それだけでなんだか報われた気がする。「今、あの人もどこかで生きてるんだな」って思える。それだけのことに一喜一憂するなんて情けないとも思うが、それもまた自分だ。司法書士だって、ただの人間だ。心がざらつく日もあるし、誰かに触れたくなる日もある。

気軽に連絡できる関係のありがたさ

仕事での人間関係は、どうしても“結果”が求められる。「これお願いします」「完了しました」だけのやりとり。だからこそ、何の用事もなくただ「どうしてる?」と送れる相手の存在は貴重だ。連絡が途切れても、またふと再開できる関係。そんな人がひとりでもいるなら、今日という日は悪くなかったのかもしれない。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓