ひとりの心地よさが誰かを遠ざけていく日

ひとりの心地よさが誰かを遠ざけていく日

ひとりが当たり前になった生活

気づけば、休日に誰とも話さず一日が終わることが当たり前になっていた。事務所では書類と睨めっこ、電話応対も必要最小限。日々に忙殺されているうちに、人と接すること自体が億劫になっていった。昔は友人に会うのが楽しみだったのに、今では「面倒」が勝ってしまう。ひとりでいることは楽だ。気を遣わなくて済むし、誰にも迷惑をかけない。でも、ふと我に返ると、その心地よさが人との関係を少しずつ削っている気がしてならない。

気づけば週末も誰とも話さない

ある日曜日、朝から洗濯をして、録画していたドラマを見て、スーパーに行って、夕方から少しだけ事務所の整理をして——結局、誰とも会話をしないまま一日が終わった。こんな日がここ最近ずっと続いている。人と会ってないという事実に不安を覚えるより、むしろその静けさに安心している自分がいた。テレビの音や風の音が唯一の生活音で、それすらも心地よく感じてしまっているのが怖い。

話しかける相手がいないことの静けさ

LINEの通知は鳴らない。誰かにこちらから送ることもない。電話は業務連絡ばかりで、プライベートな会話はほとんどない。この状態を寂しいと思うよりも、「まあ、楽でいいか」と思っている自分がいる。昔なら不安になって誰かに無理にでも連絡していたのに。今はその気力すらない。人間関係に疲れたというより、人と接する“感覚”が鈍ってしまったのだ。

それでも仕事は待ってくれない

孤独になろうが何を感じようが、登記の期限は容赦なくやってくるし、お客さんの対応も避けては通れない。外向きの顔はしっかり作る。けれど、その裏でどんどん自分がすり減っていく。誰かと雑談できたら、この疲れ方も少しは違っただろうかと思うこともある。

孤独に慣れると会話のリズムが鈍る

ひとりで居る時間が長くなると、自然と誰かと話す“リズム”を忘れていく。特に司法書士という仕事柄、事務的な会話や手続きの説明はあっても、感情を交えた雑談は少ない。あるとき、久々に同業者との会食があったが、言葉がうまく出てこなかった。「話し下手になったな」と苦笑いしたが、それが心に小さな棘のように残った。

打ち合わせで言葉が出てこない違和感

仕事の打ち合わせ中、「何か質問ありますか?」と聞かれて、返答に困ったことがある。頭ではいくつか浮かんでいたのに、口が動かない。無意識のうちに、会話を避ける癖がついてしまったのかもしれない。相手の目を見るのがなんとなく怖くなっていた自分に気づいた。

頭ではわかっているのに声が出ない

日常会話の中でも、「あれ?何を話せばいいんだっけ」と戸惑うことが増えた。話題を選ぶことに過敏になり、言葉の選び方にも慎重になりすぎてしまう。結果、何も言わずに終わることが増え、さらに沈黙に慣れていく——そのループが続いている。

相槌一つにも自信がなくなる

誰かの話に「へえ」「そうなんですね」と返すだけでも妙にぎこちなく感じる。自然な反応を忘れてしまったかのように。相手の反応を気にしすぎて、表情や言葉遣いに神経を使いすぎて、結果的に疲弊する。以前はもっと気軽に話せていたのに、と懐かしく思う。

誰かと食事をすることが重荷に感じる

ひとりごはんがすっかり習慣になった。仕事終わりにラーメン屋に入り、黙って食べて帰る。誰にも話しかけられず、誰とも視線を交わさず、ただ食べて帰る。快適だった。けれど、知人と食事の予定が入ると、なぜか億劫に感じるようになっていた。昔は楽しみにしていたのに。

気を遣うことが面倒になった瞬間

「今日はどこで食べる?」「何食べたい?」そんな些細なやりとりですら、負担に感じてしまう。自分のことだけを考えて行動してきた結果、他人に合わせる力が鈍ってしまったのだ。気配りが面倒というより、それに耐える“余白”がもう残っていない気がする。

楽しいはずの会話が義務になる

誰かと会っても、楽しさより「うまく盛り上げなきゃ」「変な空気にしちゃいけない」という焦りが先にくる。会話が義務になっている。相手が悪いわけではない。むしろ優しく話を振ってくれているのに、自分の反応が薄すぎて申し訳なくなる。

無理して笑っている自分に疲れる

会話の途中で「今、ちゃんと笑えてるか?」と自分に問いかける瞬間がある。笑うことすら意識的になってしまっていて、自然な感情じゃない。終わった後、どっと疲れてしまう。その疲れがまた次の誘いを断る理由になり、またひとりの時間が積み重なっていく。

気軽な連絡すら遠い存在になる

誰かにLINEを送る、それだけのことがなぜこんなに億劫なのか。用件がないと連絡できない、そんな感覚に縛られてしまった。たまに「元気にしてる?」と送られてくるメッセージにも、返すまでに数日かかる。返したい気持ちはある。でも、なぜか指が動かない。

連絡帳にある名前を見ても手が伸びない

スマホの連絡帳には昔の友人や元同僚の名前がずらっと並んでいる。けれど、そこから誰かを選んで連絡する勇気が出ない。「今さら何を話せばいいんだ」「忙しいだろうし迷惑かもしれない」そんな言い訳をいくつも用意して、そっと画面を閉じてしまう。

返事をしない日が増えた理由

メッセージアプリの未読バッジが溜まっていく。「あとで返そう」と思っているうちに、タイミングを逃してしまう。気づけば既読無視が常態化し、自分でもそのことに罪悪感を抱いているのに、なぜか直せない。心の中で、誰かと繋がる“気力”が減っているのかもしれない。

一人でいたい気持ちと寂しさのあいだ

静かに過ごすことが心地よい。でも、時折、誰かと笑い合いたくなる瞬間もある。そのたびに、「なんで自分はこうなったんだろう」と思う。ひとりでいたい気持ちと、誰かを求める気持ち。その間を行ったり来たりしている。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓