謎の封筒が届いた朝
登記完了通知に潜む違和感
朝の机の上に、いつもと違う質感の封筒があった。差出人は法務局。登記完了通知と書かれた封書の中に、なぜか白黒のポラロイド写真が一枚混ざっていた。内容もそうだが、何より送り先がウチなのが気になる。
サトウさんの冷たい推察
書類から読み解く違和感
「シンドウ先生、送付先、違いますね。登記の委任状にも先生の名前、載ってませんし」 塩対応で的確な指摘をするサトウさんが、パソコン越しにこちらをちらりと見た。やれやれ、、、朝から鋭すぎる。
封筒に忍ばされた写真
死体が映ったポラロイドの正体
その写真には、畳の上に横たわる男性の姿。古びたアパートの室内で、着ているのはスーツ。だが、その顔にはぼんやりと血痕がついていた。登記完了通知と共にこれを送る意味とは。
現場は登記されたばかりの空き家
密室の中で見つかった遺体
調査すると、その不動産は1週間前に所有権が移転されたばかり。申請は本人名義、司法書士は介在していない。そして、その住所こそ、死体が発見された現場だった。
登記簿の所有者と死体の矛盾
氏名と生年月日の奇妙なずれ
登記情報提供サービスで確認すると、名義人は「吉岡裕太」。しかし警察発表では、遺体の身元は「吉岡隆」。名字は同じでも、名前も年齢も一致しない。兄弟か、それとも偽名か。
過去の登記記録を洗う
贈与と相続の履歴に潜む意図
所有履歴をさかのぼると、5年前に「吉岡隆」から「裕太」へ贈与登記がされていた。登記原因証明情報には「実父死亡に伴う名義変更のため」とあるが、なぜ贈与だったのか不明だ。
サトウさんが示した決定的な違和感
玄関の表札と郵便受けの矛盾
「先生、現場写真の表札、逆さまになってますよ。これ、内側から貼ったってことじゃないですか?」 写真を見ながらサトウさんがぼそっとつぶやいた。なるほど、密室に見えたのは、実は演出された偽装空間だったのだ。
サザエさんの名シーンがヒントに
密室トリックの伏線を読み解く
表札が逆さまに貼られていたのは、サザエさんの不幸回だった。あの時と同じように、逆さ表札は不吉を意味していた。つまり、密室を偽装したメッセージがそこに込められていたというわけだ。
兄と弟の入れ替わり計画
本当の所有者は誰だったのか
登記の名義を弟に移した兄が、遺体として発見された。だが逆かもしれない。弟が兄になりすまし、所有者として物件を売却しようとしていた可能性もある。偽装された死亡と名義変更。全てが繋がってきた。
やれやれ、、、司法書士の推理
密室殺人の真相と登記の落とし穴
結局、事件は兄弟間の保険金目当ての入れ替わりによる偽装殺人未遂だった。本人確認の甘さを突いた登記の闇。やれやれ、、、これでまた余計な仕事が増えた。 だが、司法書士もたまには推理をするんだ。