申請書には書けなかった孤独な本音

申請書には書けなかった孤独な本音

それでも手を止めない理由

孤独を感じながらも、やめるという選択肢はいつも遠くにあります。なぜかといえば、誰かがこの仕事を必要としているという実感が、かすかにでもあるからです。声には出されなくても、依頼人の安心した表情を見ると、やっててよかったと思える瞬間があります。

誰かが必要としてくれている気配

ある日、何度も登記相談に来ていた高齢の男性が、完了書類を渡した瞬間に「ありがとう、安心しました」と小さな声で言ってくれました。ああ、この言葉があるからやっていけるんだなと、心から思えました。書類ではなく、“安心”を届けているのかもしれない。そんなふうに思えた瞬間でした。

高校野球で学んだ「やめない力」

中学高校と野球部で、正直ベンチを温めることが多かった自分。でも、どんなに打てなくても、走れなくても、最後までグラウンドに立ち続けることだけはやめなかった。その経験が、いまの自分を支えている気がします。司法書士も同じで、結果がすぐに見えなくても、続けることに意味があると信じています。

孤独と共存する技術

孤独そのものをなくすのは難しい。だったら、うまく共存する方法を探すしかありません。最近では、手帳にその日感じたことを一言書き留めるようにしています。誰かに話すのが難しいとき、自分の言葉を自分で受け止める練習になる気がしています。

書けない本音を手帳に書いてみる

たとえば「今日は疲れた」「誰にも会いたくない」そんな言葉を、日記の片隅に書いておくだけで、気持ちが少し楽になります。申請書には絶対に書けないことだけど、手帳なら書ける。そういう“自分だけの書類”を持つことが、心の居場所になるのかもしれません。

コーヒー一杯の休息が救いになる日もある

事務所近くのコンビニで買うホットコーヒー。ほんの10分、それをゆっくり飲むだけで、気持ちが整うことがあります。特別なことじゃなくても、ちょっとしたルーティンや癒しを持つだけで、自分を取り戻せる時間になる。忙しいと忘れがちだけど、大切なことです。

同じように頑張っているあなたへ

もしこの記事を読んでいるあなたが、同じように司法書士だったり、一人で何かを背負っている人なら、伝えたいことがあります。それは、「書けないことがあるのは、あなただけじゃない」ということです。表に出せない孤独や弱音があるのは、むしろ当たり前のことなのです。

「書けないこと」があるのは当たり前

完璧に見える人も、実は裏で苦しんでいる。そんな姿を何度も見てきました。だから、自分が弱っていることを恥じる必要はありません。誰かに頼れなくても、それはあなたのせいじゃない。言葉にできない想いを抱えて、それでも仕事を続けている。それだけで、立派なことだと思います。

それでもあなたの存在は意味がある

一人でこなす仕事に、手応えがない日もあります。それでも、あなたがいなければ困る人がいます。あなたがいたから助かった人がいます。その事実を、自分でちゃんと認めてあげてください。申請書に書かれないけど、あなたの存在そのものが“価値”なのです。

本音はきっと誰かの力になる

今日、こうして本音を書き出してみて思いました。書類の裏側にある気持ちこそ、人の心に響くんじゃないかと。司法書士という堅いイメージの職業でも、ちゃんと人間らしい葛藤がある。そんな当たり前のことを、もっと伝えていきたいと思います。

書けなかった言葉が、次の誰かを支える

自分が抱えた苦しみや孤独を言葉にすることで、次に同じ場所でつまずく誰かの力になれるかもしれない。そう思えば、無駄な感情なんてひとつもありません。申請書には書けなくても、ここには書ける。それが、このコラムの意味だと思っています。

届かない声でも、重なれば響く

私一人の本音は、誰にも届かないかもしれません。でも、同じように感じている人が言葉を重ねていけば、やがて大きな「共感」になるはずです。そのとき初めて、孤独が孤独じゃなくなる。そう信じて、これからも書き続けていきたいと思います。

最後に 申請書の裏に書き足したくなった一言

最後にひとつ、申請書の余白にこっそり書いておきたかった言葉があります。「たまには誰かに話を聞いてほしい」。それだけで良かった。でも、言えなかった。でもいま、こうして書けたことが、少しだけ救いです。

たまには誰かに話を聞いてほしい

誰にも迷惑をかけず、ただ話を聞いてくれる誰かがいたら、それだけで心は軽くなると思います。聞いてもらうことに、罪悪感を持つ必要はありません。誰かに話すことは、自分を責めないための手段でもあるのです。

それでも、明日も書類と向き合っている自分へ

今日も自分に課したノルマをこなして、一日が終わる。明日もまた、似たような日が続く。それでも、歩みを止めなかった自分を誇っていい。孤独を抱えながら、それでも続けている。それが、何よりも強さなんだと思います。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。