shindo

境界線の先にいた影

境界線の先にいた影 朝の電話と依頼人の戸惑い 「あの、土地の境界がなくなったんです」。 朝一番の電話は、どこかうわずった男の声だった。 私はコーヒーを飲みかけた口を止め、意味のわからないその言葉に眉をひそめた。 境界線が消えた土地の謎 依頼...

消えた血族の行方

消えた血族の行方 消えた血族の行方 忙しい午前中と突然の来訪者 書類の山を前にため息をついていた時だった。ドアがガチャリと開き、背広姿の中年男性が足早に入ってきた。 「相続のことで相談したいんですが……戸籍が、ちょっとややこしくて」と言うそ...

亡霊は地番に宿る

亡霊は地番に宿る 朝の事務所に舞い込んだ古びた登記簿 それは、くしゃくしゃに折れた茶封筒に入って届いた。差出人は不明。ただ、中には一冊の閉鎖登記簿の写しが入っていた。宛先はうちの事務所、司法書士シンドウ宛。 表紙には昭和39年と書かれ、見る...

印鑑の下の殺意

印鑑の下の殺意 依頼人は午前九時にやってきた 封筒に入った合意書 蝉の声が喧しい夏の朝、事務所のドアがぎぃと音を立てて開いた。そこに立っていたのは、中年の女性。スーツの袖口からのぞく手首には、重たそうな数珠が巻かれていた。彼女は封筒を差し出...

司法書士は見た登記簿の余白に死の香り

司法書士は見た登記簿の余白に死の香り 朝一番の訪問者 なぜか登記簿を抱えていた依頼人 事務所の扉がきしみながら開いたのは、まだ時計が午前九時を少し過ぎた頃だった。小太りで汗ばんだ男が、厚手の封筒を抱えて息を切らしていた。封筒からは、見慣れた...

影だけが署名していた

影だけが署名していた 朝の書類に潜む違和感 事務所の机に置かれていた一通の委任状。表面上は問題なく見えるが、どこか引っかかる。登記識別情報の番号が妙に古い気がした。俺の脳裏に小さな警鐘が鳴る。 「この物件、前回の登記はいつだったっけか……」...

彼女が隠した最後の一人

彼女が隠した最後の一人 花束と涙の受付嬢 昼前、事務所に一輪の真紅の薔薇が届いた。差出人の名はなく、受け取ったのは近くの不動産屋で受付をしている若い女性だった。彼女はなぜか目を潤ませながら「ありがとうございます」とだけ呟いた。 その場に居合...

誓約書に愛は書かれていない

誓約書に愛は書かれていない 午後三時の来訪者 事務所の壁掛け時計が「カチカチ」とリズムを刻む中、扉が静かに開いた。見るからに無表情な女性が一人、スーツ姿で現れた。色味のない顔と、無駄のない動作。まるで、アニメ『ルパン三世』に出てくる銭形警部...

封印された評価額

封印された評価額 評価証明書の提出依頼 始まりは一本の電話だった 朝のコーヒーを入れようとしていたとき、固定電話が鳴った。画面には「非通知」。この時点で嫌な予感しかしなかった。 受話器を取ると、男性の声で「父の相続登記をお願いしたいんですが...

登記の裏側に潜む影

登記の裏側に潜む影 登記の裏側に潜む影 法務局から戻ってきた僕のデスクには、分厚い書類の束と、仏頂面のサトウさんが待ち構えていた。今日は一日中、登記済証の確認作業に追われるはずだったのだが、予定はいつも崩れる。それが司法書士という職業の定め...

連名の彼は知らない

連名の彼は知らない 朝の電話と見知らぬ依頼人 土曜の朝、事務所の電話が鳴った。出ると、名乗らぬ男の声がかすれている。「ちょっとだけでいいんです。契約書を見てほしい」。その言い方がどうにも妙だった。素性も話さず、内容もぼやけている。だが、こう...

家族信託と嘘の契約

家族信託と嘘の契約 家族信託と嘘の契約 忙しい朝と一通の電話 朝のコーヒーに口をつける間もなく、事務所の電話が鳴った。昨日は深夜まで申請書のチェックで、まだ脳が働いていない。 受話器の向こうからは上品そうな老女の声がした。「家族信託の契約を...

境界の外に咲いた嘘

境界の外に咲いた嘘 境界の外に咲いた嘘 境界確認から始まった不穏な依頼 「おたくで筆界確認やってもらえます?」電話口の声は、土地持ちの割にやけに慌てた調子だった。隣の家と境界線でもめているらしい。まあ、よくある話だ。だけど、あとで見せられた...

登記簿に眠る連続の罠

登記簿に眠る連続の罠 依頼人は二度現れた 同じ書類 違う人物 午前10時。事務所のチャイムが鳴り、若い男性が登記の依頼にやってきた。手にしていたのは所有権移転登記の申請書類だ。何もおかしなところはないように見えたが、どこか視線を逸らすような...

仮設事務所に残された帳簿

仮設事務所に残された帳簿 壊される直前の静寂 解体業者の通報 「もしもし、なんか変なんです。壁の中から古い書類みたいなのが出てきて…」 地方都市の片隅、かつて地元企業が使っていた仮設事務所。解体の直前、業者が異物に気づいて通報してきた。 私...