相続書類は読めても、あの人の気持ちは読めなかった夜

相続書類は読めても、あの人の気持ちは読めなかった夜 相続登記の書類はきれいに整ったけれど 司法書士という仕事をしていると、形式的な正確さに重きを置かれることが多い。相続登記もその一つで、戸籍を集め、遺産分割協議書を作成し、署名と押印をもらい...

スーツを着るたび、自分が薄れていく気がした朝

スーツを着るたび、自分が薄れていく気がした朝 毎朝の「儀式」が心を削っていく 毎朝、寝ぼけた頭のままワイシャツに袖を通し、しわの伸びたスーツを羽織る。その行為自体が一つの儀式になっている。だが、そのルーティンの中に、自分自身の感情はほとんど...

外出の予定を忘れる

外出の予定を忘れる 忙しいから?歳のせい?外出予定をすっぽかす日々 最近、外出の予定をうっかり忘れてしまうことが増えてきた。相手に連絡すらせずにすっぽかしてしまったと気づいたときの、あの胃の裏がひゅっとなる感じ。忙しさのせいだと思いたいが、...

いつの間にか、誰にも心を開けなくなっていた 〜司法書士の独り言〜

いつの間にか、誰にも心を開けなくなっていた 〜司法書士の独り言〜 誰にも話せないことが、年々増えていく 気づけば、人と深い話をしなくなっていた。いや、正確には、したくてもできなくなっていたのかもしれない。地方で司法書士をしていると、仕事の悩...

あの頃に戻れたら、司法書士を選んでただろうか

あの頃に戻れたら、司法書士を選んでただろうか あの頃の自分には、司法書士なんて知らなかった 18歳のとき、進路指導室の壁に貼られた「人気職業ランキング」には、司法書士の「し」の字もなかった。親は「公務員がいい」と言い、先生は「法律関係なら弁...

はんこ一つで変わる人生――押したのは紙じゃなくて、心だったのかもしれない

はんこ一つで変わる人生――押したのは紙じゃなくて、心だったのかもしれない はんこ一つで変わる人生――押したのは紙じゃなくて、心だったのかもしれない はんこが押される音が、僕の心に刺さるとき カシャッと鳴る朱肉の音。何百回と聞いてきたその音に...

誰かの温もりが恋しくなる夜に、登記の書類だけが隣にある

誰かの温もりが恋しくなる夜に、登記の書類だけが隣にある 誰かの温もりが恋しくなるのは、きっと疲れてる証拠 忙しさに追われていると、ふとした瞬間に「誰かがそばにいてくれたらな」と思うことがある。日中は登記の締切や相談対応、役所とのやりとりで気...

10分前行動の男が、10年遅れで恋に気づく——司法書士の定時と恋心のすれ違い

10分前行動の男が、10年遅れで恋に気づく——司法書士の定時と恋心のすれ違い 時間に正確な人間ほど、恋愛には不器用だったりする 司法書士という仕事柄、時間に対する意識は異常に高い。登記の締切、顧客との面談、裁判所への提出書類──すべて時間が...

“自分らしく”の呪いに疲れた夜に

“自分らしく”の呪いに疲れた夜に 「自分らしく」の正体がわからない 「自分らしく生きよう」とか「もっと自分を大切に」なんて言葉を耳にするたびに、どこかモヤモヤする。自分らしさって、そもそも何なんだろう。45歳になって、地方で司法書士として日...

「やめてもいいんだよ」と言われた日が、もしもあったなら

「やめてもいいんだよ」と言われた日が、もしもあったなら 「やめてもいいんだよ」なんて、誰にも言われなかった 気がつけば、司法書士としての仕事を続けて20年が過ぎた。でもその間、一度だって「やめてもいいよ」なんて言葉をかけられた記憶がない。誰...

心が動かない。笑っていても、何も感じない日が増えた

心が動かない。笑っていても、何も感じない日が増えた 心が動かない日々に気づいた瞬間 ある日、ふと気づいたんです。依頼者からの「ありがとう」が耳に入っても、何も感じなくなっていることに。昔なら、たとえ些細な感謝の言葉でも心が温まったし、やる気...

気づけば“趣味”すら手放していた――司法書士として生きる日々の隙間にて

気づけば“趣味”すら手放していた――司法書士として生きる日々の隙間にて 気づけば“趣味”すら手放していた――司法書士として生きる日々の隙間にて 忙しさの中で削れていく“自分らしさ” 気づけば、趣味と呼べるものが自分の中から少しずつ消えていっ...

今日も誰とも話してない日常、それでも仕事は待ってくれない

今日も誰とも話してない日常、それでも仕事は待ってくれない 朝、声を出さずに始まる一日 朝起きて、カーテンを開けて、コーヒーを淹れても、誰かと交わす「おはよう」の一言がない。天気がどうとか、夢の話とか、そういう日常の端っこにある会話が、ここ何...

今日も法務局に行けなかった話 〜“そのうち”が積もる日々〜

今日も法務局に行けなかった話 〜“そのうち”が積もる日々〜 ああ、またタイミングを逃した。 「今日は行こう」と朝の時点では決意していたんです。なのに、ふと気がつくと時計の針はもう午後3時過ぎ。法務局は4時まで。まだ書類がカバンにすら入ってい...

寝落ちして朝を迎える日々、それでも締切は待ってくれない

寝落ちして朝を迎える日々、それでも締切は待ってくれない 寝落ちして朝を迎える日々、それでも締切は待ってくれない 気づけばまた机でうたた寝していた。体の右半分が変な角度で固まっていて、腕のしびれとともに目覚める朝。パソコンの画面には途中まで打...