人間関係も仕事のうち?

人間関係も仕事のうち?

人間関係が仕事のストレスの8割を占めている件

司法書士としての日々の業務には、登記や書類作成などの「目に見える仕事」だけでなく、クライアントや関係者との「人間関係」という見えない労力も含まれています。正直なところ、この人間関係こそが一番疲れる部分です。体力や知識よりも、感情のやり取りに神経をすり減らしていると感じることが多々あります。私自身、法律の勉強には熱心だったものの、「人付き合い」までは想定していませんでした。ところが実際に独立してみると、「この人とどう付き合っていくか」が一日の大半を占める現実に直面します。

お客様との関係が一番神経を使う

お客様というのは、こちらにとって「依頼人」であると同時に、「評価者」でもあります。私たち司法書士にとって、満足してもらえるかどうかが次の仕事につながるかどうかの分かれ目。だからこそ、どれだけ忙しくても、感情的にぶつかってはいけない、言葉を選ばなければいけないというプレッシャーがあります。

理不尽な要求にどう対処するか

例えば、以前あった案件で、「今日中に登記を終わらせろ」と無茶を言われたことがありました。登記簿の閉庁時間を説明しても、「そっちの都合は知らない」と返される。こちらもプロなので冷静に対応しましたが、内心では「じゃあ自分でやってみろよ」と叫びたくなるような気持ちでした。法律的に無理なことでも、「やってくれると思った」と勝手な期待をされると本当に消耗します。

「こちらも仕事なんですけど」と言えないもどかしさ

この仕事、「お客様は神様です」的な価値観がいまだに根強く残っています。だけど、こっちも仕事としてやってるわけで、言いたいことは山ほどあります。特に、私のようにひとりで現場も事務もこなしていると、時間と気力には限界がある。それでも言えない。言ったら関係が壊れるから。我慢に我慢を重ねて、また夜にひとりで愚痴をつぶやくわけです。

役所や銀行の職員との相性問題

お客様だけでなく、役所や金融機関の担当者との人間関係もまた、業務の成否に大きく影響します。書類を一つ受け取るにも、担当者の機嫌や対応次第で天と地の差があります。こっちは「迅速に」と思っていても、向こうは「のんびり」で、なかなか噛み合いません。

あの人が窓口だと一気に疲れる

ある金融機関の窓口で、こちらの書類の説明を始めた瞬間から明らかに不機嫌な態度の担当者がいました。何を聞いても「それ、知りません」「規定ですから」の一点張り。こちらもなるべく丁寧に話しますが、話すたびにため息をつかれると、さすがにメンタルがやられます。そういう時は、本当に「今日はもう帰りたい」と心底思います。

機嫌が悪いだけで一日が台無しに

自分ではどうしようもないことに左右される日々。相手がたまたま機嫌が悪い、それだけでこちらの一日が狂ってしまうことが何度もあります。書類の受け取りが遅れて、その影響でお客様への連絡も遅れ…その一つひとつが連鎖して、精神的な疲労につながる。こんなことに労力を割くくらいなら、書類100枚書いてる方がマシだと思ってしまうこともあります。

事務員さんとの距離感、むずかしい

唯一の味方でもあり、唯一の相談相手でもある事務員さん。だけど、この関係もまた、簡単ではありません。頼りたいけど頼りすぎたらいけない、注意したいけど言い方を間違えると空気が悪くなる。特に私は人との距離感を測るのが下手で、毎回「これ言ってよかったのかな」と後悔しています。

言い方ひとつで空気が凍る

以前、書類のミスを指摘したときに、ちょっと強い言い方になってしまったことがありました。するとその後、明らかに口数が減ってしまって…。こっちは怒ってるつもりじゃなかったけど、伝わり方って難しい。数日間、空気が重くなり、「あぁ、自分のせいで職場が暗くなってる」と自己嫌悪に陥りました。

注意したいのに言えない小心者

本当はもっと細かいところを伝えたい。でも、「また空気悪くなるかも…」と思って、何も言えずに飲み込む。結果として、自分が黙ってストレスをためるだけの日々。経営者としての「指導力」なんて、自分には無理なんじゃないかと思うことすらあります。優しさと気遣いのバランスって、難しいです。

逆に頼りすぎて申し訳なくなる日々

気がつけば、かなりの業務を任せてしまっている。本人が優秀だから助かっているけど、「自分がもっとやるべきじゃないか」と罪悪感に襲われる日もあります。特に、体調が悪そうな時や、疲れていそうな時に、「大丈夫ですか?」と聞くしかできない自分が情けなくなる。

優しさと気遣いのバランスが難しい

任せたいけど無理はさせたくない。仕事はきちんと回したいけど、笑顔も失いたくない。そうやって毎日葛藤しています。お互いに遠慮し合ってるような関係は、どこかで破綻してしまう気もしていて、それがまた不安の種になります。

他士業との付き合いにも気を遣う

司法書士の仕事は単独では完結しないことも多く、税理士や弁護士など他士業との連携も必要になります。けれど、こちらがどれだけ丁寧に接しても、温度差があったり、相手の都合で振り回されたりすることもあります。対等な関係のはずなのに、実際は「気を遣ってばかり」の関係になってしまうことも少なくありません。

税理士・弁護士との温度差

ある相続案件で、こちらは急いで進めたいのに、弁護士側の反応が鈍くてイライラしたことがありました。「また明日でいいですよ」と言われた時には、「いや、明日じゃ困るんだよ」と言いたかった。でも言えない。相手の立場や今後の付き合いを考えると、波風は立てられない。これがけっこうしんどい。

気軽に話しかけられない壁

雑談一つとっても、相手によっては距離を感じることが多いです。こちらは気軽に話しかけたつもりでも、相手は「何の用ですか?」とでも言いたげな表情だったり。そうなると、次からは連絡も慎重になってしまい、業務効率にも影響します。

紹介の義理と本音の板挟み

紹介してもらった士業との関係も厄介です。こちらの期待に応えてくれない場合でも、「紹介者の顔」があるため、関係を切るわけにもいかない。本音では「もう関わりたくない」と思っていても、表面上は笑顔をつくらなきゃいけない。この「演技」がまた、ものすごく疲れます。

うまくいかないと責任を感じる

特に、自分がクライアントに紹介した側だった場合、その人との関係がうまくいかないと、こちらの信頼まで傷ついてしまう。「自分が余計なことをしたのでは?」と責任を感じてしまい、ぐったりする日もあります。

「人間関係も仕事のうち」という言葉への違和感

よく言われる「人間関係も仕事のうち」という言葉。たしかにその通りなんでしょう。でも、そう簡単に割り切れるものじゃない。相手の気分や性格に振り回される毎日が「仕事」として正当化されることに、どこか納得できない思いもあります。

そう言われても報酬は出ない

お客様の愚痴を1時間聞いたって、報酬にはならない。士業同士で何度も調整しても、そこには請求書を出せない。つまり、「人間関係の仕事」は見えない労働です。自分の感情をコントロールする時間、誰にも評価されずにただ消耗していくだけの日々です。

精神力を消耗するだけの日々

誰かの言葉や態度に振り回されるたび、自分の中の何かが少しずつ削られていく気がします。肉体的な疲労よりも、精神的な摩耗の方が深刻です。そして、それに対するリカバリー手段も確立されていない。飲みに行っても、根本の問題は解決しない。

それでも孤立はできないという現実

人と関わるのは疲れる。でも、関わらなければ仕事は進まない。結局のところ、逃げられない。だからこそ、日々のちょっとした共感や優しさに救われているのかもしれません。「ありがとう」の一言が、数日分のストレスを和らげてくれることもあります。

誰かがいるから続けられる側面もある

不思議なもので、「もう無理」と思っていた日でも、誰かの笑顔やねぎらいの言葉で「もう少し頑張ってみよう」と思えることがあります。人間関係は確かに厄介だけど、それでも、誰かがそばにいるから、自分はまだこの仕事を続けていられるのかもしれません。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





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