封筒を開けたら請求書しか入ってないという呪い

封筒を開けたら請求書しか入ってないという呪い

封筒を開けたら請求書しか入ってないという呪い

今日もポストに封筒が届いていた

朝、事務所に着いてまずやること。それはポストの確認だ。何かしら届いている封筒に、一瞬だけ希望を抱く自分がいる。でももうわかっている。そこにラブレターはない。得意先からの感謝状もない。あるのは、やっぱり「請求書」なのだ。この確率、体感で100%に限りなく近い。気のせいか、封筒の紙の厚みで中身が請求書かどうかすらわかるようになってきた。

何か良い知らせかと期待した自分が甘かった

封筒を手にしたときの感覚、開封するときの微かなドキドキ、そして「請求書在中」の冷たい現実。ここまでテンプレ通りのがっかりも珍しい。人間、繰り返されると慣れるとよく言うけれど、これは慣れるというよりも、疲弊に近い。何度経験しても「ああ、やっぱり…」と肩を落とす。最近は無意識に溜息が出るまでのスピードも速くなってきた。

茶色い封筒に白黒つけるのはいつもこっち

あの独特な茶封筒。少しだけざらついた手触り。そこに印刷された黒文字の「請求書在中」。郵便局員も、まさかこれを受け取った人間が絶望するとは思っていないだろう。いや、思っていても仕方がないという顔をしているのかもしれない。白黒はっきりつけたいのはこちらとしても同じ。でも、その中身が現実すぎて、感情にモザイクをかけたくなる。

「請求書在中」のスタンプが刺さる心

この文字、もう少し優しくできないものか。たとえば「ちょっとしたご案内」とか、「いつもありがとうございます」とか。いや、それは嘘になるか。でもせめて字体を丸文字にしてくれたら、こちらの精神的ダメージも少しは軽くなる気がする。スタンプを押した担当者は、これが誰かの胃をキリキリさせることになるとは想像もしないだろう。

開封=出費の公式がいつから完成したのか

仕事があるということは、何かを動かしているということ。だから当然、支払うべき費用も発生する。わかっている。理屈ではそうなんだ。でも問題は、その出費のタイミングが絶妙にこちらの資金繰りを襲ってくることだ。特に月末月初。封筒を開けるたびに、通帳残高がチラつく。そうして、また頭を抱える。完全に条件反射だ。

収入より支出が先にやってくる事務所運営

まだ入金されていないのに、支払いだけが前倒しでやってくる。これは何のバグだろうか。先方に確認すれば「締め日なので〜」「システムの都合で〜」といったテンプレが返ってくる。わかる、わかるけど、それならこっちの入金もシステムで前倒ししてくれ、という矛盾と今日も戦っている。司法書士ってこんな職業だったっけ?

経費っていつもこんなに攻めてくるのか

事務用品、コピー代、登記印紙、郵便切手。どれも大した額じゃないのに、積もれば山になる。気づけば毎月の出費が、どこかの家の家計費レベルになっている。しかも攻めてくるタイミングがバラバラで、まるでゲリラ戦のようだ。こちらは防戦一方。結局、「どうせ必要だし」と諦めて払う日々。

請求書の積み上げが心の負担を可視化する

机の隅に積み上がる封筒。開封したものも、してないものも。視界に入るたびに、「あれ、払ったっけ?」と不安になる。その都度チェックして、また現実に引き戻される。紙は軽いけど、重さがある。そう思うようになったのはいつからだったろうか。

それでも事務所は今日も回っている

この地味な仕事。誰に褒められるわけでもないし、華やかな舞台があるわけでもない。けれど、誰かの暮らしや人生の節目に関わる大切な業務だ。請求書が届くということは、誰かが自分の仕事に対して対価を求めているということ。そしてそれを払えるだけの仕事があるという証拠でもある。そう思うことでしか、やっていけない日もある。

請求書を支払うという地味な使命感

黙々と書類を処理し、黙々と振込を済ませる。誰も見ていないところで淡々と。自己満足かもしれない。でも、たとえ小さな事務所でも「信頼してもらえる司法書士でいたい」と思っている限り、この地味な作業にも意味があると信じたい。封筒の向こうにいる誰かの顔を思い浮かべながら、また通帳とにらめっこする。

誰にも褒められないけど司法書士の仕事

たまには「お疲れ様です」って言ってくれる誰かがいたら嬉しいな、と思う。でも現実はそう甘くない。そんな妄想を抱きながら、また一枚、封筒を開ける。「ああ、また請求書か」。今日も変わらぬルーティン。でも、それでもこの場所で踏ん張っている自分を、少しは褒めてもいいのかもしれない。

そして明日もポストを覗いてしまう自分がいる

わかってる。どうせまた請求書が入ってる。でも、なんとなく明日もポストを見てしまうのは、人間の性なのだろうか。あるいは、いつか誰かからの思いがけない手紙が届くことを、ほんの少しだけ期待しているのかもしれない。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓