想いが届かない日には書留にして送りたくなる

想いが届かない日には書留にして送りたくなる

想いが届かない日には書留にして送りたくなる

気持ちは手渡しできない時代に

書類なら記載漏れをチェックして、封筒に入れて、切手を貼って、ポストに投函すれば、だいたい翌日には届く。でも、気持ちとなるとそうはいかない。相手の都合、気分、スマホの通知、未読無視…いろんな壁があって、こっちの“好き”や“ありがとう”は行き先不明のまま。司法書士として、依頼人からの手紙には必ず返信してきた。でも自分の想いには、返信どころか受け取り確認もない日々がある。

メールもLINEも既読スルーが怖い

昔は電話番号を聞くのも一大イベントだったのに、今やLINEは挨拶のようなもの。それでも、既読がついたきり返事がないと、なぜか心がざわつく。自分は“通知オン”で待っているのに、向こうには“通知オフ”で流れていく。司法書士の業務は、通知も期限も明確なのに、恋心となると相手のペースに全て委ねられる。既読スルーが重なってくると、やっぱり書留で送りたくなる。“確実に届きました”のサインが欲しくなる。

手続きは正確でも心の伝達は不安定

登記簿は正確じゃなきゃいけない。だからこそ、登記の申請にはミスがないよう、確認に確認を重ねる。でも、気持ちのやり取りに関しては、確認の術がない。何か嫌なことを言ってしまったのか、それとも単に忙しいのか。そういう曖昧さに、精神が揺さぶられる。自分の仕事では100%を目指すのに、私生活では10%も伝わっていない気がして、やるせない。

書類は届くけど気持ちは迷子

司法書士として郵便を送る機会は多い。内容証明、登記完了通知…それはきちんと相手に届く。でも、自分の「この前のあれ、ありがとう」や「今度時間があれば一緒に」みたいな一言は、どうやら迷子になるらしい。誰にも拾われず、返信もない。相手の心のポストには差出人不明のまま届いていないのかもしれない。そう思うと、重ねたメッセージがどこかで行き場をなくして消えていくようで、ちょっとだけ切なくなる。

書留みたいに気持ちを届けたい相手

好きな人がいる。それは職場の人でも依頼人でもなく、たまたま紹介された知人。でも、連絡を取るたびに“自分の気持ちはちゃんと届いているのか”という不安に駆られる。言葉を選んでも、相手の反応はどこか温度が低い。だったら、思い切って“この気持ち、受け取ってください”と書留で送れたらいいのに。そうすれば、ちゃんと届いたことがわかる。受取印がもらえれば、それだけで少し安心できる。

恋愛が遠ざかる司法書士の現実

この仕事に就いてから、土日が仕事になることも少なくない。急ぎの登記、役所とのやり取り、そして依頼人との連絡…日々に追われているうちに、恋愛をする気力そのものが削がれていた。気がつけば、周囲は結婚し、子育てに奮闘している。一方こちらは、夜のコンビニ飯とパソコン画面が日常だ。誰かと関係を築く時間すら、スケジュールに組み込めない。だからこそ、ほんの一言でも“気持ちが届いてほしい”と思ってしまう。

モテない話を笑いに変える元野球部

若い頃は野球部だった。背番号を背負って、声を張っていた日々があった。でも今は、法務局で静かに並ぶだけ。学生時代の仲間と集まれば「お前、相変わらずモテねえな」と笑われる。そう、事実だから笑うしかない。だけど、笑い話に変えているうちは、まだ救いがあると思っている。モテないことも、恋が実らないことも、いつか誰かに話せる日が来るなら、少しは意味があるのかもしれない。

独身生活の切なさを茶化せるうちはまだマシ

茶化して話せるうちは、まだ笑っていられる。でも、ふと夜に部屋へ帰って誰もいない現実に直面すると、静けさが一層深くのしかかる。帰りを待つ人がいる生活は、どんなにいいだろうと思う。書留で送った気持ちに返事がなくても、届いたと信じられるなら、少しは救われる。だけど、返信がなければ、ただの一方通行。そんな日が続くと、冗談も力を失っていく。

仕事では伝わるのにプライベートでは空振り

業務では、自分の意図を伝えるのが仕事。契約の条項、登記の内容、説明資料…わかりやすく、正確に、丁寧に。だから、相手から「わかりやすいですね」と言ってもらえると、達成感がある。でも、プライベートのやりとりはそうもいかない。感情が入ると、言葉は途端に不安定になる。真面目すぎても引かれるし、軽くすると本気じゃないと思われる。結局、何を言っても空振りする。

依頼人には伝わる安心感との落差

依頼人には、こちらの言葉は届く。信頼関係ができていれば、「あなたにお願いして良かった」と言ってもらえる。でも、恋愛は違う。信頼だけじゃ足りない。安心感や誠実さを伝えたくても、相手が興味を持たなければ、それまで。安心感が“つまらない”に変換されることもある。この落差が、自分を余計に落ち込ませる。仕事では“できる人”、でもプライベートでは“空気”になってしまう。

事務員さんとの意思疎通すら難しい朝

うちの事務員さんはよくやってくれている。でも、朝の「おはようございます」の返事が妙に素っ気ないときがあると、それだけで一日が不安定になる。「昨日何か言い過ぎたかな?」とか「機嫌悪いのかな?」とつい考えてしまう。こんな自分の小ささが嫌になる。人の心の機微を読み取ろうとするのは得意なはずなのに、身近な人との距離感には、いつも戸惑ってばかりだ。

それでも書き続ける理由

気持ちは、書いてみないと伝わらない。言葉にしないと、何も始まらない。司法書士という職業柄、書類に言葉を乗せることに慣れてはいるけれど、気持ちの文章を書くのは別のエネルギーがいる。でも、どんなに空振りしても、誰かに読んでもらえるなら、それでいい。今日もまた、自分の気持ちを封筒に詰めるように、こうして書いている。

誰かに読んでほしい気持ちはある

「あなたの言葉、わかります」と言ってくれる誰かがいるとしたら、それだけで救われる。仕事で疲れて、恋愛にも躓いて、なんとなく人生が空回りしていても、それを言葉にして届けられれば、少しだけ軽くなる。司法書士だって人間だ。伝えたい気持ちはある。だから今日もまた、書留にできない気持ちを、そっと綴る。

「わかるよ」と言ってくれる人がいるかもしれない

書いたものに返事が来ない日もある。でも、ページの向こうで「そういうこと、あるよね」と思ってくれている人がいるかもしれない。その人にとって、自分の言葉が、ちょっとした救いになればうれしい。そんな願いをこめて、またひとつ、思いを送る。書留じゃなくても、届くことを信じて。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓