疲れているのに眠れない夜

疲れているのに眠れない夜

眠れない夜に繰り返す頭の中の独り言

布団に入って目を閉じた瞬間、なぜか頭の中が忙しくなる。疲れているはずなのに、脳だけが元気になってしまうような感覚だ。今日の出来事、やり残した仕事、あの時の言い方が悪かったんじゃないか、などなど、ぐるぐると考えが止まらなくなる。日中は何とか踏ん張れても、夜になると自分に対するダメ出しの時間が始まってしまう。たとえ体が限界でも、心が眠る準備をしてくれないのがつらい。

終わらなかったタスクが脳内を支配する

「あの登記、やっぱり確認し直したほうがよかったかも」「あのお客さん、ちょっと不満そうだったな」──仕事の手を止めた瞬間には「まあ明日やればいいか」と思っていたのに、布団に入るとその判断を責める自分が出てくる。まるで日中の自分と夜中の自分は別人格だ。タスクが終わっていないことへの焦りと、手を抜いたかもしれないという後悔が交互に押し寄せて、寝返りばかり増えていく。

「あれは明日でいい」と思っても寝床で蘇る

日々の業務は予定どおりにいかないことが多い。急な依頼や変更が入れば、予定していたタスクは後回しになる。それを「明日でいい」と割り切ることができる日はまだいい。問題は、それが気になって仕方なくなる夜だ。布団の中で「あれもこれもやり残した」と思い出し、明日やるつもりが「なぜ今日できなかったのか」という自責の念にすり替わっていく。こうなると、ただただ眠れない。

事務員のミスも、最終的に自分の責任

もちろん一人事務所ではないので、事務員に任せている作業もある。とはいえ、最終的にミスがあれば責任を負うのは自分だ。事務員が出した郵便に不備があれば、それを指摘しなかった自分の落ち度になる。「ちゃんと確認してくれよ」と思う一方で、「忙しすぎてチェックを怠った自分も悪い」と堂々巡りの反省が始まる。眠るどころではなくなる。

布団に入った瞬間から始まる反省会

「今日はこれで終わり」と言い聞かせて布団に入ったはずなのに、体を横たえた瞬間に“反省会”が始まる。小さなミス、ちょっとした気遣いの不足、言葉選びの拙さ……昼間には流せていたことが、夜になると妙に重く響いてくる。しかもそれが、眠気と戦っている状態だとより増幅されてしまう。これは一種の“自家製ストレス”なのかもしれない。

寝るために横になったのに心が起きる

身体は明らかに疲れている。けれど、心だけが覚醒してしまっている状態が続く。横になると、「今日の書類、あのままでよかったんだろうか」と考え始めてしまう。普段なら気にしないようなことも、深夜には妙に気になって、どんどん思考が掘り下がっていく。結果、眠るために布団に入ったのに、かえって目が冴えるという皮肉な状態になる。

誰も責めてこないのに自分を責めてしまう

誰かから怒られたわけでもない。お客様からクレームが来たわけでもない。なのに、自分で自分を責めている。これは本当に厄介だ。他人の言葉なら時間が経てば薄れることもあるけれど、自分の言葉はいつまでも消えてくれない。昔から“自分に厳しい”と言われてきたけれど、それが今になって自分を追い詰める原因になっている気がする。

昼間の電話対応を思い返して落ち込む

ある日、少し機嫌の悪そうなお客様からの電話があった。対応自体に問題はなかったはずだが、どこか冷たく感じられたかもしれない。その記憶が、夜になると蘇る。「もっと丁寧に話せばよかった」「声のトーンが硬かったかな」と思い返しては、自分の未熟さを噛みしめる。電話一本が夜の自己否定に繋がってしまうのは、もう職業病なのかもしれない。

「疲れてるのに眠れない」ことへの焦り

「寝なきゃ」「早く寝なきゃ」と思えば思うほど、眠れない。この焦りもまた眠れなさに拍車をかける。しかも、翌日も普通に朝から仕事がある。寝不足のまま業務をこなす不安が、さらにプレッシャーとして心にのしかかってくる。「明日は重要な面談があるのに」と考えると、眠れないことが罪のように感じられる。こうして夜はどんどん深くなる。

「明日も朝からやらなきゃ」がプレッシャーに

司法書士の仕事は、日によっては朝イチから立ち会いや面談が入る。だからこそ、しっかり眠っておかないといけない。しかし「眠らなきゃいけない」という思いがプレッシャーになり、余計に眠れない悪循環に陥る。夜中の2時を回ると、「あと4時間しか寝られない」と計算を始めてしまい、その数字がまた不安を煽ってくる。

疲労と焦燥が混ざり合う夜の孤独

この時間になると誰にも頼れない。電話もできないし、SNSに何かを投稿する気にもなれない。結局、自分の中にたまった疲労と焦燥を抱えたまま布団の中で悶々とする。まるで、眠れないことそのものが自分の弱さの証明のように思えてしまう。そして、その弱さにまた落ち込む。孤独と自己嫌悪のループだ。

元野球部時代は泥のように眠れたのに

高校時代は野球部だった。練習が終わればくたくたで、夕飯を食べた後は気づけば眠っていた。あの頃は、疲労=睡眠だったのに、今はそうはいかない。精神的な疲労のほうが強くなってしまって、体がいくら疲れていても眠れない夜がある。年齢のせいか、仕事のせいか、それとも独り身のせいか──理由はわからないが、あの頃の眠りが恋しい。

誰にも言えない司法書士という職業の重み

司法書士という肩書きは、周囲から見れば「先生」と呼ばれ、堅実な仕事と見られている。しかし、その実情はなかなか人には話せない孤独と責任の塊だ。法律と人の間を取り持つこの仕事は、どちらからも距離を取られがちで、悩みも共有しにくい。そんな立場にいるからこそ、夜のひとり時間はとても重く、時に押しつぶされそうになる。

肩書きは立派でも、現実は孤独とプレッシャー

「司法書士です」と名乗ると、それだけで信用されたり、頼りにされたりする。でもその期待がプレッシャーになることも多い。「失敗できない」「ミスが許されない」という思いが日々の判断を重くする。さらに、事務所の運営や経営のことまで考えると、精神的に休まる暇がない。孤独な経営者であり、孤独な実務者でもある。

「先生」と呼ばれても中身はただの疲れた中年

お客様から「先生、助かりました」と言われると、その瞬間は確かに嬉しい。でも、自分の中では「先生」と呼ばれるほどの立派な人間ではないと自覚している。実際は、独身で愚痴っぽくて、夜も眠れないような中年男だ。そう思うと、表と裏のギャップに苦しむ。理想の自分と現実の自分。その乖離が夜になると特に大きく感じられる。

一人で背負うにはちょっと重すぎる

地方で一人事務所を営んでいると、相談できる同業者も少ない。何かトラブルがあれば、誰にも頼れず、すべて自分で処理しなければならない。こうした日々の積み重ねが、夜の不安や眠れなさに繋がっているのかもしれない。真面目に生きてるだけなのに、どうしてこんなに息苦しいのかとさえ思う。

眠れぬ夜が続いたときに気をつけていること

眠れない夜を完全に無くすことはできなくても、少しでも軽くするために工夫していることがある。年を取ってからようやく「心のメンテナンス」も仕事のうちだと気づいた。できることは小さなことばかりだけれど、それが積み重なると案外効いてくるものだ。

深夜のスマホ検索をやめてみる

眠れないと、ついスマホを開いてしまう。検索しても解決しないことを延々と調べ続け、かえって不安になることも多い。「司法書士 仕事 辞めたい」とか、「疲れた 一人 眠れない」なんてキーワードを打ち込むこともあった。最近はスマホを寝室に持ち込まず、アナログの目覚まし時計に切り替えている。

思い切ってお酒もやめた理由

以前は寝酒としてビールを飲んでいたが、結局夜中に目が覚めて逆効果だった。眠れないストレスにお酒で対処するのは、一時しのぎにすぎない。肝臓にも悪いし、疲れが抜けにくくなる。今は代わりに白湯を飲んでいる。信じられないかもしれないが、意外と気持ちが落ち着く。

小さな習慣の積み重ねが心を守る

深呼吸、照明を落とす、ラベンダーの香りを焚く……そんなささいなことでさえ、心の安定に少しだけ貢献してくれる。派手な解決策ではないけれど、積み重ねていくと“眠れない夜”ともうまく付き合えるようになってくる。仕事に追われる毎日だからこそ、こうした習慣が自分を守ってくれる大事な防波堤だと思っている。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。