書類に追われる日々が恋を押しのけた
仕事ができない時期があった自分が、ようやく事務所をまわすようになった。けれど、そんな日常が安定するほどに、恋愛の優先順位はどんどん下がっていった。誰かと会う余裕もなく、会話の9割は「事務員との業務連絡」になった日々。気づけば、恋愛という言葉そのものが、どこか遠い存在になっていた。
恋の始まりはいつも繁忙期とぶつかる
恋愛はタイミングだと人は言うけれど、司法書士の繁忙期は年中行事だ。
年度末にやってきた好意のすれ違い
以前、飲み会で出会った人と何度かやり取りをした。けれど、年度末の登記ラッシュで返信もできず、気がつけば既読スルーのまま終わっていた。
相手を待たせることへの申し訳なさ
僕は返信が遅れることに罪悪感を感じつつも、「今じゃない」と自分に言い聞かせていた。だけど、その今は結局来なかった。
恋よりも重要に見えた仕事の優先順位
数字や成果がはっきり出る仕事のほうが、報われやすかった。
恋は頑張っても報われるとは限らない
頑張ったら結果が出る、そう信じて仕事に打ち込んできた。でも恋は違った。努力しても、会えなければ意味がなかった。
タスクに追われるほうが安心だった
恋愛は不確実だけど、登記は期日がある。タスクを片付けているほうが、落ち着くようになっていた。
一人分の夕食がしみる夜
仕事が終わって帰宅すると、誰もいない部屋に灯をつける。冷蔵庫に入っているコンビニ弁当をチンしながら、ふと「このままでいいのか」と思ってしまう夜がある。
誰かと過ごす時間の価値
事務所では何百通も書類を処理しているのに、プライベートでは誰とも深く関わっていない。
独り身の自由と孤独の境界線
自由で気楽な生活。でも、気づけば誰かに気を遣う時間すらなくなっていた。
モテなさの理由を自覚した瞬間
「忙しそうだね」「また今度ね」が口癖になっていた。誘われなくなるのも当然だと、少しずつ実感するようになった。
元野球部の自分が恋に送球できなかった理由
学生時代は攻めることが得意だった。でも恋愛だけは、なぜかいつも守りに入ってしまう。
チャンスボールを見送ってしまった癖
「いま声をかければ」そう思った瞬間に、結局タイミングを逃していた。
試合なら延長戦があるけれど恋にはない
恋愛には再試合がない。一度すれ違ったら、それで終わりのことが多い。
恋を後回しにしたツケと向き合う日々
今さら焦っても仕方ない。でも、ふとした瞬間に「誰かと生きること」の重みを考える。
同世代が家族の話をする時の寂しさ
同窓会や地元の飲み会で話題に出るのは、子どもの話や家族のこと。それがない自分は、ただ静かに酒を飲むだけ。
事務員の気遣いが胸に刺さる
「先生、早く帰らないと彼女怒りますよ」なんて冗談すら、もう誰にも言われない。