気づけば通っているのは法務局ばかり
昔は「30歳くらいには結婚してるだろうな」と、根拠もなく思っていたんです。でも気づけば45歳。結婚相談所に登録する勇気もないまま、毎週のように通っているのは法務局。恋人との約束ではなく、登記簿の添付書類を持って窓口に行く日々。もう何年も、誰かとの「デート」なんてしていません。僕の人生、もはや恋愛より登記のほうが主戦場になってしまったようです。
結婚相談所のチラシは見るだけで終わる
たまにポストに入っている結婚相談所のチラシ。開いて眺めてはみるけど、「このタイミングじゃないな」「今は忙しいし」と、結局ゴミ箱行き。仕事が少し落ち着いたら行こうと思いつつ、そんな日はいつまでたっても来ない。登録だけでもしてみればいいのに、相談所に行く時間があるなら法務局に先に書類を出しに行ってしまう。それが僕の現実です。
申込書を書くより登記申請書を書くほうが手に馴染む
何度も書いた申請書。法人の設立、役員変更、不動産の所有権移転。登記識別情報だって自然に読み取れる。でも、婚活のプロフィールを書くとなるとペンが止まる。「趣味?野球…だけど今はやってないし…」「長所?…真面目すぎること…?」と、迷ってしまう。書類は得意なのに、自分の人生を誰かに紹介する文章は、なぜこんなに難しいんでしょう。
いつのまにか人生が「仕事優先」になっていた
気づいたら休日も事務所に顔を出すのが当たり前。事務員さんが「先生、今日はちゃんと休んでくださいね」って言ってくれるけど、つい「じゃあ午前中だけ…」と返してしまう。大事な友人の結婚式も「案件の調整ができなくて」と欠席したことも。もちろん後悔はあるけど、そうやって日々を積み重ねた結果が、今の“結婚より登記”な僕なのかもしれません。
法務局の職員さんに顔を覚えられるという現実
「またお越しですね」と笑顔で言われることが増えました。正直、顔を覚えられるほど頻繁に来てるって…どうなのって思うけど、それだけ業務が多いという証でもある。向こうも慣れたもので、「あ、この添付書類はもう一通要りますね」とか、先回りして教えてくれる。ありがたいけど、ちょっと切ない。恋じゃなくて、完全に業務上の信頼関係です。
「また来ましたね」と言われる日々
法務局のカウンターで言われる「おかえりなさい」的な一言が、最近ちょっと心に染みます。自分でも笑っちゃうくらい通ってる。1日に2件まわる日もあって、「先生、今日はこっちとあっち両方ですか」と冗談交じりに話しかけられることも。まるで常連客。でもそれって、嬉しいようで、やっぱり少し虚しいんですよね。
会話の9割は仕事の話
法務局の職員さんと話す内容といえば、ほぼ業務関連。「ここの添付書類が…」「登記完了予定日は…」ばかり。雑談なんてないし、ましてやプライベートの話なんてゼロ。だけど、こんなふうに事務的な会話だけで一日が終わっていくことに、ふと寂しさを感じるときもあるんです。仕事に熱中するのも悪くないけど、それだけじゃ人間って満たされないですね。
恋愛相談をするにはあまりに公的すぎる場所
「先生、婚活とかされてるんですか?」なんて、法務局で聞かれるわけがないし、聞かれても困る。でも内心では、誰かにぽろっと弱音を吐きたくなることもあるんです。登記窓口の無機質な空気の中で、「このまま一人で生きていくのかな」と思うこともしばしば。恋愛には程遠い空間で、僕の人生が静かに進んでいます。
なぜ結婚相談所に通う気になれないのか
決して結婚を諦めているわけじゃない。でも、今の生活に結婚の優先順位が組み込まれていない。それは多分、自分の気持ちを後回しにする癖があるから。仕事を理由に逃げているんです。本当は誰かと一緒にご飯を食べたり、たわいない話をしたり、そんな日常が欲しい。でも「今は忙しいから」と言い訳して、また法務局へと足を運んでしまう自分がいる。
仕事を理由に逃げている自覚はある
「今は忙しいから」「今年は案件が多いから」— そんな言い訳を自分にして、婚活から目を背けてきた。でも本当は、ただ怖いんです。誰かと向き合って、断られることが。うまくいかないことが。だから安心できる業務に没頭して、自分を保ってるんだと思います。逃げてるって自覚してるのに、なかなか止まれない。それが今の僕です。
平日の夜も休日も電話とメールに追われる
「夜に時間ありますか?」と誘われたとしても、つい「申し訳ない、対応中で…」と断ってしまう。仕事が終わる時間が読めないから、誰かと約束するのが怖い。休日だって気が抜けない。そんな生活を繰り返していくうちに、「自分の時間」がどんどん他人のための時間に置き換わっていってる気がします。
婚活に向き合う気力が残っていない
正直、夜になると疲れ果ててしまって、人と会話する気力もない。ましてや初対面の人と笑顔で話すなんて、ハードルが高すぎる。事務員さんとすら、必要最小限の会話しかしていないのに。こんな状態で婚活しても、相手に失礼なんじゃないかって思って、動けずにいます。気づけば45歳。でも、それでも遅くないって、信じたい気持ちもあるんです。