深呼吸しても落ち着かない朝

深呼吸しても落ち着かない朝

朝の空気に飲み込まれそうになる日

朝起きて、まず深呼吸をしてみる。窓を開けて、新しい空気を入れてみる。それでも、胸の中のざわつきは消えない。静かな朝のはずなのに、頭の中ではすでに今日の予定と未処理の案件がざわざわと囁き始めている。まだコーヒーも飲んでいないのに、気持ちばかりが先走って、体がついてこない。深呼吸で落ち着けるなら、とうの昔にそうしている。けれど、呼吸が浅く、心がどこか遠くにいるような、そんな朝が続いている。

眠っているはずなのに疲れが抜けない

7時間は寝ているはずなのに、朝起きると体が重い。肩や首に違和感があって、まるで誰かに押さえつけられているような感覚だ。気持ちの問題だろうか、そう思って体を伸ばしてみても、どこかしらに疲れが残っている。昔、野球部で部活をしていた頃は、筋肉痛すら気持ちよかったのに、今はただの疲労がまとわりついて離れない。疲れが心にまで入り込んで、朝から逃げ出したくなるような感覚に襲われる。

寝る前に事務所のことを考えてしまう

布団に入ってからも、ついつい今日あった出来事や明日の業務を頭の中で反芻してしまう。書類の不備はなかったか、あの依頼人の言い方は何を意味していたのか。考えても仕方ないことばかりが、堂々巡りして眠りを妨げる。スマホを見ればさらに目が冴える。結果として、寝つきも悪く、眠りも浅い。自分で自分を追い込んでいると分かっていながら、それを止める術が見つからない。

夢にまで登記が出てくる夜

仕事が夢にまで出てくるようになると、いよいよ末期だと思う。登記簿謄本が登場する夢を見たときは、さすがに笑うしかなかった。笑えるけれど、笑えない。夢の中でまで「ミスしてはいけない」と追い詰められている。心が休まる暇がない。寝ても覚めても仕事のことが頭を占めている生活は、いつか壊れてしまうんじゃないかと不安になる。

一息ついても呼吸が浅く感じる理由

「一度深呼吸して落ち着こう」と自分に言い聞かせるものの、その呼吸がうまくできない。息が浅い。喉の奥で引っかかるような感覚すらある。リラックスとは程遠い状態だ。そういえば学生の頃、試合前に同じような呼吸になっていた記憶がある。でもあの頃は、試合が終われば笑って飯が食えた。今は、終わってもすぐ次の試合が始まるような日々だ。

メール通知がもたらす無言の圧

スマホのバイブ音が鳴るだけで、体が反応してしまうようになった。「今のは誰からだ?」「ミスの連絡じゃないか?」と、確認する前から不安が胸に広がる。通知が仕事の一部になっているのは間違いないけれど、だからこそ、通知が心を蝕むことにも気づかないふりをしている自分がいる。通知音は、もはや安らぎとは真逆の存在だ。

気づけば肩に力が入っている

ふとしたときに、肩や顎に力が入っているのに気づく。事務所で書類を読んでいるとき、電話対応しているとき、コーヒーを淹れているときすら。無意識に緊張しているのか、それとも常に気を張っているからか。いずれにせよ、「力を抜く」という感覚がわからなくなっている。自分でも、自分がどうなればリラックスしているのか、思い出せない。

忙しいけれど誰にも言えない

毎日それなりに忙しい。なのに「暇そうでいいね」と言われることがあると、なんとも言えない気持ちになる。確かに、表面的には静かで、バタバタ動き回るような仕事ではない。でも頭の中では常に判断を繰り返し、心はザワつきっぱなしだ。誰かに「大変だね」と言われたいわけではないけれど、せめて「楽そう」とは言われたくないという本音がある。

「暇そうでいいね」と言われた日の苛立ち

先日、昔の同級生と話す機会があった。「自営業って、自由でいいな。暇そうじゃん」と軽く言われた。その瞬間、心のどこかがキュッと縮こまるような感覚があった。彼に悪気がないのはわかっている。だけど、自分が必死で耐えているものを、「暇」と一蹴された気がして、少し腹が立った。人は見たいようにしか見ないんだなと、改めて感じた。

相談がなくても不安は募る

仕事が少ない日は、少ないなりの不安がある。相談の電話が鳴らないと、「このまま誰からも頼られなくなるんじゃないか」と焦る。逆に、急に複数件の案件が舞い込めば、「ちゃんとさばけるか?」とまた焦る。多すぎても不安、少なすぎても不安。ちょうどいい、という日は本当に稀だ。気持ちのバランスがいつも不安定で、落ち着かない。

売上より孤独が怖い瞬間

売上が心配じゃないと言えば嘘になるけれど、それより怖いのは、誰からも必要とされないという孤独感だ。事務員がいるとはいえ、基本は一人で判断し、一人で抱える。誰かに「これで合ってる?」と聞けない環境は、時にとても心細い。誰かと肩を並べて働くことが、こんなにも安心感をくれるものだったなんて、開業してから気づいた。

事務員の前では笑っていたい

事務員の前では、できるだけ機嫌よくいようと心がけている。彼女は毎日黙々と仕事をしてくれていて、無理を言うこともある。それでも文句一つ言わずについてきてくれる。だからこそ、自分が沈んでいる姿を見せたくない。でも、本音を言えば、誰かに愚痴をこぼしたい夜もある。彼女には負担をかけたくないと思う自分と、誰かに弱音を吐きたい自分が、せめぎ合っている。

優しさが裏目に出るときもある

人に気を遣うあまり、自分の本音がどこにあるのか見えなくなることがある。事務員に任せた作業を、結局「やっぱり自分でやったほうが早い」と引き取ってしまったり。誰にも迷惑をかけたくないという気持ちが、逆に自分を追い込んでいるのかもしれない。優しさのつもりが、信頼していないと思われる結果になることもある。どう振る舞えばいいのか、わからなくなる。

頼ることが下手なまま45歳

「もっと人を頼ればいい」と言われたことがある。でも、それが本当に難しい。頼るというのは、相手を信じて委ねること。それが苦手なまま、気がつけば45歳になっていた。若いころから、「人に迷惑をかけるな」と刷り込まれてきたからかもしれない。でも、もう一人では限界だと思うこともある。ほんの少しの助けを、素直に求められるようになりたい。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓